「釈迦といういたずら者が世に出でて 多くの者を迷わするかな 

 一休の釋迦をそしりたお蔭にて 多くの人がうろたえぞする

 嘘をつき地獄に落つるものならば なき事作る釈迦いかがせん」

 『一休道歌~三十一文字の法の歌』禅文化研究所


一休といえば禅僧の中でもかなり異色な方ですが、彼の道歌にはなんとも言えぬ味わいがあります。


一休宗純は1394年京都に生まれました。

その出生については天皇家の血を引くものと言われています。

6歳で出家、諸師に参究した後に、終生の師である華叟に出会います。
 

25歳で大悟しましたが、天衣無縫というか、風狂そのものの生き方に、生前から賛否両論がありました。


仏教ではもとより戒律を守ることが求められます。

しかし一休は、故意に戒律に逆らった生き方をしていたようです。

酒を飲み肉食もしていましたし、34歳頃には子供もいました。


「持戒は驢となり 破戒は人となる」

 

戒律を正しく守る人は来世にロバとなり、破戒する者は人となって生まれ変わる。


蓮如の持念仏の阿弥陀如来像を枕に昼寝をしていた一休にとって、仏教の戒律などそれこそ他人事だったのでしょう。


冒頭でご紹介した3首は一見釈迦を揶揄するような句ですが、それは当時の仏教界への痛烈な批判であったように感じます。


自由奔放に生き抜いた一休の誇り高い気概を、読み取っていただければ幸いです。