チャーリーとチョコレート工場 | シネマ名画座

チャーリーとチョコレート工場

 ハリウッドでは、よほど馬が合うのでしょう、何度も一緒に仕事をする監督と俳優の組み合わせというものがあります。ジェームズキャメロンとシュワルツェネッガー、マーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロ、スピルバーグとトム・ハンクス、etc・・・。

今回ご紹介する「チャーリーとチョコレート工場」も、そんな黄金コンビのひとつによって作り上げられました。それが、いわずと知れたティム・バートンとジョニー・デップの2人。

「シザー・ハンズ」「エド・ウッド」「スリーピー・ホロウ」など数々の名作を生み出してきた二人が今回選んだのは、ロアルド・ダールが執筆した児童文学の傑作を映像化した「チャーリーとチョコレート工場」です。


あらすじ

とんでもなく貧しいけれど、両親と2組の祖父母と仲良く、幸せに暮らす少年チャーリー。

そんなチャーリーの家の近くにはウォンカという男が経営する不思議なチョコレート工場があった。

ある日、その不思議な工場が一般に公開されるというニュースが世界を駆け巡る。

チョコレートを購入し、当たりのゴールデンチケットを手にした5人の子供たちが保護者と共に見学できるというのだ。食い意地の張った肥満少年オーガスタス、お金持ちのわがまま娘ベルーカ、何でも一等賞でないと気がすまないヴァイオレット、TVゲームマニアのマイク。次々とあたりのチケットが見つかる中、ついにチャーリーも当たりのチケットを入手!昔ウォンカの工場で働いていたことがあるというジョーおじいちゃんと共に、工場見学に出発する。そこには、想像を絶する不思議なウォンカ・ワールドが拡がっていた。


 ロアルド・ダールの作品をティム・バートンが映像化!しかも主演はジョニー・デップとくれば期待しないわけにはいきません。はたして完成した作品は、期待にたがわぬ楽しいものとなりました。

バートンのビジュアルセンスが全開の、美しくも奇妙で、ちょっとグロテスクなシーンの数々。ウォンカ・ワールド=ティム・バートンワールドともいうべき映像世界で、盟友ジョニー・デップもウォンカをノリノリで演じています。また、もう一人の盟友である音楽担当のダニー・エルフマンのスコアも絶好調。特に、4人の子供たちがお仕置きされるシーンで流れるウンパ・ルンパの歌は、ウンパ・ルンパ役のディープ・ロイの熱演とあいまって、しばらく頭の中でエンドレスで流れまくること請け合いです(笑)。

といったわけで、最初から最後まで文句なく楽しい映画で大満足なのですが、ひとつだけ気になることが。

それは「ウォンカが父親との間に確執がある」という設定。父親との確執というテーマはバートン監督の前作「ビッグ・フィッシュ(以下、B・F)」で取り上げられています。この作品の撮影と前後し父親の死と、息子の誕生という人生における大きな節目を経験した彼が、それを活かすことでバートン作品にはめずらしく泣ける映画となったのですが、はたしてそれを「チャーリーと~」でも繰り返す必要があったのか?しかも原作にはないのに?と思ってしまうわけです。できれば今作は、心機一転、過去を引きずらないで作ったほうが良かったんじゃないのかなあ・・・。

しかしこんなことは、この映画の面白さの前では瑣末なことに過ぎないのかもしれませんね。

DVDも発売されたことですし、一度見た人も、まだの人も、ぜひバートンワールドの楽しさに触れていただきたいと思います。


ワーナー・ホーム・ビデオ
チャーリーとチョコレート工場 特別版
特典ディスクとの2枚組み。リスのシーンはCGだけでなく本物を調教して使っているのは驚き。
ほかにも興味深い撮影秘話が満載です。
ワーナー・ホーム・ビデオ
チャーリーとチョコレート工場
本編だけでいい人はこちら。
ワーナー・ホーム・ビデオ
チャーリーとチョコレート工場 (UMD Video)
PSPでも見られます。
ダニー・エルフマン, サントラ
チャーリーとチョコレート工場 オリジナル・サウンドトラック
ウンパ・ルンパの曲をエンドレスで楽しもう(笑)
ロアルド・ダール, クェンティン・ブレイク, 柳瀬 尚紀
チョコレート工場の秘密 ロアルド・ダールコレクション 2
原作も良いです。
ワーナー・ホーム・ビデオ
夢のチョコレート工場
実は今作は「チャーリーと~」にとっては2度目の映画化。
最初のときはどんな作品に仕上がったのか見るのもいいかも。でも、技術の問題などによりビジュアル面に物足りないものを感じちゃうかもしれません。