先般、金スマと言う番組の中で、志村けんさんが奇しくもコロナにより落命される直前、その口に遺された、所謂「金言」についての言及がなされました。今回はそれについての感想を述べたいと思います。

 先ず、それには志村さんの生い立ちについて言及せねばならないのですが、志村さんは、ああ見えて、非常に厳格なお父様をお持ちでした。そのお茶の間に所謂「笑い」と言う要素はなく、食事に至ってはひたすら寡黙に正座して喫食されていたそうです。そんな中、ある事が起きたそうです。それは、あれ程厳格だったお父様が、或るお笑い番組を見て、「ぷ!」っと吹いて、笑われたと言う事象でした。これには、志村さんも非常に驚嘆され、こんな世界があるのなら、ご自身もこの様な道を人生の選択枝に入れたいと思われたそうです。それと言うのも、志村さんは当時学校に於いては、所謂「変わり者」だったそうで、それを志村さんは、うまくプラスにとらえられ、酔っ払いの振りをしては、その場を和ませたそうです。

 そんな頃から、お笑いに関して才覚を発揮されていた志村さんが、本気でお笑いを目指そうと、故いかりやさんのお宅を、直接訪問され「弟子にしてください!」と雪のシンシンと降る中、実に12時間もの間、いかりやさんのご帰宅を待ち、そう述べたのだそうです。そこにいかりやさんは、熱意を感じられたのでしょうか?「今度うちを辞める奴が一人居るから来い!」と志村さんに命令を下されるのでした。私は志村さんの様に、根性がある方ではないので、12時間と聞くだけで、怯んでしまいます。しかし、志村さんは信じて待ったのでした。ここから私はどの様な状況にあっても忍耐を以て待ち続ける事の大切さを学びました。

 さて、そんな志村さんは、皆様もご存知の「東村山音頭」や「カラス何故鳴くの」や「ひげダンス」等多種に渡る、お笑いネタを遺されました。その新鮮さは今になっても錆ついておらず、実に多くの人を虜にするのでした。

 さて、そんな志村さんが金スマで遺された金言とは何でしょうか?それは「お笑いとはあったかい物なんだよ」でした。

 これは何を現わすでしょうか?それは、かの志村家で起こったお父様の「高笑い」に端を発する、所謂「お笑いにより、その家庭が和んだり、何だか温かい雰囲気をそのお茶の間に醸し出す」と言う事ではないでしょうか?そうです。志村さんの金言とは正にこれでした。

 ここからも志村さんが如何に偉大な方であったかが解ると思います。実に志村さんはそれ程までに、笑いを大切にされ、最後の最後まで人を笑いにより惹きつけて止まないのでした。

 そんな志村さんであった故にその落命報道には多くの人が涙したのではないでしょうか?私もそうでした。偉大な志村さん。大好きでした。

 さて、志村さんは、ではご自身にはどうでしたでしょうか?それは、ご自身にはかなりの厳格な視点をお持ちだった様です。それは、志村動物園で周知されたのでした。

 それにはこんな逸話があるそうです。それは、志村さんが、カメラリハーサルをされる際、最も気遣ったのは、現場スタッフさんであり、そして、このお茶の間にて志村さんのお姿を拝見する、私達でした。どんな内容でしょうか?それは、志村さんの言によれば「そんな所に居ては、お客さんにこのお猿さんの面白さが伝わないよ。」や、また或る時には、「ここでは僕(志村さん)をカメラに写さないでね。ここの主役はこのワンちゃんだよ。」でした。つまり、ここでは志村さんは自己を主張されるのではなく、あくまで他人や、動物を優先されたのでした。ここからも志村さんが如何に大きな人間であったかがお解りいただけると思います。つまり、志村さんの遺された金言「お笑いとはあったかい物なんだよ」に通じる物がないでしょうか?そうです。志村さんを見る私達、お茶の間を温めたのはそんな志村さんのお人柄だったのです。故に志村さんは多くの方々を魅了して止まないのではないでしょうか?私もここから、多くを学び、私の言動に責任を持ち、自身の言により周囲を温める。そんな存在になれたらと思いました。志村さん改めてありがとうございました。