娘(中3)息子(中1)2児の母です。

習い事をきっかけに息子が小6で『PTSD』

診断。その後、二次障害で『強迫性障害』

発症。息子、小6秋から不登校になり、

続いて娘も不登校に。


習い事のはじまり〜今までの

日常で辛かった事、子供たちとの関わりを

お話させていただいています。


子供たちがまた、心から笑って

過ごせる日を願う母の日記です。

前回のお話

はじまりの続き その10『見れていなくても、息子の症状から見えてきたもの』 


1番最初のお話

はじまり『あの頃は楽しかった』 



息子、小学5年生の10月。



コロナの影響で
毎日の練習を見る事ができなかったが
息子の異常な症状から
日々の練習が
どれだけ過酷なのか
感じ取れてはいた……。


しかし
息子は、
技の技術への厳しさよりも
人格否定をする暴言で
日に日に追い込まれていたのだ。


そんな中
行われた全国大会では、
さすが6年生。
上位には6年生が続き、
5年生が6位、7位と続き
息子は7位だった。


来年の全国大会では
6年生が卒業し、
優勝を狙える地位で
5年生の全国大会を終えた。
この結果が
後々、
どんな意味をするのか……。


全国大会を終えた翌日からも
先生と息子は
来年の全国優勝を目指して
新たな気持ちで
休む事なく
練習をスタートした。
息子からも
いつにもなくピリピリとした
緊張感を感じていた。



どうか息子よ。
小学生最後の舞台、
無事に終えられますように……。
私は心から
願った。
今まで以上の
過酷な練習になるだろうと
思っていたから……。
技への厳しさは
必要だと思いますが、
どうか
息子を
否定するような
暴言で傷つけないで
もらいたい…と
心底に願った……。



その矢先に
息子は
技の練習中に
怪我をしてしまった。


息子は、
失敗をしてしまった瞬間、
自分が怪我をした事よりも
やばい……どうしよう……と
青ざめた
引きつった顔で
咄嗟に先生を探し、見た……。


先生は言葉にはしていないが
ものすごく
不機嫌そうな顔つきに
一気に変わった…。


1人の選手が息子に声をかけ、
みんなが息子に
注目していた。


「頭から血が凄い出てる!
 大丈夫?」

そう言われて、
初めて息子は自分の頭が
切れてしまっている事に気づいた。
着ているTシャツが
真っ赤に染まっていた……。



自分が
ここまでの怪我をしていながらも
咄嗟にまずは、
先生の顔色を気にしてしまう状況に
私は不安を覚えた。

それでも息子は、
まずは先生への対応をし始めていた……。


怯えながら、
頭を押さえながら、
息子は、
先生の所に歩み寄って行ったが、
先生が息子に声をかけて
歩み寄る事もなく、
私の所に来て、
「今から救急へ連れて行くので
一緒に来てください」と言った。


 私は、
「先生、すみません……。
 よろしくお願いします……。」と返し
 急いで車のある駐車場へ
 息子と行った。


 息子と一緒に
 先生の運転で救急へ向かった。



 今でも忘れられない
 この車内での異様な緊迫とした空気……。



 先生は息子に、
 「大丈夫か?」
 「痛くないか?」
 「もうすぐで着くからな」
 など、一言も声をかける事なく
 ただただ
 怒っている様子で運転をしていた……。



 私も息子も
 この異様な雰囲気が怖くて、
 恐怖に感じ
 押し潰されそうで
 たまらなかった。



 救急病院へ着いた。



 先生は、何も言わず
 車の自動ドアを開けた……。
 あまりの静けさに
 ドアが開く音までもが
 大きく感じた……。


 やたらと
 変な緊迫感があった……。



 先生も、
 一緒に来てくださるかと思いきや
 無言で車のドアを自動で開け、
 動く気配は一切なかった…。

 先生は息子を睨んでいた……。



 先生は、すごく
 怒ってると察した……。



 待合室での時間、
 息子は、とにかく
 先生に怒られる事を
 気にしていた。



一緒に車に乗っていながらも
「先生、怒ってた?」
「先生、どんな感じだった?」
「先生、俺の事を凄い目で睨んでた…。」
「また戻ったら練習できる?」


 次から次へと
 恐怖からの質問攻めだった。


 私は
「先生は、何も言わないけどきっと
 心配しているからだよ。大丈夫だよ。
 今、あまり心配して考えると頭が痛く
 なっちゃうから…。大丈夫だからね。」
 と、息子が落ち着くように
 言葉を返していた。


 息子は、ホッチキスで5針
 止めてもらい治療を終え、
 恐る恐る………
 車に戻った。


「大丈夫でしたか?」
「どうでしたか?」の一言もなく
 また、無言で自動ドアが開き、
 息子と私が車に乗った瞬間に
 車は、練習場所に向けすぐに
 動きだした。


 この異様な空気の中での
 無言が本当に怖かった……。


 先生、お願い…。
 息子に一言でもいい。
 「大丈夫か?」って声をかけてあげて……。


 そんな一言でも、
 どんなに息子の心を救ってくれる
 一言に変わるか……。


 この1年間を通して
 子供たちが先生に1番求めて、
 欲しているものが何かを
 息子を通して、
 痛いほど感じてきたから……。



 お願い、先生……。



 しかし、
 心の中で切実に願う思いは
 叶わず、
 異様な緊迫とした空気は
 続いた……。



 治療を終えた息子の事を先生に
 報告をしなくてはいけないと思い
 私は、
 「先生、練習中に怪我をしてしまい
 すみませんでした……。
 今、診察と治療をしてもらい
 傷口はホッチキスで5針止めてもらい
 ました。
 明日、消毒をするために外来診察を
 受けるように言われました。」

 と、私が先生に説明をしても
 先生からの返事は一言もなく、
 無言のまま
 練習場所に着いた。

 
 そんな
 私と先生とのやり取りを
 隣で見ていた息子は、
 どんな気持ちで見ていただろうか……。
 
 
 そして、
 どんな気持ちに
 させてしまっただろうか……。


 練習場所に着いて降りた息子は、
 無言のまま
 どんどん練習会場へ歩いて行ってしまった
 先生を必死に追いかけ……。
 
 かなり顔が
 引きつっていた……。



 先生に追いついた息子は
 先生に言った……。
 「練習中に怪我をしてしまい
 すみませんでした……」と。


 先生は、
 そんな息子に振り返る事もせず、
 練習場にいる館長への報告を
 優先にしていた……。

 ただただ息子は…
 そんな先生の後ろを必死に
 追いかけていた……。

 窓越しに見えた
 そんな息子の姿が
 とても切なく
 悲しく思えた……。



 すると、
 ものすごい剣幕で
 自分を追いかけてきた息子に
 先生は言った。

「てめえは、何、怪我なんかしてんだよ!
 お前みたいな奴は邪魔にしかならないから
 早く帰れ!邪魔なんだよ!!
 さっさと消えて!目障り!!」と、
 ものすごい怒鳴り声が外にいる
 保護者たちまで伝わっていた。
 
 会話をしていた保護者たちも
 その怒鳴り声で一気に静まり返った……。


 「お先に失礼します……
  ありがとうございました…。」と
  震える声で言い
  息子は、練習場から出てきた……。
 
 
 保護者のみんなが
 「大丈夫?」と気にかけてくれた
 息子への優しさが
 とっても温かく救われたが
 息子も私も
 逃げるように練習場から
 去った……。

 

 「大丈夫?」
 
 
 先生から、
 息子に言ってあげて欲しかった
 一言だった……。



 翌日、息子は
 先生の所へ行き、
 また改めて
 怪我をしてしまった事を
 謝罪しに行った。


 先生も息子を
 心配だったようだ。


 不器用な先生とはいえ、
 自分の感情を優先にし、
 子供たちが傷つくような言葉を、
 子供たちの耳に
 届けてしまってはいけない……。
 言葉の伝え方があると私は思った。



 だが、しかし
 また、息子は先生をかばうように
 私に言ってきた。
「先生は僕の事が心配で仕方がなかった
 んだよ。それに、これからまた全国に
 向けて練習っていう時に怪我をしちゃった
 僕の不注意だったから。
 もう、同じ失敗を繰り返さないように
 僕が気をつけないとね。」
 と言ってきた。


 昨日、あんなに先生に
 怒鳴られたのに……。


 息子は、今日この日までも
 自分のこの習い事のために、
 色々な事を我慢をし、
 本当によく頑張ってきた。


 小学1年生からずっと
 ひたすら真っすぐ
 目標に向かって、
 色々な事もありながら
 必死に自分に言い聞かせながら
 乗り越えてきた息子。


 小学生最後の集大成として
 息子は、この1年に賭けているんだなと
 改めて悟った。


 乗り越えていくって
 こういう事なのかな……と思いながら
 今、またこうして
 自分自身に挑戦をし
 目標達成を掴むために
 前を向いている息子を
 見守り続け、
 応援していこうと、
 私自身の中でも、
 これからの1年間に
 誓った瞬間だった。


 
 その後、息子から
 以前のように
 大会に対する熱く思う気持ちを
 久しぶりに聞く事ができた。
 楽しかったあの頃の息子を
 見ているように感じた。
 

 
 私はとても嬉しかった。
 苦しく辛く、大変な事を乗り越えながら
 強く成長していく息子の姿に
 今までの事が報われたような
 気持ちになれた。




 しかし、
 それは違っていた……。

 
 
 
 まだ、コロナによる
 制限があり息子の練習を
 練習終わりの1時間しか
 見れなかった私は、日頃の息子から
 息子の調子を読み取るしかなかった。



 時間さえあれば
 家でも練習をし、
 イメージトレーニングをし、
 その先にある大会の話を息子は
 よくしてきてくれていた。
 

 
 そんな息子からは
 読み取る事が
 できなかった現状を
 毎日練習場に居て、
 低学年に選手コースの基礎を
 教えてくださっている先生が、
 (息子も1、2年生でお世話になった先生が)
 私に言ってきた。

「練習、前より全然
 しなくなっちゃったね。
 どうした?何かあったのかねぇ。」
 と言って首をかしげながら
 立ち去って行った。



 そんなはずはない。
 私は、逆にそう話をしてきた
 先生を疑った。


 そして、私は知った……。
 怪我をした以来も
 先生からの暴言が続いていたのもあり、
 いつの間にか
 息子の体は
 息子の言う事を聞かなくなってしまい
 思う通りに練習ができなく
 なってしまっていたのだ……。


 息子は、
 私にそんな素振りは
 見せてこなかった。
 そう……。
 そんな自分を見せたくなかったのだ。
 
 
 私は、
 他の保護者から教えてもらい
 今の本当の息子の姿を
 知る事となった。
 

 後々見えてくるが、
 息子は、
 息子をご指導してくださっている
 先生の前でだけ
 思う通りに
 体が動かなくなり
 出来なくなってしまっていた……。



 今までの事、
 怪我をしてしまった時の記憶を
 打ち消そうとしていた息子だが、
 何かある度に
 自分の感情を優先にし、
 暴言をあれからもずっと
 言われてきた息子の心は崩れかけ
 先生の前だけは
 次第に、
 思い通りには
 いかなくなってしまっていた……。


 
 練習をやる度に
 記憶の暴言と目の前の暴言が
 息子を追い詰め、
 苦しめていた。


 
「安心して大会に向けて練習をする」
 と、いうより

 失敗をしたら
 先生の機嫌が悪くなる


 失敗したら
 先生に怒鳴られる


 失敗したら
 捨てられる。もう見てもらえなくなる。


 練習場所なのに
 失敗を恐れてしまうように
 なってしまった息子……。


 
 息子の心がこのあと……。
 
 
 
 大会が始まる事で更に
 先生から求められるもの
 先生からの暴言、
 年下の仲間からの嫌がらせも重なり
 息子の心が
 悲鳴をあげていく事に
 なってしまった……。




 つづく

 

 最後まで読んでくださりありがとうございます。