これで最後と決めていた舞台『THE BITCH』が無事に終演致しました。
座組に恵まれました。
コロナで演劇を辞めた人、すでに東京を離れてしまっていた人、精力的に活動を続けていて別の公演と被ってしまっている人、ワクチンを接種していなくて参加できない人・・色々な事情がありキャスティングは難航しましたが、「好きな人だけ」という意思を最後まで曲げず、最後の最後まで粘りました。
不思議なもので、繋がっていられる人とは何年経っても繋がっていられます。
SNSがあってお互いの様子を日頃から知っていることも助けになりますが、なんとなく、遠い波でも同じ海に揺られていることを日々の糧としながら、今回「これだ!」という作品を上演することになったのを機に久しぶりに手を振って、振返してもらった、という気がしています。
コロナ禍に突入してから、この2年間は試練の連続でした。
活動資金を確保するための事務作業が年間の作業の9割を占めてしまうことで創作の時間が全く確保出来ない日々が続き‥
「演劇は不要不急」という考えが世の中の大半の人の潜在意識にあることに傷つけられながら、事業を主催できたとしてもその度にお金が湯水のように出ていき、回収の目処が立たず、赤字が膨らむ一方・・
この2年間終わりの見えない無限ループで、自分が何者なのかが分からなくなり、もう辞めたい!と思ったのも一度や二度ではありませんでした。
そんなとき、10年前に書いたこの作品をふと思い出しました。
「いまの自分はビッチそのものではないか」と、「死にたい死にたい」ともがきながら最後には生きる選択をする「ビッチ」に「辞めたい辞めたい」と苦しむ自分の姿が重なった瞬間でした。
2月に感染者が2万人を超えたときは、公演中止も一瞬頭をよぎりましたが、「いまやらないでいつやる?」と10年前に自分で書いたこの作品に背中を押され、2019年『皿の裏』以来となるホールでの公演が実現しました。
「大きく考えすぎ。もっと小さなことに目を向けなよ。日々の喜びなんて小さく積み重ねていけばいいじゃん」
「これからどう生きていきたいの?」
「シンプルにいこう、シンプルに」
「変えるのではなく捉える」
「人はみな陽炎」
何気なく書いたこうした台詞が、10年経って人生の景色が変わったせいかズシンと響きました。
私も歳をとったんですね・・
6月26日19時45分を以て千秋楽から2週間が経ちました。
体調の異変の連絡はどなたからもありませんでした。
これをもちまして「THE BITCH」正式な終演アナウンスとさせて頂きます。
私のこれからの<道>を照らす公演でした。
ご来場改めてどうも有難うございました!