第7章モラハラ夫との結婚、そして逃亡した夜、一文無し同然で借金をして夢の国へ②

 

お見合いから約1年後、林業で働く夫のところへ嫁いだ私。

自然が好きで田舎暮らし、自給自足の生活に憧れを持っていた私は、ワクワクしながらその隣県の山に囲まれた

本当に周りに何もない、古い一軒家の借家での結婚生活をスタートしました。

 

夫は大人しくあまり話す人ではありませんでしたが、付き合っていた間はけっこう優しくて

「この人なら問題なくやっていけるだろう」と思っていました。

ところが、結婚生活が始まった途端にこの夫の信じられないような言動が始まったのです。

 

始まりは、仕事のことでした。これまで福岡でバレエの講師の仕事をしていた私は

週に1度くらいは車で1時間ほどの福岡まで通って、講師の仕事を続けたいと思っていました。

ところがそのことを夫に告げると「なんで福岡までわざわざ通う必要があるのか」と反対され、

「こっちでパートでもすればいい」と不機嫌な様子で言ったので、険悪な感じになりたくない私は

それ以上仕事については言えなくなってしまいました。

 

夫は普段は口数も少なく大人しいのですが、毎日仕事から帰るとすぐにお酒を飲み始め

お酒を飲みだすと言葉が荒くなり、私への態度が急変し出したのです。

 

料理や家事がお世辞にも上手いとは言えない私に、そのことへの文句を言い出しました。

近所の方々は兼業農家の方が多かったので、お野菜などいっぺんにたくさんいただくことが多く、

二人で食べきれないことも多くてダメにしてしまうこともあり、そのことについてまずひどく言われました。

そして徐々に私への言葉や態度が荒々しくなっていき「お前は何もできない」とか「お前はバカだ」と言い始めるようになり

暴言が増えていったのです。

 

そして、夫は一度も生活費やお金を私に渡さず、結婚のお祝いでいただいたお金も私に渡すこともありませんでした。

夫の態度が怖くてそのことも言い出せなかった私は、それまでの少ない自分の貯金から生活費を出さないといけなくて、

パートを始めてそのパートのお金でギリギリの生活をしていました。

 

友達も一人もいない土地で、田舎特有のご近所さんとの濃すぎる関係(いつも誰かがうちにやって来て、夫もまだ帰っていないのに勝手に家に上がられたり、うちのことをいろいろ言われたりしていました)のことも夫に言っても「郷に入っては郷に従え」としか言われず、お風呂も無い一軒家に住んでいたので、毎日ご近所さんたちの社交の場になっている地域の温泉に行かないといけない、そんな生活でした。

 

結婚してから半年も経たないうちに、もともと元気だった私の体も心もどんどん弱って行き、毎日頭が割れるような頭痛と、

手がいつも震えているような状態で、常に夫にびくびくしながら毎日を過ごしていました。

 

パートが終わったら急いで家に帰り、夫が帰るまでの間に急いで掃除やごはんを作り、夫が文句を言いそうなことをできるだけ避ける、そんなことに私のすべての神経が注がれていました。

あまりにも必死で、自分の精神や体がおかしくなっていることにも気づいていませんでした。

 

そんなある日、いつものように仕事から帰りお酒を飲みだした夫の態度が急変し、ある事件が起こったのです。

 

夫がお酒を飲みだすと、私は体調が悪いからといつも別の部屋で寝ているようにしていました。

その日も、そうしていると夫の怒鳴り声が聞こえてきたのです。

私に対して何かを言っているようでしたが、私は布団をかぶって聞こえないようにしました。

 

すると、台所から食器を投げて割る音が聞こえてきたのです。

大声で怒鳴りながら、食器を投げつけて割る夫。

「絶対に出ていってはいけない」と感じました。

 

そしてしばらくすると、夫がドタドタと2階の階段を上る音が聞こえました。

そして間もなく、今度はものすごい音が聞こえてきました。

何と、夫は2階から私のいる1階に向かって椅子や机、家具を投げてきたのです。

 

「殺される」

 

本当にそう思いました。

その夫の怒鳴り声と、家具を投げつけるものすごい音を聞きながら「私の人生はこれで終わるのかな」そう思いました。

私にはもう何もする気力もなく、ただ布団をかぶってじっとそれを聞くことしかできませんでした。

 

それから1時間くらい経ったでしょうか。

怒鳴り声や音が静かになり、夫はどうやら寝ているようでした。

 

私はその夜一睡もできずに、ただ茫然と過ごしました。

翌朝夫が家を出て仕事に行く車の音を聞いて、「あー、まだ生きているな」「でもこのままだといつか本当に殺されるかもしれない」と思いました。

 

そして、その時に始めて「何かがおかしい」ということに気付いたのです。

もともと健康だった私がこんなにも体調が悪くなっていること。

普通は幸せなはずの新婚生活を毎日こんなにおびえて過ごしていること。

それをはじめて「おかしい」と気づいたのです。

 

その時、パートで勤めていた職場からもらったあるカードのことを思い出しました。

それはDV相談窓口の電話番号が書いてあるカードで、私はその時夫がDVであることも全く分かっていませんでしたが

「何かがおかしい」と思い、そこしか頼れるところが無いと思ったので、その電話番号に電話をかけました。

 

少し事情を話した私に、その窓口の担当者は「急を要しますので、今すぐにここに来てください。」と言いました。

私はとても驚きましたが、「じゃあ行きます。」と言ってパートを休む電話をかけて、なんとか車で40分ほどかかるそのセンターに向かいました。

 

センターに着くと2人の女性がテーブルの私の前に座り、もう一度夫とのいろいろな話を聞いてきました。

私はその質問にすべて答え、これまで夫に言われたこと、されたこと、お金を全く渡さないことなどを話ました。

するとその女性の一人が

「あなたの夫のしていることは間違いなくDVです。

ここに書いてあるDVの項目を見てください。

これとこれとこれとこれ、すべて当てはまっています。

あなたは何も悪くありません。

すべてあなたの夫のせいで、夫の態度が良くなることはありません。

良くなるどころかエスカレートしていくだけです。

 

私たちがあなたにできるアドバイスは一つだけです。

今日、このまま家を出て、二度と戻らないでもらいたい。

それ以外にあなたにできることは無いと思います。」

と言いました。

 

私は本当に、この言葉に驚きました。

直接夫に暴力を受けたわけでもない、夫がDVだなんて・・・

そしていつも夫から「お前が悪い」と言われ続けていた私は本当に「私がすべて悪いんだ」と思い込んでいたので

私は何も悪くないなんて、全く信じることができませんでした。

ましてや、このままもう二度と家に帰らないでくださいなんて・・・

 

茫然としている私に

「これを聞いてどう思いますか?」とその女性が聞いてきました。

私は

「正直に言って、信じられません」と答えました。

 

すると「DVを受けている多くの女性は夫から洗脳されてしまっているのでそう思えないかもしれませんが

どうか私たちの言葉を信じてもらいたいです。」と言われました。

「これからどうするか決めるのはご自身ですが、どうか良く考えられてください」

と言われ、茫然としたままそのセンターから外に出ました。

 

夫がDV??このまま家から出ていく??

そんなことが頭の中をぐるぐると駆け巡りました。

車に乗ってからもどうするべきか全く分かりませんでした。

行くところも無いので、とりあえず家に向かって車を運転し出しました。

今言われたことは、すぐには信じられない。

でも、あの女性たちが嘘をついているとは思えない。

私の今のこの状態は明らかにおかしい。

そして、結婚してからの夫の態度も、たしかにあきらかにおかしい。

 

そう思いながら家に着いた時、時計を見ると夫が帰ってくるまであと1時間でした。

私は大急ぎで家に入り、身の回りのものを急いでまとめました。

これからどうするかは全く分からないけど、とりあえず今日は家に帰らないでおこう。

そう決めて、本当に少ない身の回りのものだけを持って、すぐに車に乗り

夫が通らない道を通って家から逃げ出したのです。

 

この日から、私はこの家にもう戻ることも、夫に会うことも二度とありませんでした。

文字通り、私はこの家と夫のところから逃亡したのです。

 

続く。

 

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