以前の中国茶の授業の時に、突然老師から投げかけれた質問。
「人にとって大切なものは?」
龚老師はいつものように冷静沈着な無表情で突然質問を投げかけてくるから、ドキリと背中に緊張感が走ります。
「環境なのか、育ちなのか、努力なのか、遺伝子なのか」
なーるほど、お茶の話につなげていくためにこのような質問をしているようです。
予想通りに、話が続きます。
「お茶の場合でも、同じ問いかけができるだろう。環境なのか、栽培方法なのか、種なのか、お茶自身の努力はなかなか難しいかもしれないけど」と苦笑しながらも、正解はなくてもとても興味深い投げかけだと思うから、ぜひじっくり考えてみてほしいと熱く語る老師。
それから数年後の今年の夏、上海から一時帰国中に訪れた長野県のわさび農場に訪れた時その老師の言葉を思い出しました。
わさびは、綺麗な湧き水、強い日差しが当たらないような工夫をされた栽培方法で育てます。
そう思うと、お茶も同じように環境と栽培方法が何よりも大事な要因となります。
ただし、細かく見ていくとその品種によって、好まれる場所や栽培方法は異なります。ただやはり共通して言えるのは、綺麗な水に支えられているということではないかなと。
わさび農園に、サラサラと静かに流れている北アプルスの雪解け水。あまりの透明度に、写真を写しても、透き通ってしまってその存在すら分かりにくいほどです。
その湧き水の中で魚が気持ちよさそうに、大きな口を開けて水を飲み込んでいる(プランクトンを飲み込んでいる?)様子に、私の他にも多くの観光客の足を止めていました
”お茶の母は水”という有名が言葉があります。そういう意味でも、わさびもお茶も人も魚も育ての母(水)が大事だということになるのかなぁと感じさせられます。
生命を育んでくれる大事な水。それでも、水が多すぎても、少なすぎても、流れが速すぎても遅すぎても摩擦になりやすいということなのかなぁ。
さりげなく寄り添うように流れているわさび農園の水。
緑が綺麗なわさびたちの隣で、滞ることなく静かに優しく流れている湧き水がいつまでも目に焼き付いて、自然の美しさに心が洗われます。
そんな綺麗なお水に癒されながら、バスと電車に乗って次なる目的地の松本城へ向かいました。
ちょうど夕暮れ時のいい時間です
キラキラ夕日の光を受けた水面に
優雅な二羽の白鳥さん。この風景がとってもお似合い。
金の鯱の名古屋城も良いですが、シックな松本城と遠くの山々と池と庭園が一体化されている風景に一目惚れです。
上海や日本の都会にはない美しさに癒されます。
心が渇いた時は、わさび農園の透明感あるサラサラと流れる湧き水や松本城の池の穏やかな風景を思い出したいと思います。
水の風景に静かな感動を覚えた穏やかな旅。
日本の一時帰国もそろそろ後半戦に突入です
いつもありがとうございます