先日、高級茶芸師の試験を受けましたが無事になんとか合格。これで私も晴れて、念願の高級茶芸師となりました
試験は、お茶に関するペーパー試験と自分のテーマに合わせて茶席を演出するという、茶芸実技の2科目です。
私は『月光禅茶』というテーマで月明りに照らされた桜を眺めながら、故郷を偲び淹れた「月光白茶」を淹れることにしました。日本人ということで、日本を醸し出すべきだという老師の指導もあり、夜桜をテーマにすることにしました。
このテーマを決めるにあたり、どんな茶葉が私らしいのか?私が人に淹れたいと強く思うお茶は何だろう?など茶葉選びから始まり、茶器、茶布、茶華、装飾品(水墨画や置き物など)など一つ一つ自分でそろえていかなくてはなりません。
茶席の茶器の置き方や種類などある程度の決まりはありますが、テーマに沿った自分らしいアレンジが大事だと老師が言います。
家のリビングいっぱいに並べ広げては、あれよこれよと並べ替えてみたり、試験前は家族にも迷惑極まりない日々が続きます。。。
国家試験ではあるのですが、演出となると、なんだか芸術祭の展示のような広告イベントのような感じさえしてきてしまいます。中国語の暗記よりも自由に創作できるので、中級茶芸師の時よりも準備期間も楽しく試験に臨むことができました。
ただその後、当日の試験会場でそのレベルの高さ、情熱と真剣さにただただ圧倒される訳ですが。。。。
そして、とうとう迎えた高級茶藝師の試験当日。荷物の多さにこの日は夫にも会場運びまで手伝ってもらったのですが、途中で桜の花を家に忘れてしまったことに気づいて
急いで取りに帰るなど、ドギマギハプニングを乗り越えて、茶器や掛け軸、すべての道具が入った大きなスーツケースを持ってやっと会場入りです。
筆記試験
前半は筆記試験です。選択式の試験ですので、まだ私にも答えられる範囲なので助かります。こちらも中級試験同様に、ある程度の例題を事前にいただけるので、そちらを暗記しながら勉強しておく必要があります。
エントリーシート
後半の実技試験の前に、エントリーシートが配られて、自分のテーマ、その内容や想い、茶葉の種類、茶花の種類、茶器の種類、音楽の名前、飾り物について記載していきます。こちらのシートも事前に配られており準備はできたので、何とか空欄を埋めることができたとホッとした瞬間、隣に座っている女性から声がかかりました。
失礼かもしれないけど、その表現の仕方が少し不自然かもしれない。よかったら少し目を通してもいいですか?と。。。
試験中にこんな風に話していいものかとドギマギしながらも、筆記試験でもなくエントリーシートなので、周りの人たちもワイワイ相談しているようでしたので、ぜひにとお願いしてしまいました。
なんでも古文の先生で、外人さんにも中国語を教えているということ。なんという偶然。ありがたいことです。素敵なテーマね、実技も頑張ってねと、数カ所文法を直していただき、エールをもらい別れました。
実技試験
机が各コーナーに並べられて、受験生がそれぞれ、茶器や茶布などで彩っていきます。
音楽も準備しておくことが決まりになっています。私は、前から好きだった、「但愿人长久」を流しながら「月光白茶」を試験管の方へお出ししました。
「美味しいお茶でした、日本の人の想いが伝わってきました」と桜の花を見ながら声をかけていただきました。桜、、、取りに帰って間に合ってよかったと、冷や汗がスーッと流れていく瞬間でした。。。。(^▽^;)
他の方々の茶席に、初めは圧倒されましたが、その美しさと真剣さに感動の鳥肌が立ってしまうほど見入ってしまいます
自分も受験生だということを忘れるぐらい、時代がタイムスリップして茶会に招かれているよう
一際目立っていた、美しい書道の茶席。なんと、先ほど手直しをしてくれた古文の先生でした。とても感じが良くて落ち着いたオーラが出ていましたが、やっぱりすごい才能のある方だったのだと、茶席を見て納得です。
自分の想いをしなやかな動きの茶芸で、1杯に込める。
それぞれの茶席が彩られ、シンプルな美しさに心が浄化されていくようです
中国茶に何故私が魅かれるのか改めて感じました。
試験会場で知り合いになった茶友もできて、とても思い出深い一日となりました。