三日月情話の舞台を訪れて(その1) | ロックのつれづれなる日記

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というわけでWCCFあんてなに登録していたためにお蔵入りしていたネタを一つ。

今年の3月末を持って東海テレビ製作のドラマが終了します。
ここから数多くの社会現象を起こしたドラマが飛び出しました。
これで帯ドラマというものがNHKの朝の連続ドラマだけになりました。
これも一つの時代の切り替わりなのかもしれません。

そもそも、昼のドラマは1960年代にライオン奥様劇場(「ごきげんよう」の時間帯に放送されていた帯ドラマ)、TBS系列の「ポーラテレビ小説」・「花王愛の劇場」、毎日放送が制作する「妻そして女シリーズ」、中部日本放送が制作する「昼の連続ドラマ」(※後に毎日放送と中部日本放送のドラマ枠は30分枠の「ドラマ30」というタイトルになり交互に制作した作品を放送するようになった。なお、この「ドラマ30」という名称の後に「ひるドラ!」のタイトルにに変更)があり、そこから約半世紀の間続きました。

それにしても昨今のドラマの元気の無さにはひとえに家族でテレビを見るという環境が揃っていないことも考えられるかと思われます。
居間に家族が集ってテレビを見るという光景はもはや絶滅しておりますし、ゴールデンタイムに家に帰れるサラリーマンも極まれ。
それでも旧態依然の放送形態ではそりゃ視聴率も伸びませんな。

文化や言葉も時代が変われば意味も姿形も変質するものです。

ちなみに東海ドラマ制作のドラマ枠では「牡丹と薔薇」「真珠夫人」などといった世間を賑やかした衝撃的なドラマが作られました。

牡丹と薔薇

真珠夫人

歴史は古く、放送が開始されたのは1964年。まだ白黒の時代である。当時は15分番組であったが後にカラーになり30分枠の番組となる。
その30分枠になった最初の番組が1976年の4月より放送された『三日月情話』である。

タイトル

三日月情話オープニング

歌っているのは主演の藤田弓子さん。ちなみに作詞は石坂浩二!!


この三日月情話という作品、恐ろしいくらいに昼ドラ・・・というかドラマの枠組みを超えたトンデモ作品である。
基本的に昼ドラというとメロドラマとか不倫物とか時代を写した女性(主に妻)が体験したり体験しうる話を中心としているがこの「三日月情話」にはそんな常識が通用しませんw


日本各地に残されている「浦島伝説」を題材に、揺れ動く男女の心情をからめて物語が進行する。
男女2人が全裸でもつれ合い転がるオープニングでも有名である。
特に前半は、実際の大学教授や宮司にインタビューを行ってドラマが展開してゆくという、ドキュメンタリーのような斬新な手法が試みられた。
脚本は、少数民族や日本の古代史に造詣の深い佐々木守が担当した。
また、円谷プロから派生した日本現代企画が製作に携わり作品独自の世界を作りあげていった。
(wikipediaより)

この紹介文を読むだけでも明らかに昼ドラ向けではない。というか完全に実験作だ。
何せ主人公「克子」の夫が突然「竜宮城へ行く」と言って失踪するところから始まる。

こんな導入の昼ドラあるか? 深夜のドラマでもなかなか無いぞ。

その夫を追って日本各地に伝わる「浦島太郎」伝説の残っている地を訪れて行くのだが、その行く先の寺社や民俗学の研究家を訪れるのだが完全にドキュメンタリーのノリである。
インタビューをしているシーンはマイクを大学教授に向けていたりしていて完全にドラマではないw まるで歴史研究物の番組である。

野口武徳
沖縄民俗学の研究者の第一人者、故・野口武徳先生にもインタビューしている。
ちなみにこの先生、元巨人軍川上哲治監督のお宅に、若き日の長島茂雄氏と一緒に下宿し、川上氏の息子さんの家庭教師をしていたとか。

当時、主演の藤田弓子さんは朝の情報番組「小川宏ショー」にてリポーターをしていたこともあり、敢えてそういう手法を見せたのかもしれない。これもユニークな演出を好む佐々木守先生のアイディアであろう。

#ちなみに本編内での銅鐸の使い方が近年の研究でわかった正しい使い方と一緒で本当にビックリした。そこまで予測していたとは!! 恐るべし!

ちなみにその近年の研究による使い方は歴史秘話ヒストリアこの回で紹介していました。



ちなみにこのドラマ、アニメで言うならば「へっぽこ実験アニメ」状態である。

エクセル
呼んだ?

特に古来から日本に暮らす民族(出雲族)と大陸から渡ってきた騎馬民族(久米一族)との民族紛争を描くというのがどう考えてもおかしい。
日本で民族紛争を起こそうというのが凄まじい。
まぁこれは佐々木守さんが他の作品でも色々とその一端は垣間見れるのであるが・・・(「アイアンキング」での不知火一族とか、「お荷物小荷物」の沖縄から来た主人公のこととか・・・)
とはいえこれは昼ドラである。何度も言う。これは「昼ドラ」だ!

不知火

不知火一族

昼ドラを見ている奥様方にはこんな民俗学・考古学の話には完全にポカーンであったろう…。


もちろん昼ドラなのでお色気シーンもある。主演の藤田弓子さんの体当たり過ぎる演技には色々と驚かされた。


藤田弓子

主人公、克子役の藤田弓子さん

特に、ストーリー中盤で何度、海の中に突っ込むシーンがあったかw
後に本人も話していたがとにかく走るシーンの描写が多くて大変だったと言っていた。
奇しくもこの三日月情話以来の東海テレビの昼ドラに出演した時のインタビューとはこれも運命か・・・。

「明日の光をつかめ」出演者インタビューより
#どうでもいいがインタビュー内での三日月情話の放送年が74年になってるな…。

実際、本編を見ていると幾度と無く走るシーンが出てくる。
ストーリーの疾走感を描いているのかもしれないがとにかく走る走る。特撮なのかよと言わんばかりである(まぁ制作が「日本現代企画」なのであながち特撮であるのも間違っていないが)


にちげん

OPより。
「日本現代企画」は円谷プロ出身のメンバーで作られた技術者集団であり、「レッドバロン」シリーズや先述の「アイアンキング」の制作協力をしていた会社である。短い活動期間であったが特撮以外にもこういったドラマの制作を行なっていた。


前置きが完全に長くなった(というかもういっぱいじゃないかw)。

このドラマが昨年の6月頃に「チャンネルneco」で日曜深夜に集中放送されたのである。
「驚愕展開の連続」というCMコピーに釣られて録画機器のない私は連日深夜に起きて見続けたのである。
(放送時間が日曜深夜0時から2時まで)
なにせその為に8時くらいに寝て0時に起きるという生活をしていたくらいだw

そんなカルトな作品のせいか根強いファンの方も多く、その中でも聖地巡礼をかつて行ない何と生前の「佐々木守」先生にもインタビューをした方のサイトを発見したのだった。

水無月さんのHP



そのドラマの後半の舞台は出雲族が隠れ住んでいるという三日月村が登場する。
その本編にも登場した神社がすごい傾斜のある場所にありどんな今でもあるということで何だか興味が沸きドラマのロケが行なわれたと言われている千葉県安房勝山に向かったのである!!!

つーか内容は3行でカタがついた…。


次回は現地の写真を当時の映像と比較して紹介します。