ヴィム・ヴェンダース監督、 役所広司さん主演の映画「PERFECT DAYS」を見ました。

トイレ掃除を生業にする男性の話なのですが、
こんな風に生きられたら良いなあという、監督の思いを込めた映画だそうです。

東京の下町のボロアパートに住み、早朝に起きて、着替えて、車で現場に行き、そこでトイレを掃除して、帰宅。お昼は神社で食べて、夕食は食堂、自転車で銭湯に行き、時々は古本屋で本を買い、夜は本を読んだり、音楽を聞いて就寝するという、判を押したような生活を続ける男。

たまに、同僚の若い男、親戚の女の子、飲み屋の女将、古本屋の店主等と会話するくらいで、無口で余計な事は話なさずに、黙々と生きています。

でも、楽しみがない訳ではなくて、神社で掘り起こした小さな木の芽を育てたり、神社の木漏れ日の写真を撮って現像したり、それなりの楽しみを見いだして、幸せそうに生きています。

映画は特に大きな事件もなく、淡々と男の日常を追っていくのですが、映像がとても綺麗だし、細やかではあるものの多少の波風もあり、退屈せずに最後まで見られました。

監督本人も言っていたけれど、こんな映画を日本人でなくて、ドイツ人の監督が撮るなんてと、驚かせられました。日本人から見ても、違和感のない日本でした。小津安二郎監督の大ファンらしいです。
男は、樿のお坊さんのイメージだそうです。

東京は都会ではあるけれど、まだまだ戦後のような
ボロアパートや銭湯、古い建物が残っています。

スカイツリーや高速道路や高層ビル群の風景、トイレも最新な設計ではあるけれど、上野の地下街や下町の風景も東京らしい一面もあります。

東京は、混沌とした所が魅力なのかもしれません。

欲を捨てると人は幸せに生きていける、優しさや思いやりだけが、この世では最も尊いもの、というメッセージが強く伝わる映画でした。

この映画の前には、「デューン砂の惑星2」と「オツペンハイマー」を見ました。

どちらも、面白かったです。

「オツペンハイマー」は、、日本人としては複雑な気分になりましたが、、元々神経過敏な科学者が政府からの依頼で原子爆弾を造る、、お金と権力を持つと男は傲慢になり、他者への想像力も無くなって恐ろしい事態を引き起こす物を作ってしまう、、までとその後の結末までをスピード感を持って描いていました。

監督は、子供の頃から核爆弾の恐怖を聞かされ、
それを作った人=オツペンハイマーに興味があったそうです。

この人は、映画では核爆弾を日本に落とすように
推奨しているけれど、被害の大きさを知り、後に水素爆弾の開発には反対、そのせいで共産主義者ではないかという当時は不名誉な疑いを、掛けられて
しまいます。

65歳という若さで癌で亡くなっているので、被爆した可能性もありますね。

まあ、爆弾そのものは彼が開発しなくても、他の誰かがやり遂げただろうけれど、、日本に落とす必要があったのか、、そこはもっと真剣に考えて欲しいです、、

日本に来て講演会をしたりしてたらしい!本当に
ビックリです。本人もだけど、呼んだ日本人も、、

映画の出来は、途中から失速してつまらなくなりました。

「デューン2」の方が面白かったかも。
単に、宇宙の制覇争いの話だと思っていたけれど、
それもだけど、、血の話、血統の話みたいで、
最後は熾烈な権力争いになるみたいです。

この監督の方が好きなのかも。
「メッセージ」という作品がとても面白かったんです。家で録画したのを見たけれど、一度も休憩せすに最後まで見た映画でした。

「PERFECT  DAYS 」の話に戻りますが、、
案外と庶民はこの男みたいな生活をしてるのではと思いました。

監督は名声もあり、お金も才能もあるから、分からないのかもですが、夫も私もこんなものです。

朝から夜まで判を押したような生活をして、贅沢もせず、本当に細やかな幸せに生きている。

逆にもっときらびやかな生活をしてみたいと思ったりもしますよl(^o^;)

それと、トイレ掃除で思い出したのですが、
私が衝撃を受けた事があったのは、ある公園の公衆トイレに入った時なんです。

個室にいたら、鼻歌が聞こえてきて、外に出ると
掃除のおばさんが笑顔で楽しそうに鼻歌を歌いながら掃除をされていたのを見た時に、何というか、とても感銘を受けたんです。

こんなに楽しそうに仕事をしてる人がいるなんて!
驚いたし、良いなあとも思いました。

人の幸せって、何だろう?と思わさせられました。

だから、ベンダース監督が描いた世界はあながち
ない世界でもないんですよ。

夫の知人の妹さんは9匹の猫を飼っていて、毎月猫の医療費がとてもお金が掛かるそうで、仕方ないので金銭を援助してるくらいだそうです。

でも、その猫さん達は、趣味で飼ったのではなくて、ペットショップで働いていた時の売れ残りの猫さん達で、その人が引きとらないと処分されるから、可哀想で引き取ったそうです。それが9匹!
そんな人もいるんですね。

心優しい人はペットショップなんかで働いてはダメなんだよ、と夫は言ってたけど、、私はとても偉い人だなあと感動しました。

9匹なんて、どれくらい手間とお金が掛かるか、

私の中では、幸せに生きて欲しい人、ナンバー10には入りましたね。




一昨日くらいに撮った月の写真です。

最近は、毎日、チョコザップに行っています。

料理は、旬の鯵の塩焼きや、タケノコを茹でて、
春巻きを作ったりしています。

本は、村上春樹さんの短編集を読んでいます。
すっかりファンになりつつあります。

良い映画を観たり、面白い本を読んだり、自分で料理してご飯を食べたり、地味だけど、、そういうのが幸せかもしれません。

後は、病気、怪我がないように願います。

皆様のお幸せも願っています(^ー^)