夕方に小雨が降ると聞いて少し不安になった今日でしたが、雨に降られることもなく無事に帰れました。


今日は販管費と売掛金を中心に見ました。

数値を合わせるのであれば、売掛金は確認状+バウチング(証憑突合)でほぼカバーできます。

通常は決算日の1~2ヶ月前を基準日に手続きを行うことが多いのですが、今回のクライアントでは決算日を基準に送りました。

したがって、確認状で数値を照合(あるいは一致してなくても再原因が正当なものと判明)さえ出来ればOK



・・・という単純な話でもありません


テキストにもある通り、確認(あるいは証憑突合)だけでは評価の妥当性に係る監査要点の心証は得られないからです。


そこで出番となるのが、分析的手続です。

以前も少し触れましたが、確認のような決定的証拠が得られない代わりに、問題発見の糸口をつかむきっかけになることがあり、なおかつ汎用性が高いのが強みです。


分析的手続の説明は省略しますが、ここで用いるのは2つの分析方法です。

1)比率分析
2)趨勢分析

1)の比率分析で真っ先に登場するのは、売上債権回転期間です。

売上債権÷売上高×月数

という計算式は管理会計等で使ったこともあると思われます。

しかし、実務に触れる機会がない限り、この式が何の意味を持つのか、今一ピンと来ない方が多いのではないのでしょうか(実際僕もそうでした)。

大抵の業界では、ある月の売り上げを集計してから、○月分の売上はいくらですという形式で請求書を得意先に送るのが、スタンダードな流れです。

また、請求書には代金の支払期日が明記されているのが一般です。

支払期日までの期間(要するにこれが「サイト」)は業界や信用力によってまちまちです。
しかし、たとえばサイトが2ヶ月であり取引が毎月発生しているのであれば、月末の売掛金の残高は、その月及び前の月の売上で構成されるはずです。

あくまで全体にかかる概算値ですが、こうした前提に基づいているのが、売上債権回転期間を用いた分析です。

すなわち、売上債権回転期間が前期よりも長くなっている場合、取引条件の変更や新規の取引先もないのであれば、売掛金の回収が期日通りになされていない(滞留債権の存在する)可能性があります。

その場合、担当者への質問等追加的な手続を実施することになりますが、もし滞留債権が見つかれば、回収可能性等に応じて相応の貸倒引当金の計上を検討しなければなりません。


貸倒引当金は売掛金のネットでもありますから、貸倒引当金の金額を検証することは、とりもなおさず売掛金の評価額の検討でもあります。


また、2)の趨勢分析によっても滞留債権が見つかることもあります。

多くの会社では得意先別の売掛金月次推移表を作っていますが、残高だけでなく各月の売上高と入金額も併せて記載されているのが通常です。
その場合、ずっと同じ残高が毎月残っていても、毎月同額の取引がなされているのか、以前の販売代金が支払われていないのかが判別できます。


このような一連の手続によって、問題のありそうな債権が見つかった時、当該取引先についてググってみたりすることもあります。

検索した結果、HPの更新が滞り気味なところもあれば、意外に規模が大きく古い会社で、一見倒産するのも考えにくいケースなんかもあります。

時には、某掲示板で槍玉に挙がっていることもなくはないのですが・・・