上原ひろみ  | 明治書院

明治書院

公式ブログ

存在と時間

「私の居場所が分からなくなるんです。それでも、ピアノを演奏し終えて、こうして皆さんの笑顔を見ると、『ここが私の居場所だな』と思えるんです。」

彼女のピアノの才能や、獲得したグラミー賞の価値は素人の僕には分からない。


だが、彼女が今まで生きてきた年月(32年間およそ280320時間)のうち、ピアノの為に使った時間が、そのまま彼女の存在に繋がっている、そう思った。


彼女は獲得したのだと思う。

気の遠くなるような反復訓練で、無力感、挫折感、劣等感、期待感、喪失感、絶望感。

周囲に選択肢として無限に用意されている幸福であろうものの存在。

それでも彼女がピアノを弾くという選択をし続けたのは彼女にしか分からない強い何かがあったのだ。


幸福、憧れ、夢、努力、そんな言葉では到底処理できない強い何か、恐怖や強迫観念に近いものが、彼女の中に継続的に発生して、駆り立てたのではないだろうか。

その「強い何か」から自由になれるものが、ピアノだけだったのだ。

そういう気がする。
http://www.youtube.com/watch?v=xWNyn9Ttf8w&feature=p ムーヴ(初回限定盤)(DVD付)/ユニバーサル ミュージック クラシック

¥3,200
Amazon.co.jp


layer_embedded