新潟の陶器(3)~南山焼き~
「名品ショップ
」店長の佐島です。
5月に佐渡の無名異焼と保田の庵地焼をご紹介しました。これらとは全く別の意味で印象に残っている南山焼をご紹介します。
南山焼は現在、村松松越氏(1941年生)が塩沢石打で陶芸教室を兼ね工房を開いています。私が知っている南山焼は新潟在勤中の時期ですので1995-97年の頃です。
彼は1991年から浦東九安氏の工房 『柏崎市 南山焼』に弟子入りしたようです。
私は柏崎のお客様に来たときに時々立ち寄りました。何といっても日本一長い登り窯、全長100メートルあり圧倒されました。当時村松氏から熱っぽく語られたのを覚えています。年に1~2回、1~2ヶ月赤松の木を燃やし続けるのだそうで、凄いインパクトでした。松の木から出る煙で偶然に緑色の模様が出るそうで、登り窯の上の方に煙が集まるので、上(奥)によく出来たものを置くそうです。
場所が悪かったせいか、96-97年に倒産してしまいました。村松氏は96年に塩沢石打に陶芸教室を開設しています。話はこれからなのです。
ちょうどその頃、私が柏崎のお客様である信用組合にご挨拶に行きますと、役員さんから『南山焼が倒産しましてね。貸し倒れ金の穴埋めに焼物を没収してきたのですが、置き場所に困っています。佐島さん一つ買ってよ』というのです。よく見るとお客の通らない階段や廊下にところ狭しと陶器が置いてあるのです。
いやーな予感がしました。役員が大きな桐箱を抱えてきました。『佐島さんならこれくらいどうですか。』桐箱を開けると、縦、横とも40センチはある大きな花瓶で、少し緑がかったところもありました。
私は、新潟赴任中はいいが、やがて自宅に戻ったとき『こんなに大きい花瓶、どこに置くのよ!』という声が聞こえてきました。
どのように断ろうか思案していると『名札は30万円ですか、早く処分したいので今佐島の財布にあるお金で結構です』。
これには参りました。お客様ですし、私も会社を背負っていたので若干プライドもあるしで結局数万円で購入しました。
さあ、約1年後自宅に帰ったとき、全く予想通りでした。
こういうときの家内の声は実に力強いのです。『マー、こんな大きい花瓶どこに置くのよ。いろいろ買い込んで、よくお金があるわね。こっちは切り詰めてやってんのに・・・』
結局、玄関の傘立てに落ち着きました。かわいそうに、傘はそっと入れろよ。(なんてこわくていえません)
ホームページで見ると今の作風は当時より茶色系になっていますが、より良い形になっています。
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