娘(高1)息子(中2)2児の母です。

習い事をきっかけに息子が小6で『PTSD』

診断。その後、二次障害で『強迫性障害』

発症。息子、小6秋から不登校に。

続いて娘も中3夏休み明けから

不登校になり、

2024年4月から通信制高校へ入学。



習い事のはじまり〜今までの

日常で辛かった事、子供たちとの関わりを

お話させていただいています。


子供たちがまた、心から笑って

 過ごせる日を願う母の日記です。


はじまりの続き その26『過去の記憶が邪魔をする』



はじまり『あの頃は楽しかった』





 そんな日々を過ごしながら

 以前に予約をしていた子供専門精神科を

 受診する日が来た。


 

 初めは、息子が

 『僕、病気なの?』

 と言い

 行く事を拒んでいたが、

 『先生に色々お話を聞いてもらう事で

 気持ちが楽になれるからね。』

 と伝え、

 病院へ向かう事ができた。



 

 この病院は、

 最初に

 『先生対子供』。

 子供は診察を終えたら診察室を退室し、

 次は、

 『先生対保護者』

 という形の診察だった。



 初診では、

 精神科の先生、小児科の先生、本人と

 3人でじっくり話をし、聞くため

 1時間以上の時間がかかった。



 息子の初診が終わり、

 入れ替えで私が入っていったら

 先生が、

 『今、息子さんから色々な体験を聞きましたが

 本来なら小学生がしなくてもいい

 辛い経験を沢山、長期に渡りしてきて

 辛くて大変でしたね。

 ただ1つ気になるのが、息子さんから

 指導者の先生に対する怒りがあまり

 感じてこなかった事で…。

 もっと本当なら見えてきてもいいかなって

 思ったので、そこが逆に心配でした。』

 という

 息子と接した先生からの

 最初の言葉だった。


 そして、先生は

 『PTSDで間違いないですね』

 と、

 息子の辛かった気持ちに

 寄り添ってくださりながら、

 症状の説明をしてくださった。

 

 それから私は先生と

 色々な話をし、終え、

 待合室へ行くと

 息子は先生から渡された

 マークシートアンケートを

 記入していた。



 静かに息子の横に座り見守った。



 次から次へと

 マークしていた息子が

 鉛筆でどの項目よりも

 強く、濃く、はみ出す位に

 何度も何度も何度も

 自分の感情を訴えているかのように

 マークするというより

 塗りつぶして、

 記している箇所があった。


 

 『怒り』『恐怖』

 という項目だった。



 

 言葉にして

 自分の気持ちを発する事自体、

 このクラブの子供たちは、

 先生が怖く

 自分の感情を出し、

 伝える事すら困難な事だった。


 先生の機嫌を損ねないように、

 先生が笑っていてくれるように

 必死に毎日、先生の顔色を伺っていた

 子供たち…。


 なので、

 病院の先生には冷静な態度で接し、

 紙の上では

 自分の感情が強く出たのだろう…。

 

 指導者には

 絶対服従のクラブの様子を

 この瞬間、

 改めて感じた……。



 クラブを移籍しても聞こえてきてしまう

 前クラブの指導者からの暴言。

 

 向こうから先生が見ているように感じ、

 家でも誰かが覗いているように感じ。


 習い事のスポーツも

 環境を変えたとはいえ、

 思い通りに出来ない日々。


 ドラえもんが後ろで手を組んでいると

 自由が利かないように

 手首を縛られているのではないか?

 と、思ってしまい

 テレビが見れなくなってしまった日々。


 前クラブの練習のように

 逃げ場のない空間である

 車、電車などに乗ると

 息苦しくなったり。


 

 そんな息子を

 支えてくれている

 息子の中にいるもう一人の存在…。

 ブツブツブツブツ……いいどの。

 息子の脳内で、

 誰かが息子に『いいんだよ』って

 言ってくれていた症状。

 この頃、

 息子が口によくしていた言葉

 ブツブツブツブツ『いいどの』だった…。

 

 

 『先生に殺される』と言いながら、

 不安や恐怖から

 夜も眠れず、眠り始められるのが

 いつも朝方4時頃になってしまっていた。

 昼夜逆転生活だった。



 そして、

 ずっとずっと頑張り続け

 勝ち取ってきた

 小学生最後の全国大会を

 棄権せざるを得なくなった。


 6年生になり

 優勝候補の1人にもなれ、

 このスポーツを始めた頃から

 目標にしてきた『日本ジュニア強化選手』に

 なれる可能性を秘めていた

 この大会…。


 息子は、

 『また、中体連で頑張ればいいよ!』

 と、言っていたが

 結果的にそれも、

 思う通りにはいかなかった

 中学1年目だった…。



 病院の先生が、

 『今の症状からすると

 薬を飲んでまずは、

 心を落ち着かせて

 生活ができるようにする事が大切だと

 思うんですよね。

 ただ、この薬を飲むと副作用として

 食欲が出てしまい

 体重が増えてしまう可能性もあるので、

 スポーツをやってる◯◯くん(息子)には

 辛いかも知れないんですけど、

 何を優先するかってなると、

 まずは辛かった気持ちを落ち着かせる事だと

 思うので。』

 と、

 おっしゃった。


 

 私

 『できれば薬は避けたいけど、

 飲んだ方が良いんですよね……。』



 病院の先生

 『そうですね…。

 まずは、安心して生活ができる事が

 大切になるのでね。』

 と、病院の先生は

 優しく話をしてくださった。


 

 

 全国大会を棄権し、

 リスパダールを飲む生活が

 この頃から始まった。

   



 全国大会では、

 同じ県であり、

 息子と同じ6年生の選手が

 優勝をした。


 クラブは違うが、

 大会ではいつも顔を合わせ

 互いに良い刺激を受ける

 友達でもあり、

 よきライバルの仲だった。


 そして、

 同じクラブからも全国大会に出場した

 6年生がいて、

 その選手は、種目別で全国優勝をした。

 もっとも、息子が得意とする種目でもあり

 昨年は、5年生ながら息子は2位になり、

 今年は、種目別でも優勝を狙える地位だった。


 

 息子は、

 そんな仲間たちの活躍を喜んでいた。

 仲間たちに

 『おめでとう!』と伝えていた。


 そんな日の帰り道、

 息子は私に言った。


 『仲間が活躍した事は本当に嬉しい!

 でも、正直言うと悔しい……凄く悔しくて、

 何とも言えない気持ちになるよ…。

 俺も出れていたらって思うと

 たまらなく悔しい気持ちになるんだよ…。』


 私は息子に返した。

 『ほんとだね。

 今まで、この大会に向けて

 頑張ってきたからこそ悔しいよね、

 悔しくてたまらなくなるよね。

 その悔しい気持ちもありながら

 仲間に「おめでとう」って言えて、

 ほんとに立派だったね。』

 と、伝えた。


 習い事帰りに

 お互い自転車に乗りながら

 交わした会話…。


 息子は、

 私の言葉を聞いて

 『先に行ってるね』

 と言って、

 自転車のペダルを速く漕ぎ始めた。



 『先に行ってるね』

 と言った息子の目には涙が溢れていた。

 悔しくてたまらない涙だ……。

 だんだんと小さくなっていく息子が

 涙を拭いているのが

 はっきり分かった。

 

 

 そして、

 家に着いた私に息子は、

 『お腹空いたー』と

 言ってきた。



 悔しくてたまらないだろうに

 泣いた事を隠すように、

 いつもと変わらぬ様子で

 そう、言ってきた息子に私が

 たまらなくなり、

 ご飯の支度をしながら

 自然と涙が溢れて止まらなかった。


 

 そして、

 全国優勝した彼たちは、

 オリンピック選手たちもいる

 日本強化合宿などの参加権利を得て

 年に数回参加をし、

 1人は翌年、日本ジュニア強化選手になった。

 まさに、

 息子が長年かけて努力してきた先に

 描いていた光景だった。


 

 息子

 『お母さん!全国優勝したら

 オリンピック選手たちと一緒に練習が

 できるんだよ!めちゃくちゃ凄い事だね!

 最高じゃん!!

 俺、頑張って強化選手になって

 もっともっと、上手くなるからね!

 お母さん!応援してね!!』

 と、

 無邪気な笑顔でいつも、

 目標、夢を語っていた息子を思い出した。


 

 こんなに今のスポーツが大好きで

 人一倍の努力をしてきて、

 前クラブの先生たちも、

 息子の努力を認めていたのに……

 それなのに、

 なぜ選手を大切にできないのか……

 自分の感情からの暴言ではなく、

 選手が成長していけるような

 声かけができないのか……。

 思えば思うほど腹が立った。

 


 今日も、

 朝方までなかなか眠れずだった息子の

 寝顔を見て

 『寝てる時くらいは、嫌な夢を見ず

 ゆっくり安心して眠らせてあげたい』

 と、

 心から願いながら

 やるせない気持ちにもなり、

 何かをやっていないと

 ふと、思い出してしまい

 涙が止まらない1日だった…。

 

 でも、

 涙を出すのは

 息子が寝ている間だけと誓った。

 自分と向き合いながら頑張っている

 息子の前では笑顔でいたいから。

 息子がまた、

 心から笑えるように…そう願って。

 


 

 息子、小学6年生11月末だった。


 

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。