宇吹萌ブログ

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劇作家・演出家・Rising Tiptoe主宰 宇吹萌のブログです

★★★ オペラ『咲く』が最優秀作品に選出されました!★★★



オペラ『咲く』(台本:宇吹萌 作曲:竹内一樹)が、文化庁委託事業「日本のオペラをつくるーオペラ創作人材育成事業」にて最優秀作品に選出されました。
11日13日、全幕オーケストラ演奏される予定です。




★★★Rising Tiptoe#11『 THE BITCH』★★★


宇野重吉演劇賞優秀賞を受賞しました

 

★★★Rising Tiptoe#23 『RACE』★★★

「SEVEN HEARTS演劇大賞2017」にて[脚本部門]入選(宇吹)、[小劇場部門]女優賞入選(汐美真帆)、[小劇場部門]女優賞次点(平松沙理)、[小劇場部門]男優賞入選(桂紋四郎)の4部門に入選致しました

★★★ Rising Tiptoe#24 『おしゃべり』★★★

杉並演劇祭優秀賞を受賞しました








【今後の予定】
タイトル未定@アトリエファンファーレ東池袋 9月1日~9月6日

【Others】
2019年春学期 慶應義塾大学文学部講師



*執筆依頼、出演依頼は、メールにてまずご一報ください。


 これで最後と決めていた舞台『THE BITCH』が無事に終演致しました。

 

 座組に恵まれました。

コロナで演劇を辞めた人、すでに東京を離れてしまっていた人、精力的に活動を続けていて別の公演と被ってしまっている人、ワクチンを接種していなくて参加できない人・・色々な事情がありキャスティングは難航しましたが、「好きな人だけ」という意思を最後まで曲げず、最後の最後まで粘りました。

不思議なもので、繋がっていられる人とは何年経っても繋がっていられます。

SNSがあってお互いの様子を日頃から知っていることも助けになりますが、なんとなく、遠い波でも同じ海に揺られていることを日々の糧としながら、今回「これだ!」という作品を上演することになったのを機に久しぶりに手を振って、振返してもらった、という気がしています。

 

 コロナ禍に突入してから、この2年間は試練の連続でした。

 活動資金を確保するための事務作業が年間の作業の9割を占めてしまうことで創作の時間が全く確保出来ない日々が続き‥

 「演劇は不要不急」という考えが世の中の大半の人の潜在意識にあることに傷つけられながら、事業を主催できたとしてもその度にお金が湯水のように出ていき、回収の目処が立たず、赤字が膨らむ一方・・

 この2年間終わりの見えない無限ループで、自分が何者なのかが分からなくなり、もう辞めたい!と思ったのも一度や二度ではありませんでした。

 

 そんなとき、10年前に書いたこの作品をふと思い出しました。

「いまの自分はビッチそのものではないか」と、「死にたい死にたい」ともがきながら最後には生きる選択をする「ビッチ」に「辞めたい辞めたい」と苦しむ自分の姿が重なった瞬間でした。

 

 2月に感染者が2万人を超えたときは、公演中止も一瞬頭をよぎりましたが、「いまやらないでいつやる?」と10年前に自分で書いたこの作品に背中を押され、2019年『皿の裏』以来となるホールでの公演が実現しました。

 

「大きく考えすぎ。もっと小さなことに目を向けなよ。日々の喜びなんて小さく積み重ねていけばいいじゃん」

「これからどう生きていきたいの?」

「シンプルにいこう、シンプルに」

「変えるのではなく捉える」

「人はみな陽炎」

 

何気なく書いたこうした台詞が、10年経って人生の景色が変わったせいかズシンと響きました。

私も歳をとったんですね・・

 

 6月26日19時45分を以て千秋楽から2週間が経ちました。

体調の異変の連絡はどなたからもありませんでした。

これをもちまして「THE BITCH」正式な終演アナウンスとさせて頂きます。

 

私のこれからの<道>を照らす公演でした。
 

ご来場改めてどうも有難うございました!

 

 

 

 

 

 

 大分時間が経ってしまいましたが、『ウィルス会議~人間ども篇』について振り返ってみたいと思います。

 

 こちら昨年9月に第33回池袋演劇祭参加作品として2年ぶりに新作を上演した公演でした。

演劇祭にはCM大会というものがありますが、再生回数4673というダントツ1位の成績で、2位の団体さまと700再生以上の差をつけて、見事CM大会賞を受賞することができました!

と、謙遜せずにここまで書けているのは、この賞が私の実力ではなく、チームワークの賜物だからです。

 

 ここまで再生回数が伸びたのは、一生懸命宣伝をしてくれた関係者と応援して下さる皆さまのお陰です。

とはいえ、宣伝だけで4673再生という再生回数は叩き出せるものでは決してありません。

それだけ多くの方々にこの作品がアピールし、興味を持って頂けたということの証です。

私にとってこのCM大会賞の受賞は色々な意味でとても大きな受賞でした。

 

 そして何より、この作品は劇場公演の復帰作でした。

2019年9月の『咲く』を最後に、2020年2月からコロナ禍に突入し、活動停止を余儀なくされてきましたが、この作品でやっと劇場に帰ってくることが出来たのです。

感染対策を万全に施して稽古・本番に臨みました。いつ誰が感染してもおかしくない状況だったオリンピック最終週、東京の感染者数が5千人を上回り、身近な人たちの感染、公演中止の知らせが続々とタイムラインに流れてきました。

明日は我が身・・という厳しい情勢でしたが、何とかやり遂げることが出来ました。

 

 この作品は、コロナ禍に上演することで、お客さんを元気づけることが出来る新作を、という一心で書きました。

ウィルスと人間の「共生」を掲げる新作でした。

あまり説明せずとも、状況が手にとるように分かるのは、創り手にとってもお客様にとっても正に「いま」の作品だったからです。

シュールな物語設定でもすんなり状況を理解できる作品は、私の作品では珍しかったかも知れません。

 

 稽古がとても楽しかったです。

 というのも、稽古するまでは、孤独な闘いがずっと続いていました。

中止した2020年の公演2本、主宰として闘い採択を勝ち取ったアートにエールをステージ型の『変身』(無観客配信)、そこから段階を踏んでたった10席の客席でライブに拘った『ウィルス会議』・・・そして、2年ぶりの劇場公演・・・

 

 2020年2月から、ずっと、何が正解なのか、主宰としていちアーティストとして人として、自分の責任を全うするにはどうしたら良いのか、皆が安全に場を持てるにはどうしたら良いのか・・・そればかりを悩み苦しんで、まるで回転の速いメリーゴーランドから降りられずに高速回転し続ける様な2年間でした。

ワクチンが開発され、劇場公演も出来るようになり、メリーゴーランドの回転速度がやや遅くなった、と思ったのも束の間、今度はオミクロン株が感染爆発し、今月中に2万人は突破してしまうのではないかという勢いです・・

 

 でも、やっぱり立ち止まっていては何も変わりません。

いまの私たちには何が出来るのか、引き続き悩みながら駒を進めて行こうと思います。

 

 2年ぶりにお客様を入れての劇場公演を取り戻した『ウィルス会議~人間ども篇』の初日がいまだに忘れられません。

『ウィルス会議~人間ども篇』は、私に前に進む勇気をくれた作品です。

 

 

 

 年末年始ずっと仕事で数日前にやっと家に帰ってこれました・・

年末の公演の残務が終わらず、年が明けてからもやれ税務署だやれ市役所だ銀行だ、と駆け回っているうちに成人の日も過ぎてしまい、すっかり遅くなってしまいましたが、2021年の公演を振り返りたいと思います。

 

 2021年12月に新しい団体「結晶」の旗揚げ公演としてHERという作品を上演しました。

 この作品は、若年層の自殺の増加、コミュニケーション不全、孤立しやすい現代社会、そこから立ち直ろうとする家族愛・隣人愛、などのテーマを演劇ならではの表現で描いた作品です。

 14年前に私がまだ20代だった頃に書いた作品で、長く封印していた作品でしたが、コロナ禍の年末にこそふさわしい作品だとの思いで再演(一部加筆)に至りました。

 

 ト書きには「外は桜吹雪。この桜吹雪は劇中ずっと吹き荒れている」とあります(心象風景)
 そんな春爛漫な物語を何故、14年の時を経て、2021年の年末に再演しようと思ったのか・・

 何故コロナ禍の年末にこの作品の上演がふさわしいと思ったのかと言いますと・・

 

  ホリデーシーズンの闇・・

  クリスマス、お正月など家族や恋人と過ごす時間が増えるホリデーシーズンは、孤独が募りやすい時期です。
 アメリカではThanks GivingからChristmasにかけて自殺者が増える傾向にあります。

 長い休暇は孤独な人を一層孤独にします。


  一昨年の自粛中、私はずっと「長い日曜日」を過ごしているような感覚がありました。
 この「長い日曜日」に耐えられなかった人がたくさんいます。
 コロナ禍で自殺者は増加しました。特に若い命が犠牲になっています。
 身近な人の孤独に私はどれだけ気づけているのだろうか・・
 そんなことを考えるようになり、コロナ禍真っ只中の年末の時期をあえて「HER」の再演時期に選びました。

 

 公演案内の際、あらすじを読んだお客様に「なんで年末にわざわざこんな暗い作品をやるの?」と訊かれた、とあるキャストから言われましたが、この作品をこの時期に上演することを決めた私には明確な意図がありました。

 

 重たいテーマですが、ラストでは家族愛・隣人愛を感じることが出来るストーリーだと思っています。

初演を観てくださっているお客様が多くお運びくださいました。HERを上演するとアナウンスした際「HERは久しぶりですね。楽しみにしています」と早い段階でお返事くださったお客様が多く、この作品に託したメッセージが初演でもきちんと伝わっていたことを嬉しく思いました。

 

 私の公演は何故かタイムリーになってしまうことが多く、例えば過去には『レッスン』の初演で初日にブータンの国王が来日し、公演の楽日に帰国するという偶然にしては出来過ぎなこともありました。

 『HER』 も決して狙ったわけではなかったのですが、図らずも小屋入り数日前に神田沙也加さんの訃報があり、通し稽古をしながら、こみ上げてくるものがありました。

そして作中の不在者の「リン」が歌手であったのも、偶然というにはやはり出来すぎていました。(この設定は2007年の初演から変わっていません)

観劇されたお客様から「神田沙也加さんのことを思い出しながら観てしまいました」という感想も寄せられました。
 

 法子と真野が一瞬「リン」になってしまったかのような錯覚をしてしまうクライマックスのシーン(造語シーン)は、法子と真野がリンをなくしてから初めて「これがリンが経験していた世の中なんだ」「これが私たちが気づけなかった世の中の在りかたなんだ」と彼女の死後にようやく身をもって体験するシーンです。

 このクライマックスシーンに至るまで延々と続く「何かがおかしい、でも気づかないことにしよう」というお茶会ゲストの事なかれ主義の徹底ぶりが全員をこのシーンに導きます。

 誰もが「自分の事情」を優先した結果、あの様な、言葉の通じない空間になってしまうのは、現実にもよくあることです。

 切り替えの早い人たちが器用に現実に適応すればするほど、一つ一つの事象にきちんと向き合う人にはとてもついていけない生きづらい世の中になってしまうことを演劇的に表現したシーンでした。

 

 もう一点、この台本の特徴として、数えきれないほどの代名詞が出てきます。

 どの代名詞についても深くは追求されません。ここにも私の作者としての狙いがあります。

 誰が誰だか分からなくなってくる代名詞(HER)の嵐を、代名詞(HER)の嵐としてのみ口にし(その代名詞で呼ばれている人物の個性や事情を素通りする)、その徹底した事なかれ主義が、人を死にまで至らしめ得ることを、演劇的に描こうしました。

 稽古に入る前に何人かのキャストから「誰が誰だか分かりません」と言われましたが、それが現実、その残酷さを描くことに狙いがありました。

 

 長々と書いてしまいましたが、結局のところ、私はどんな観劇感を求めていたのか・・・

 一番嬉しかった感想をご紹介しようと思います。
これは過去キャストからの感想でしたが、「自分にも思い当たる人がいて、その人のことをもっと大切にしないといけない、向き合わないといけないなと思った」というものでした。

私がこの作品を通して伝えたかったこと、目指していた観劇後の感情は正にこれ、でした。

 

『HER』にお運び頂き改めてどうも有難うございました!

この作品が少しでも、誰かの生きる光となることが出来れば嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

今年こそはブログ更新しよう!と思いながら、3月中旬になってしまいました。

1月~3月のあれやこれやを綴ってみようと思います。

 

年明けから多忙を極めています。

2月はれいわプロジェクト「受付」(作・別役実)の演出をさせて頂きました。三木プロダクションの野田愛佳さんと名嘉高志さんの二人芝居、会場渋谷のギャラリールデコでした。

2013年にもこの作品を演出したことがありますが、その時は「闇」の世界でした。いわば黒い受付。

それが今回れいわプロジェクトさんが選んだ会場は真っ白!白い受付でした。

声優でもあるお二人の雰囲気には合っていたのではないかと思います。

 

同じく2月、第1回T Crossroad短編戯曲祭に台本作家として参加させて頂きました。こちらは「2020年の世界」をテーマに23人の作家がそれぞれ短編を書くというスケールの大きな企画!私は「CLOUD-19」という短編を書き、川村毅さんが演出してくださいました。

会場は吉祥寺シアター。何度かお客さんとして観劇に行ったことのある劇場です。

コロナ禍で見えてきた身近な人間関係の闇を、リモートお見合いに取り組む女性の視点で描いた作品でした。わけあって(わけというより、単に長かっただけですが)台本をだいぶカットしての上演でしたが、そのことで見えてきたことがたくさんありました。

ラストシーンに向けて淡々と進めていく川村さんの演出は鋭く、私の作品のダークな部分が一層際立っていました。

川村さん平井さん、ティーファクトリーの皆さま、キャストの皆さま、ご来場くださった皆様、改めてどうも有難うございました!

 

そして、いままた新たな稽古に励んでいます。

3月に小さなレンタルスペースで新作を上演します。

コロナ禍を生き延びるために俳優陣と試行錯誤しながら進めています。

 

リネット主催 『ウィルス会議~序章』

 

 

 

 

まだ発売開始して一週間ですが、どの回も残り1・2席です。

宜しければ私たちの挑戦にお立ち合いください。