群れの中から自ら抜け出すことが出来る人にとっては、孤独をプラスに、またエネルギーに変換することは、あるいは可能なのかもしれない。ただ、どの瞬間に孤独を感じるかはそれぞれ違うのも事実である。
例えば、ある日学校に行くとこちらからの発信など無い、まるで自分が存在しないかのような振る舞いをする友人たち、つまり突然のシカト状態になった場合に「孤独はプラスに作用する」と言われても本当に納得できるのだろうか?
また、突然の交通事故や病気でもたらされた家族の死による孤独の時間に何か身につけようと勉強するエネルギーは湧くのだろうか?
自らが進んでいく過程での孤独と、他者や災いによる何の脈絡もなく訪れる孤独とは別のものではないだろうか。
本書はそのことには触れず、ある一定の時間経過の後に訪れるであろう空虚に対しての提案であるように思う。
筆者もその矛盾には後半で気づいているが、楽観の持つ効果を最大限利用しようと試みている。
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