オーディオブックで「犬と魔法のファンタジー」を聴いた。
なんの事前情報もなしに聴きだしたところ、エルフやドワーフと人間が共存する異世界で商社への入社を希望する就活生の苦労話が始まった。
ほかの就活生はみんな自分をよく見せるために平気で噓をつき演技をする。さらには企業側もインターンシップは採用と関係ないとか平気で嘘を並べる。それらにうまく順応できた人たちから内定をもらっていき、嘘をついたり演技ができない人(主人公)が何十社も不採用になる様が、異世界が舞台にもかかわらず現実と酷似していて実に嫌なことを思い出させられた。
要するに、私もこの主人公と同様、数十社の企業からお祈りをされたのだ(理系の修士課程修了なのに)。
当時の私は研究で思うように成果が出せず、そもそも卒業させてもらえるのだろうかと不安になっていた。そのため就活準備なんてしている暇があったら論文など読んで少しでも研究に役立つ知識を得ることに必死だった。
だから、自己分析なんてものもできていないし、面接対策など皆無だった。ちゃんと就活情報を集めている人たちからしたらこの状態がダメだと分かるのだろうが、私はそうは思わなかった。学業が学生の本分であり、採用担当者は面接を介して人を見極めるプロなのだから、自己分析などできていなくても話を聞きだして勝手に分析するだろうと思っていた。
しかし実際は、採用担当者はそんな技術を持ち合わせてはいない。自分が評価した人が何年会社に残っているか、評価した長所が会社で実際に活かされているかなど、自分の評価の答え合わせをしている企業はほとんどないそうだ。すなわち、自分の感覚が正しいものとして続けておりいつまで経っても採用担当者の見る目は素人のままなのである。
このことは「失敗の科学」という本で取り上げられていて、非常に衝撃を受けた。
こうしてなんの下準備もできないまま多数の企業へ応募し、撃沈したわけだ。
結果的には内定式も終わった10月下旬あたりに内定も決まり、修士論文も提出できて無事就職できたのは幸運だった。私から話を引き出す能力のない無能面接官として、面接相手を見下し敵対視していた私をよく採用したなと思う。
では、嘘もつけない演技もできない自分はどうすれば良かったのか。
まずは自己分析だと思う。結局のところ、自分が仕事を通じて何をしたいかが自分にとっても重要であり、面接官にとっても仕事のモチベーションをその会社で満たせるのかは重要な部分となる。経験を重要視していない新卒採用では尚更である。
就職後も自己分析を続けたが、最も役立ったのは「やりたいことの見つけ方」という本だ。この本を通じて自分の価値観がかなり言語化できた。
次に過去のことを話さないことが重要だろう。
面接ではなぜか必ず学生時代のことを聞かれる。しかし、学生時代に嫌な思い出しかなく記憶を抹消したために、当時の私はほとんど答えられなかった。過去の質問をされたら、過去のことは答えられないが今は・・・のように今考えることを言うことがこれらの質問に対する対策となると思う。
就活は仕事ができるできないによらず人に合う合わないが大きいと思うので、新卒採用は全部AIに任せて平等なものになってほしいものだ。
