今日の内容は、
人によっては、好まないと思うので…
- 虫
- キンチョール
- Ｇ
この単語を見て、不穏なものを感じる方は
ここから先は読まないことを
オススメします
よし、警告したからなっ
あとは自己責任でお願いします
そして、
久々の小説調の日記（長文）です
午後7時38分
その日、ジムのレッスンをサボることを決め
いつもより早々アパートに着いた私は、
ダラダラする気満々だった
ピンポーン
なんだって、こんな時間に
インターホンが鳴るんだよぉ…
この時間に来るのは
宗教の勧誘か、宅急便配達のお兄さんだが
宅急便が来る予定はないので
消去法で考えると、宗教の勧誘か…くそ…
インターホンのカメラ画面を近づき確認する。
若い女が1人、映っていた。
午後7時39分
宗教の勧誘ではなさそうなので
「はーい」とドアを開けず返事をしてみた。
若い女は、堰を切ったように話しだした。
あの……隣の野々村なんですけど、
あの…もしかして虫とかって…
大丈夫だったりしますか？
うちにゴキブリが出ちゃって、
それで虫とか本当無理で怖くてパニックで
どうしたらいいか分かんなくて…
母はまだ帰ってこないし…
とりあえず私はＴシャツを着た。
ブラトップの裾をジャージにインした姿では
さすがに人前に出れないので
ガチャ
と勢いよく私はドアを開けた。
泣き腫らした目をしたパジャマ姿の
美紀が立っていた…。
アパートの隣の部屋に住む野々村さんは
母子家庭だ。
5年前に私がこの部屋に引っ越してきた頃
娘の美紀は中学生くらいに見えたが
今は20歳くらいだと思われる。
野々村家には、畑で採れすぎた野菜を
恩着せがましく時々差し上げていたが
普段は会わないし、交流もない。
シングルマザーの母親はわりとブスだが
美紀は化粧映えも含め、わりと美人だ。
ただ、スッピンの美紀を見て
誰だか分からないのは仕方ないだろう…
午後7時41分
美紀の部屋にゴキブリ駆除に向かった
野々村家に足を踏み入れるのは初めてだが
お邪魔しますというテンションでもない。
とりあえず、隣人を助けるには
ゴキブリを退治しなければ
美紀ちゃんがキンチョール貸してくれた
おおっ、武器を手に入れたぞ
ところが、肝心のゴキブリがいない
隙間や物陰を探しまくったが、
見当たらないではないか…
ひとまず、いるかも知れない箇所に
キンチョールを振りかけてみたものの
手応えもなく、
キンチョールの噴霧の音が虚しく響く。
すみません…
そんなに探させるつもりとかなくて
こんなに見つからないとも思わなくて
という美紀のご意見はごもっともで、
ここは諦めて、私はおうちに帰ろう…
私の経験上、一回見つけたゴキブリが
再び姿を見せることはないよ
と慰めの言葉をかけ、退散することにした。
午後8時23分
ギャーッ、
いや～～～っ
こわいこわいこわいやばいやばい
隣家から大きな声が聞こえてきた
間違いない、
これはゴキブリがいたのだ
私の慰めの言葉は
無責任だったことが証明されたが
今度こそ隣人を助けなきゃ
ドアtoドアで３歩
叫び声を聞いて、すぐに出動
大丈夫〜
いた？ねぇ、いた？もしかしていた？
頼まれてもない２回目の出動をする私に
美紀は快くドアを開け、
キンチョールを手渡してくれた
そして、またしても逃げられた…
冷蔵庫の下まで覗き込んでみたけど、
どこにも見当たらなかった…
渋々退散…ドアtoドア３歩で帰宅。
午後9時46分
いたーっっっ
やだ、こわい
隣家から再び叫び声
これは再び出現したに違いない…
しかし、私はもう出動しない。
ゴキブリは私が行く頃には姿をくらます。
助けられなくて心苦しいが
ここはもう美紀を見捨てるしかない…
午後10時29分
やっと隣の母親が帰宅。
よりによって、いつもより遅いし
9時台から断続的に大小叫び声が
聞こえていたのを、無視し続けていたが
母親が帰ったら、ちょっと私も安心
翌日
ゴキブリ退治参加への御礼をこめて
美紀がご挨拶に来てくれた
結局深夜までゴキブリと格闘し、
最終的には美紀がキンチョールで仕留め、
闘いの幕を閉じたということだった
結果も出せなかった隣人の私に
プレゼントまでいただき、恐縮です
ところで、もしかして
私がゴキブリ退治に出向くよりも
美紀の母親が帰るまでの間、
我が家で彼女を匿った方が良かったかな
このお話はノンフィクションですが
固有名詞等のディテールは、実際と異なります。