オランダでは、アール・ヌーヴォーが終焉を迎える19世紀初頭、創作は個人の感性を絶ち、客観的な表現を目指す事、又、機能的・合理的な現代生活にかなう様式を確立する事を目的とし、『デ・ステイル(1917-1931 De Stijl)』運動が始まりました。
デ・ステイルは、自然、感覚的な曲線を手本とするアール・ヌーヴォーの思考を払拭し、造形の3次元的なヴォリュームを、造形の基本となる平面に還元、整理、再構成し、対象を客観的に、普遍的にとらえ、直線的、幾何学的模様による表現を試みました。
又、機械技術の発展が純粋な形態を生み、機械による生産方式を採用する事が、純粋な美を創造する事を提唱します。
運動に参加した ピエト・モンドリアン は、個性的なもの、感性的なものを否定し、純粋性、普遍性を求め、抽象的構成を目指しました。
『純粋な造形的表現は、線、面、色彩の関係により創造される』 と主張し、主観的、感覚的な色彩表現を絶つために、色彩を赤、青、黄の3原色と黒、灰、白のみに限定しましたが、それは、デ・ステイルが、他の近代建築運動・芸術運動に比べて色彩的な印象が強くなる結果にもなりました。
左のリートフェルトの直線、面材で構成される椅子 『レッド&ブルー』 や、水平線、鉛直線、それらの線が集まり面を作り出し、面の集合体が造形を構成する住宅 『シュレーダー邸』 は、デ・ステイルの理念を具現化しました。
デ・ステイルは、同時期のバウハウス(Bauhaus)、キュビズム(Cubism) などとも深く関わりを持ちました。