尊敬する女優(3)-キャサリン・ヘプバーン-
「名品ショップ
」店長の佐島です。
最近テレビに多く出演し、「オモニ(母)」などを出版して活躍している東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授の姜尚中(kang sang jung)氏。彼が昨秋NHKの教育テレビで司会をしている「日曜美術館」でこんな発言をしました。
「私の好きな女優は、ヘプバーンです。ヘプバーンと言ってもあのオードリーの方でなくキャサリンのほうです。」
私はこれを聞いて、物静かな割りに結構激しい意見を持っている方だと一種の警戒心を持っていましたが、かなり親しみを感じました。
というのもかのキャサリン・ヘプバーン(Katharine Hepburn 1907/5-2003/6)はどう見ても美人女優ではないのですが、すばらしい女優だったからです。
時代としてはあのグレタ・ガルボと同世代ですが、息の長い女優でした。
小さい時から演劇が好きで、12歳で劇団に入り、ブロードウェイにも立っています。
映画のデビューは「愛の鳴咽」(1932年)ですが、翌33年の「勝利の朝」で最初のアカデミー賞主演女優賞を獲得しました。彼女は4回受賞しましたが、男優含めて他にいません。
しかもすべて主演女優賞です。2回目「招かれざる客」(67年)、3回目「冬のライオン」(68年)、4回目「黄昏」(81年)です。見てお分かりの通り、2回目以降は歳を重ねてから矢継ぎ早に獲得しており、円熟味を増して益々演技力が備わっていったことがうかがえます。
事実、知的で良心的ですが神経質な女性を演じたら、彼女の右に出る人はいません。私が印象に残っているのは、「旅情(Summertime)」(55年)です。相手役はイタリアを代表する男優ロッサノ・ブラッツィ(1916年生)、監督は「戦場に架ける橋」「アラビアのロレンス」を手がけたイギリスの名匠デビット・リーンです。
物語は真面目に恋もしないで秘書の仕事をしてきた米国女性ジェーンがヨーロッパ旅行に出て、最後の目的地ヴェネチアに着きます。周りはカップルばかりで寂しい思いをしていると、骨董屋のレナードに会い、恋に落ちます。
やがて2人は結ばれますが、レナードに子供がおり、自分の立場をわきまえ、すばらしい想い出として去っていくのです。また、主題曲が良いのです。画像は私が1965年リバイバルで見たときに購入した秘蔵のカタログからの転用です。
この他に「アフリカの女王」(51年)やスペンサー・トレイシーとの「女性NO.1」他9本の映画があります。170cmの彼女が165cmのトレイシーと馬が合い、最後まで仲が良かったようです。尚、1999年6月米国映画協会のアメリカで「最も偉大なる女優50名」で1位に選出されました。
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