「なぁ、副井。youtuber専門スクールってあるだろ?」
「ありますね。」
「俺たちの時代にはなかった代物なんだけど、あれってどうなんだ?」
「動画で見聞きした限りの話でいいなら話ますよ?」
「あ、やっぱり調べていたんだ。副井も動画制作しているもんな。実際、youtuber専門スクールに入って勉強したいか?」
「認可校ではないので微妙です。」
「え?専門スクールなのに?」
「専門学校じゃないのです。専門学校を名乗るにはちゃんと先生がいて、ちゃんとしたカリキュラムが組まれているということが前提なのです。なので、一部の専門学校を除き、基本的にただの教室です。パソコン教室とか英会話教室と同じスクールです。」
「まじか!?じゃぁ、高卒で入って卒業しても、最終学歴は高卒なのか!?」
「そうです。でも中卒でも入れると思いますよ。そこは知らないですけど。」
「でも、英会話教室と同じで、しっかりと勉強ができるんじゃないのか?教室ならちゃんとしているだろ?」
「ぶっちゃけFラン大学と同レベルです。」
「Fラン・・・。」
「まず、入ってくる人の多くがやる気がないです。もちろん、ガチでやる気のある人もいますが、ほとんどいません。また、主体性というものが一切ない人が多いです。なので、何がしたいのか?どういう動画を作りたいのか?どういうyoutuberになりたいのか?一切説明できない人が入ってくるのです。ほとんどは「youtuberは楽」って考えています。実際は今までお話した通り、かなり難しいのです。」
「生徒のやる気がないってのが致命的だなぁ・・・。せっかくyoutuberとしての技術が学べるってのに・・・。」
「運営もひどいありさまです。」
「どういうことだ?」
「とある先生が遅刻した生徒を叱ったところ、すぐに先生が怒られたのです。「遅刻くらいで叱るな」って。運営にとって生徒はお客様であり、学校の生徒ではないのです。なので、気持ちよく卒業、もといお金を払ってもらうために、かなり寛大な処置を取るのです。」
「いやいや、一応スクールなんだからそこは厳しくしないといけないだろ?」
「また、運営からすると真面目にyoutuberになってもらうために指導する先生は邪魔になります。そういう先生は正義感からyoutuberの現実を教えてしまうのです。そうなると自主退学する生徒が増えるため、逆に運営はその先生をクビにします。」
「ひどい話だなぁ・・・。先生に罪はないのに・・・。」
「さらに授業内容は全部youtubeで見れます。」
「そこで学ばなくてもyoutubeで全部見れるってことか?」
「そうです。授業内容が動画として上がっているのではなく、動画で上がっている程度の内容を授業でするのです。なので、ぶっちゃけ、結構簡単に独学でできます。」
「確かに、サムネイルの作り方とか、動画の撮影とか、編集の仕方とか、ニコニコ動画でも出てくるな。」
「ゆっくりムービーメーカーが出たころは解説動画もありました。」
「あぁ、アレか。当時は画期的だったよな。」
「とまぁ、ひどい有様です。」
「数百万払ってその程度って考えると、普通に動画で勉強するほうがいいな。」
「一応、インターンは充実しているんですが、生徒のレベルがお察しなので、まず受からないです。最近見ている動画でも言っていましたが、「社会復帰の第一歩にするなら検討してもいい」とのことです。」
「ひきこもりが社会復帰のために学校に通うっていうことを考えると、認可校ではないyoutuber専門スクールも視野にはいるのか。」
「社会復帰の第一歩じゃないなら、普通に大学や専門学校に行った方がいいそうです。そして、学校に通いながらyoutubeに動画を上げるのです。多くのyoutuberは専業ではなく兼業です。メインの仕事があるからyoutuberをやっていけるのです。」
「youtube一本でやっていける人はほんの一握りだもんなぁ。最近は収益が10分の1になったとかいう話も聞くし。」
「夢を見るなら現実を見ろって話です。現実を見たうえで夢を語れってことです。」
「いくら清らかな夢でも、現実では難しい。現実を生きる以上、現実を見なければいけない。そういうことか?」
「そうです。僕も、いっぱい現実を見ましたし。」
「youtuberという夢にも現実がある。それは避けては通れない運命なんだな。」
「それに、成功する人は学校に行かなくても成功します。」
「それを言ったらおしまいだよ・・・。」
「まぁ、現実をなんとかするために学校に行くんですよね。」