イガスでアルバイトをし始めたころ,個人的に今一つ好きになれなかった生徒がいた。
それがコブキだった。
体も細くて,あまり力もなさそうなのに,いつも強いヤツのそばにいて,威張るというか,虚勢を張るようなヤツだった。
そんな彼を見ていて,いつも「何だこのスネ夫みたいなやつは?」と思っていた。
でも,ヤマダイ先生はそんなコブキのことを非常に気に入っていて,何かあるたびに「かわいいやつなんだよな」と言っていたのが印象的だった。
そんな彼にも高校受験はやってくるのだが,如何せん,勉強もかなり今一で,学力的には行けるような学校がなかなか見つからない。
恐らく,成績にも1がかなりあったのだと思う。私立高校の選択肢も非常に少なかったように思う。
そんな中,ヤマダイ先生が出した結論は,「野球で鹿児島の高校に行かせる」というものだった。
今でこそ,地方留学という選択肢は比較的知られるようになったが,その当時は,そんな選択肢があるのか?と思ったのを思い出す。
コブキは比較的野球は上手かったようで,そこをゴリ押しして何とかその高校にねじ込むという作戦だった。
結果的はというと,無事合格。
ただ,あのコブキがちゃんと最後までやりおおせるのだろうか?という不安は拭えなかった。
そこから数年後,イガスのメンバーがよく行く居酒屋で,何とコブキに出会ったのだ。
話を聞いてみると,やっぱり高校は中退してしまったようだ。
それでも,土管の仕事をしながら頑張った結果,不動産屋に就職できたそうだ。
以前のようなとがった感じは抜けて,少しは丸くなった印象で,社会の荒波にもまれた感じがした。
結局,頑張るしかないんだよね,この世界。
コブキももう半世紀は生きているはず。
ちゃんと頑張っているかなぁ。