娘(高1)息子(中2)2児の母です。

習い事をきっかけに息子が小6で『PTSD』

診断。その後、二次障害で『強迫性障害』

発症。息子、小6秋から不登校に。

続いて娘も中3夏休み明けから

不登校になり、

2024年4月から通信制高校へ入学。



習い事のはじまり〜今までの

日常で辛かった事、子供たちとの関わりを

お話させていただいています。


子供たちがまた、心から笑って

 過ごせる日を願う母の日記です。


前回のお話

はじまりの続き その24『息子よりも自分たちのために』


1番最初のお話

はじまり『あの頃は楽しかった』



 息子、小学6年生10月。




 息子の目標は

 『全日本ジュニア強化選手になること』

 だった。


 そのためには

 大会で結果を残す事が

 必要だった。


 そのために息子は、

 週6日の練習を必死に頑張り続け

 学年が上がるにつれ、

 結果を残し、

 全国でも名の知れる

 選手へと成長していった。



 しかし、

 結果を出せば出すほど

 指導者からの暴言は酷かった……。

 恐怖を感じるくらいだった……。


 指導者からの違った

 愛情のかけ方により、

 息子は、

 日に日に笑顔を失くし

 練習前は、

 見ているわけでもなく、

 楽しんでいるわけでもなく、

 ただただ

 アニメ動画の一点をずっと見つめ、

 今日も始まる

 練習場所へ向かう恐怖心を

 練習前の自分に入り込まないように、

 今日の自分を今日も自分で守るために

 1年間以上、

 やり続けてきた行動だった…。

 


 『今の僕には、これが必要だから……。』

 と、

 息子が言った時は

 心が締め付けられる気持ちになった……。

 


 コロナもあり、

 息子の練習が見れなかった時期でもあったが、

 息子のそんな様子から

 どんな練習を受けているのか

 悟った…。


 

 今度は、息子の番だ……。

 このクラブでは、結果を出す選手が

 順番に精神的に追い詰められてしまい

 辞めていく選手が続いていた…。


 それから半年後

 息子は、

 指導者からの暴言を受ける度に

 先生から見えない場所で

 自分で自分を叩いてしまうように

 なってしまっていた…。



 

 息子にも限界がきた…。




 だが息子は、

 このスポーツが大好きで

 このあとには

 息子が長年かけて努力をしてきた

 『全日本ジュニア強化選手』をかけた

 小学生全国大会が控えていた。


 

 しかし、

 息子の状態を見るとこれ以上、

 このクラブで練習をさせる事は難しかった…。

 以前にも、

 息子と同じ状態になり、

 精神的に追い詰められてしまい

 自分の身を投げ出そうとした選手もいた…。

 その選手のお母さんは

 『息子が生きていてくれるだけでいい』

 と言って

 もっと早い段階でクラブを

 辞めさせれば良かったと、

 後悔していた…。


 

 息子を守るために

 息子と話し合い移籍をする事にした。



 だが、

 移籍する条件として

 このあと息子の出場が決まっている、

 長年かけて努力してきた

 『小学生全国大会』を

 棄権する事だと言われた…。

 

 自分たちの非を認めず、

 移籍をしようとする息子は

 『裏切り者』と言われ、

 最後には、

 自分たちのクラブ名で

 全国大会に出場しないのであれば

 棄権してください。

 だった。


 責めるように息子に尋問してくる

 先生に息子は、

 『出なく…ても…いいです……。』

 息子は、そう先生に返した。 

 

 このままクラブに残っても後が

 恐怖で怖くてたまらなかった息子……。

 ずっと、何かある度に

 裏切り者扱いにされるからだ。

 そして、練習では容赦なく求められる…。 

 


 あれだけの努力をしてきた息子が 

 どんな気持ちで、

 この一言に勇気を出して発したか……。

 先生たちには、

 そんな息子の気持ちを思いやる気持ちすら

 なかった。

 先輩お母さんたちから聞いていた話通りの

 先生たちの姿だった。

 

 


 自分たちの事しか考えていない姿だった。




 移籍後も、

 前クラブからの嫌がらせな仕返しがあった。



 そんな中、

 移籍先のクラブに前のクラブから

 電話が入った。



 『◯◯(息子)が移籍する条件として

 全国大会を棄権させるって言ったけど、

 もう、僕のクラブの選手ではないから

 全国大会に出てもらってもいいですから。

 そっちで好きにしてもらってもいいですから

 勝手にしてください。』

 だった。



 全国で名が知れている息子が棄権をする事で

 自分たちのクラブの名を

 汚してしまわないための

 電話だった。

 

 全国の先生、協会にも

 自分たちの悪事を知られないために…。



 あの時の息子は、

 『全国大会には出られなくても

 中体連でまた、頑張ればいいよ』

 と、

 今までの努力をこれからの自分に

 繋げようと前向きな気持ちだった。



 私は息子に聞いた。


 『全国大会に出てもいいって。

 どうする?』



 息子は迷いなく私に言った。


 『先生たちが出てもいいって言ったの?

 何て言ってた?

 出たいに決まってるよ!』


 移籍先のクラブで

 全国大会に出られる事を

 心から喜んでいた。




 

 息子よ、本当にほんとに良かったね、

 嬉しいね!





 今までの辛い苦しみから

 救われたような気持ちになった。




 

 これでやっと

 再スタートができる!


 息子も私も

 そう信じていた。



 まさか、

 環境が変わってからも

 こんなにも息子が苦しむとは

 誰もが想像していなかった……。



 

 PTSDによる

 フラッシュバックだった……。


 

 全国大会に出場できる事が

 決まってからの数日後。




 また、

 練習中の息子の心拍数が異常に速くなり、

 胸がぎゅうっとなり、

 息苦しさを訴えてきた…。



 それから毎日のように

 その症状が

 練習中の息子を襲った…。


 

 私は息子に

 『大丈夫?無理をしないようにね』と言い、


 息子は私に

 『せっかく全国大会に出れるんだもん。

 僕、今までの努力を無駄にしたくないし、

 とにかく嬉しくって。

 必ず強化選手になってみせるから。』

 と、

 大会に出場できる事を

 心から喜んでいた。

 

 この時はまだ

 きっと、

 だんだん落ち着いてくるだろうと

 思っていた。

 

 

 そんな息子の気持ちとは裏腹に

 毎日、大会に向けて練習をする息子の症状は

 日に日に悪化していった…。



 

 私は、練習中の息子を見に行った。



 そこには、

 今までと同じように

 練習をしている息子の姿があった。



 しばらく見ていると

 息子の異変に気づいた…。



 練習をしようとするのだが、

 ずっと一点を見つめ、

 見つめてる一点からパッと目をそらし、

 何かから逃げるように

 急にその場を立ち去り、

 歩きながら

 自分を落ち着かせている

 息子の姿だった……。



 練習を見に来ている私に気づき

 息子は助けを求めるように

 私に言った。




 『◯◯先生の怒鳴り声が聞こえて

 思うように練習が出来ない……』

 


 

 

 今までの

 私たちが想像する以上に過酷な練習の記憶が

 環境を変え進み出していた息子に

 襲いかかっていたのだ……。


 そんな事ってある?

 こんなに頑張ってきて、

 やっと楽しい気持ちを取り戻してきたのに…

 やるせない気持ちでいっぱいになった……。


 そんな症状が

 翌日も続き、そのまた翌日も続いた…。

 息子が

 『せっかくクラブを変えて頑張りたいのに

 練習をしていると◯◯先生が

 怒鳴ってくるんだよ!

 お前は、いらない選手!

 お前は、使えない駄目な選手!

 失敗してんじゃねーよ!

 バカかお前は?ふざけんなー!!って

 練習をやろうって思うと先生が

 ものすごい勢いで怒鳴ってくる……。』

 と、

 泣きながら

 思い通りに出来ない自分を

 悔やんでいた…。




 『何のために移籍したんだよー!!

 このスポーツが出来ないなら

 死んだ方がマシだよー!!』

 と、

 やるせない気持ちを

 泣き叫びながら

 吐き出していた…。



 

 その翌日も練習には行ったが

 症状は変わらなかった…。


 その日から息子は、

 夜も眠れなくなってしまった。



 そして、

 練習場だけでなく家の中でも

 前クラブの先生からの暴言が

 聞こえてくるようになってしまった…。

 

 空中の一点をじっと見つめ、


『先生に殺される…』


 『すみません…』


 と言ったり、



 『ブツブツブツブツ…いいどの…

 と、

 言う息子…。



 『いいどの』

 って何なのか?…

 この頃から、1日に数回

 息子が口にするようになった言葉だった。



 何日経っても

 口にする『いいどの』とは何なのか?

 心配になり、

 息子に聞いてみた。




 息子は言った。

 『頭の中で、僕が聞くと

 誰かが大丈夫だよ。

 いいんだよ。って

 言ってて、それが偉い御殿様なんだよね。』

 


 私は、

 普通に話をしてくれている息子の事が、

 心配を超える

 言葉では言い表せない

 気持ちになった……



 『いいどの』は


 『◯◯殿』。



 

 息子の頭の中で、

 先生の暴言から息子を救ってくれている

 存在があったのだ……。


 

 

 

 つづく





最後まで読んでくださりありがとうございました。