不識玄旨徒労念静
一種平懐泯然自尽
止動帰止止更弥動
隋の時代に活躍した鑑智禅師(606寂)の遺した「信心銘」は、禅宗四部録の一つとして、古くから禅を学ぶ人々に読まれてきました。
道元禅師も、常日頃この書を傍らに置き、その中の句を用いて門人に仏法を指導したと言われています。また普勧坐禅儀や正法眼蔵の中にも、句が引用されています。
4字からなる句が146句(73X2)韻文で綴られています。
解説本はいろいろ出ていますが、なかなか納得のゆくものがありません。
ですが、もし一冊購入されるとすれば、「信心銘拈提を読む」春秋社をお奨めします。
こちらは、鎌倉時代の瑩山(けいざん)禅師の拈提です。
拈提というのは、講釈や講義とは違います。
提唱ともやや異なるもので、読み解くにはかなりの力量が求められます。
「信心銘拈提を読む」は、よくまとまっている本ですが、私は、句と拈提の原文を先に読み、徹底的に自分なりの解釈をしてからその後で、著者(東隆眞氏)の現代語訳と補説を読むようにしています。
それは、先入観なく、原文を直に受け止めませんと、本当のところを取り逃がしてしまうような気がするからです。最初から現代語訳を読んだ方が楽だとは思いますが、少なからず影響を受けてしまいますので、それを危惧しています。