酩酊読書

酩酊読書

酔っぱらって読む本のこと。日々のつれづれ。

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ばちばち、しゅるる、ぱあん、という音が聞こえる。

誰かが近くで花火をしているのだ。


長崎の人は花火が好きだ。

昔ながらの「花火の専門店」がいくつもある。

色とりどりの花火。線香花火も、打ち上げ花火も、爆竹も、提灯も、そこではしんと静まって出番をまつ。

普段はお客の影すらない。

今時それで食っていけるのか?!と言いたくなるような、古くさいお店だ。


そんな店の年に一度のかき入れ時。それがお盆だ。

なんとこの町は爆竹の消費量が全国一位。

初盆の「精霊流し」では、祭りのメインはなんと言っても爆竹だ。

けたたましい音をならし、時には爆発音がとどろきながら、海までの道を練り歩く。


初盆でなくとも、お盆にはお墓の掃除をしお参りをするが

全ての作業が終わると大人は酒を飲み子どもは嬉々として花火を取り出す。

お墓をかこんで、みんなでわいわい花火に火をつける。

ひゅー、ひゅーとロケット花火の息苦しい音が響く。


関東出身の夫は、この「お墓で花火をする」風習にやたらびっくりしていた。

私にはふつうのことでも、他の土地ではやらないことだと言われるとやたら自慢したくなる。

「え?そんなの普通でしょう」「お墓で花火をしないと、お盆って気にならないよ」

そんな憎まれ口をきいてあげる。

本当は、大人になった今ではお墓で花火なんかしないというのに。


そんな夫がいない土曜日。ひとりで酩酊する土曜日。

花火の音だけで夏の暑さを感じる。

ビールグラスが空になった。