G期が3年生だった1年間、”主任”はやたら「来年も担任、来年も担任」といっていた。


私にはわかっている。担任が一番楽だと思っているのだ。


きちんと仕事をする人からすれば、担任は非常に忙しいものだ。特に3教科の担当だと、1年次から模試がずっとあるわけだし、講習も年中やっているし、自分の授業準備だけでなく学年の授業を担当してくれる人たち(副担任など)に、学年指導計画を出さなければならない。教材の採用や進度計画なども全て担任が考えるし、小テストの作成なども基本担任がやる。


でも、”主任”は3教科の担当ではないため、これがない。ひどいと3年生になるまで一度も講習をやらないくらいだ。英語や国語と違って教科書が毎年変わるわけでもなく、数学のように次から次へと問題を解かねばならないわけでもない。小テストも宿題も補習もない。


しかも授業が面倒だと、NHKの教育用ビデオか何かを1時間見せておくだけの授業をやって、自分は教科室でお茶を飲んだり、何だったら平気で職員室に来て電話に出てしまったりする。(見つかったら大変なのにそれも平気)


一度授業中だと知らなかったAさんが、”主任”に電話を回してしまったことがあった。私が「えっ、授業中なのに緊急でもない電話に出ちゃったの?」と言ったら、Aさんにひどくムッとされた。別に私はAさんを責めているのではない。”主任”のくせに平気でこんなことをしていることに腹を立てているのだ。


話を戻す。


こんな風に楽な仕事しかしないのなら、せめて学年に入ったらそれ以外のことは切り盛りしてほしいのだが、それもない。更に一人に仕事が偏っていてもお構いなしなだけでなく、変な時間に『郵便局に行く』だの『銀行に行く』などのわけのわからない口実を使い、見回りの仕事を人に押し付けたり、自分の苦手な他部署の主任に話に行くのを嫌がり、若手に押し付けたりする。


こんな状態で”主任”と名乗らないでほしいと本気で腹を立てているところに、「校長にさぁ、来年担任どうですか?って言いに行ったんだけどさぁ」とへらへら話されると、「わぁ~~~!」と叫びたくなる。


この年の”主任”は最高潮にひどかった。主任としての仕事は、前年度 I が作ったプリントをそのまま日付だけ変えて出すだけ。何を聞いても「わかんない」「覚えてない」ばかり。今まで何度もやったはずのことなのに、「わかんない」を連発し、私が発言すると「え~、そうだったっけ?」と覚えていないくせに否定してくる。


短期休業に入ったDさんのバックアップもしないばかりか、復帰したDさんが時短勤務なのに仕事を割り振ろうとしたり、Dさんがした伝言を私たちに伝えなかったりと、毎日のように色々な『やらかし』があった。


生徒が提出してきた解答や英作文を私が添削している最中に、”主任”は頭の横で人差し指をくるくる回し「ふにゃぁ?」みたいなおかしな声をずっと出していたり、PCの設定がわからないと手足をバタバタさせたり、休みなのに緊急ではない、ほんのくだらないことで電話をしてきたりと、私は毎日神経を逆なでされる思いだった。


挙句の果てにはTNさんが怖いからと、企画調整会議に出るのを渋り始めた。一度TNさんに恫喝された時に、私たちには「それがどうしました?ってけんか売ってやったんだよ」とか「その後もひるまず反論したんだ」と言っていたのだが、他の人に聞いた話では恫喝されて返事ができず、ただそそくさと逃げたらしい。


そして挙句の果てには、「帰りの電車でホームから突き落とされるのではないかと不安だ」という理由で、1時間休暇を取ったり、退勤時間ぴったりに帰ったりすることすら出てきた。


私はずっと内心「私が異動ならこいつは残れ、こいつが異動なら私は残りたいっ!」と唱えるようになった。(もう、こいつ呼ばわり…)しかし、この願いはかなうことはなかった。