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 昨夜は撮りだめしておいた「天国と地獄」(写真は録画を一時停止してデジカメ撮影、以下同じ)を観た。
 私は数ある黒澤作品の中でも日本映画史上最高のサスペンス映画とい言われているこの作品が最も好きだ。
 特急電車の洗面所の少ししか開かない窓から辛うじて放り投げられる厚さの鞄に身代金を詰めさせ、高速のスピードで走行する特急の窓から堤防に立つ誘拐した子供を面通しさせた上で、特急が鉄橋を渡り終えた向こう岸でその鞄を投下させる(写真)驚くべき手口といい、そのスピード感といい、あのシーンは見ている者にとって手に汗を握る迫力満点のシーンであった。
 全編が白黒でありながら、犯人が捨てた鞄を焼却する時に、犯人を捜す手がかりとして鞄に仕込んだ薬品が燃えて赤い煙が空に立ち昇るシーン(写真)だけ、それも赤い煙だけをカラーで入れた演出の見事さはさすがに世界の巨匠である黒澤明の真骨頂であろう。
 しかし、この映画を見直して、最後のシーン、すなわち死刑を宣告されて刑務所に入れられた犯人が主人公(三船敏郎)と面会し、最初は強がりを言っていたのに最後はわめき騒ぐシーン(写真)が、全くやりきれない感慨を私に与えたのである。
 それは犯人のわめき騒ぐ気持ちがロス事件の三浦和義とオーバーラップしたからである。
 死刑廃止の声も多いが、私はむしろ終身刑の方が死刑を上回る極刑ではないかと考える。
 将来に一縷の望みもなく、自分がなんために生き長らえるのか、その意味を失った人間はむしろ死刑の方がまだましだと考えるのではないか。
 米国での共謀罪は軽くて25年から終身刑まで、自らの歳を考えると、どう転んでも実質的に終身刑としか考えれない。
 したたかな精神の持ち主と見える彼も、ふっとそう考えて自らの命を絶ったと想像しても決して間違いではないと私は考えるのだが。
 皆さんの感想はいかがですか