その当時,個別指導の塾はやはり少々割高で,中には途中で塾を辞めてしまう生徒もいた。
 イガスでの経験も少々長くなって来た頃の5月くらいに,中学2年生の「タカシ」という生徒が入塾してきた。

 中2の割には小っちゃくて,滅茶苦茶かわいらしいヤツだった。

 授業時間にもとても元気で,分からないなりに,宿題に関しても積極的に取り組んで来ていたので,すぐに結果は出せるだろうと思っていた。

 しかし,夏休み明けの2学期の中間試験まで経過したのだが,なかなか結果が出せないままだった。

 どうしたらよいかと何ともモヤモヤしていた2学期のある日,ヤマダイ先生から,急に「タカシが退塾することになった」と告げられたのだった。

 かなり力を入れていた生徒だったし,辞める素振りは少しも見せないままの退塾だったので,「どうして?」という思いだけが残っていた。
 少し時間が経ってから,ヤマダイ先生が「退塾理由を尋ねると,『結果が出ていないので』とのことだった。

 ただ,辞めることになったと伝えると泣いていたらしい」と教えてくれた。

 「塾は結果をすぐに出さなきゃダメなんだな」と痛感した一件だった。