花を手でつまむことを粘華と言います。

粘華微笑とは、釈迦と摩訶迦葉との間で起きた奥義伝承の美しい物語です。


摩訶迦葉は、頭陀第一とされた十大弟子の一人として知られています。

 

釈迦の信頼が厚く、釈迦が涅槃に入られてから後、その教団の指導者となり、王舎城で第一回結集を行なった人物です。禅宗では特に重要な位置を占めている仏弟子です。
 

釈迦は晩年のある日、霊鷲山に弟子たちを集め、説法の座につかれました。

皆釈迦の貴重な説法が聞けることを期待しつつ、法話の始まるのを待つのですが、釈迦は何も語ろうとしませんでした。


しばらくして釈迦は、一輪の華を胸前にかざして、ゆっくりと拈りました。

その場に会した弟子たちの誰もがその意味を理解できませんでしたが、唯一、摩訶迦葉だけは静かに微笑みました。
 

自らの得た法の核心が、まさにその瞬間に摩訶迦葉に伝わったと、そのとき釈迦は、皆に告げたと言われています。

 

それゆえか、彼は後に釈迦の後継者となられたわけですが、以心伝心によって真理を伝えることができるという禅話でもあります。