中国緑茶の龍井茶を今回は紹介したいと思います。
お茶の先生に、龍井茶は好きですか?とよく聞かれる機会が多かったのですが、私の答えはいつも、あまり好きではなくて、烏龍茶が好きですと答えていました。
強い感じの緑茶が苦手でした。カフェインが入っていて、飲みすぎると眠れなくなるし胃に優しくない感じがして、、、
中国では最高とされる龍井茶というのはよく耳にするので分かってはいるのですが、私は苦手なままだろうと内心思いながらの、授業のスタートです。
西湖龍井茶には5つの産地(獅峰山・龍井・雲棲・虎[足包]・梅家塢) があります。そして品種は「群体種」・「鳩坑種」・「龍井43号」の3種類あります。
今回の授業は、3つの龍井茶の飲み比べです。先入観なく、まずは味わって比較して欲しいということで、茶葉の品種も教えられずに飲み比べをすることになりました。
一つ一つ丁寧に淹れて飲み比べをします。
茶葉の色、香り、飲み心地をゆっくり味わいながら、どんなことを感じたのかその思いを表現することも大事な中国茶の作法の一つなのです。
中国語の単語数がただでさえ少ないうえに、1年前から習っている先輩な
んかは茶葉を見るだけでその品質も分かるほどになっていて、自信に満ちながら意見します。
私はいつも、同じ味わいがしてあんまりその違いが分からず、1つ目と2つ目のお茶の飲み比べをした時も、「うーん違いが良くわからない。緑茶だということはわかるけど」と正直に答えて、先生達も困り顔。。。
飲み比べとなるとかなりの量を飲むことになります。2つ目の茶葉は私が担当して淹れたのですが、だんだん気持ちが悪くなってきてしまう始末。でも途中で投げ出す訳にもいかず、冷や汗をかきながら淹れたお茶。そのせいか、このお茶はまずいととても評価が悪い
最初に口にした時は、普通に美味しいお茶なのですが、時間が経つと口の中が苦くて苦くて、
あぁ、私は中国茶があっていないのかもと外の空気を吸って、気分を取り戻して、3つ目の茶葉にトライしました。
この茶葉は淹れた瞬間の香りからして違うではありませんか
やっと私にも感じることができた、この違い
もうこの時の衝撃というか、嬉しさというか
いつまでもいつまでも口全体にほのかな香りと柔らい感じと甘い味わいが残り、口全体をぽかぽかと温めてくれているような感じで、次第にそのやわらかさが心に響いていくほどの効果を感じるのです。
まるでお酒に酔ってしまったような心地よさというか
スポーツで爽やかな汗を流した後の気持ちよさというか
でも、それもお茶を飲むだけというすごく受け身な状態で、まったりした時に感じられる心地よさだからこそなんというか、じんわりと体にやさしく伝わっていく感じなのです。
この3つ目の茶葉は「群体種」と呼ばれて、茎がメインになっている貴重な茶葉だったのです。
市場に出回るのは「龍井43号」だけだそうで、この「群体種」は中央政府がほとんど買い占める最高級茶葉だとか。この茶葉を少しだけ仕入れることができたということだったのです。
貴重な「群体種」の美味しさを感じることができた私を見て、普段無表情で厳格な感じの先生もとっても嬉しそうに、微笑んでいます。
それに比べてほかの茶葉で飲んだ時は、飲み終わった後に口が苦々しかったり、やっぱり胃が重く感じてしまったりしたのでした。
最初の一口や二口ではその違いも分からず、また味わいや香りも同じように私は感じました。でも、なんといっても飲み終わった後の感じが違うのです。中国語では、回甘といって、飲んだ後に残る香よい甘さをとても大切にするのです。
ですので、口にした時の印象と、飲み終わった後の印象と、どちらも同じぐらいに大切にするのが中国茶なのです。
この回甘を私は初めて感じることができて、本当に感動してしまいました。
何としてもこの味わいを私の大切な人たちにも味わってもらえるような機会を作れたら
その茶葉をプレゼントすることができたらなぁ。
ストレスいっぱい?!イライラいっぱいの私がすーっと癒されたように