午前 ウィレシンポイニア

2日目午前は、ソウル北東部にある富裕層向けCCRC「ウィレシンポイニア」を視察しました。
施設に入ってまず感じたのは、介護施設というより、高級レジデンスに近い空間という印象です。

入居対象は、60歳以上で自立している高齢者が中心であり、“介護が必要になってから入る場所”ではなく、“元気なうちから暮らす場所”として設計されています。

また、韓国では保証金文化が根強く、“ブランド力=安心して保証金が返ってくる信頼”として重視されているとのことでした。
単なる設備競争ではなく、“法人そのものへの信用”が大きな価値になっている点が印象的でした。

午後① Bravoデイ視察

午後は、都市型デイサービス「Bravoデイ」を視察しました。
開設からわずか5ヶ月で高稼働を実現している施設です。
施設全体から感じたのは、“今までのデイサービスを変えたい”という強い意思でした。
■ 15億ウォン投資、2年間で10ヶ所展開
代表者のお話では、現在、約15億ウォン規模の投資を受け、「2年間で10ヶ所のデイサービス展開」を計画しているとのことでした。
韓国介護市場が、単なる福祉分野ではなく、“成長産業”として見られていることを実感しました。
■ 富裕層エリアほど経営が厳しい
韓国では、ソウル中心部でも郊外でも介護報酬単価が同一です。
つまり、地価や家賃が高いエリアほど経営が厳しくなるという構造です。
Bravoデイの家賃は、月額約200万円。
特に富裕層エリアほど物件価格が高く、「富裕層エリアのデイほど、経営は劣悪になりやすい」という言葉が非常に印象的でした。
日本とは逆の難しさがあります。
■ “介護サービス”ではなく“データ収集”
今回の視察で最も衝撃を受けたのは、Bravoデイのデータ活用でした。
施設内には各種センサーが設置され、
・活動量
・好みの場所
・誰と過ごしているか
・食事にかかる時間
・トイレ滞在時間
などを細かく分析していました。

さらに将来的には、ビジョンカメラ(AIカメラ)による解析も目指しているとのことです。
担当者の話で印象的だったのは、「介護提供を主としているのではなく、“老いのプロセス”のデータ収集が目的」という考え方でした。
つまり、介護事業でありながら、“高齢者データ産業”としての側面も持っているということです。
介護業界の未来を考える上で、非常に刺激的な視点でした。
午後② 韓国介護保険制度レクチャー(金先生講義)

視察後は、金先生による韓国介護保険制度の講義を受講しました。
金先生は韓国の介護保険制度を創設されたメンバーの方で
日本の介護保険制度に精通されています。
今回の講義では制度の説明だけでなく、
・韓国介護市場の変化
・事業者の生存戦略
・制度上の制約
など、実践的な内容が多く非常に勉強になりました。
■ 韓国の訪問介護事情
講義の中で特に印象的だったのが、訪問介護制度です。
韓国では、
・1回3時間程度
・週3回前後利用
・報酬は24,000ウォン程度
という利用形態が一般的とのことでした。
また、日本との大きな違いとして、「実費サービスが認められていない」という制度があります。
つまり、
・保険外サービス展開が難しい
・柔軟なサービス設計がしにくい
という側面があります。
これは逆に、日本の介護経営において、“保険外サービスの可能性”を改めて考えさせられる内容でした。
■ 2日目の総括
2日目を通じて感じたのは、
韓国介護は日本以上に
・市場競争
・ブランド戦略
・データ活用
・投資視点
が強く入り込んでいるということです。
特にBravoデイでは、「介護を提供する」だけではなく、“高齢者の生活データをどう活かすか”という、次世代型の介護の姿を感じました。
制度は似ていても、介護を「産業」として捉える視点には大きな違いがあります。
今回の視察を通じ、私たち自身も、「これからの介護に何が求められるのか」を改めて考える貴重な機会となりました。