今年もRSウイルスの流行期がもう来ており、5月からシナジスが開始されています
RSウイルス
乳幼児の呼吸器感染症の原因ウイルスのひとつで、細気管支炎や肺炎を引き起こします。
中でも、
予定日より早く生まれた赤ちゃん(早産児)、
生まれつき呼吸器や心臓に病気を持っている赤ちゃん、
免疫不全を伴う赤ちゃん、
ダウン症候群の赤ちゃんが感染すると、
重症化することが多いので注意が必要です。
RSウイルスの流行は年度と地域によって異なりますが、
近年、夏頃から翌年の春頃にかけて流行しました。
潜伏期間は4-5日で、
上気道炎(鼻水、咳、喉の痛みや腫れ、発熱など)から始ますが、
急激に悪化し、再気管支炎や肺炎などの下気道炎になることがあります。
下気道炎の症状は、
・呼吸が浅く、呼吸数が増える
・呼吸がゼイゼイする
・鼻で息をするようになる
・哺乳ができなくなる など
です。
ちなみに感染した後の治療薬は特になく、対症療法をしていくしかありません。
シナジス®︎(一般名:パリビズマブ)
遺伝子組み換え技術によってつくられた、RSウイルスに対する「モノクローナル抗体」です。
モノクローナル抗体とは、人が本来もっている免疫システムを薬に応用したもので、
ひとつの抗原(ウイルス)を標的にして作用します。
シナジスはRSウイルスを標的とする抗体で、RSウイルスが体内で増殖するのを抑えます。
RSウイルスが体内に侵入すると、シナジスはRSウイルスの抗体として働き、
RSウイルスの増殖を抑えることで、感染症の重症化を抑制することができます。
シナジスの投与が受けられる赤ちゃんは、
❶早産
在胎期間28週以下の早産で、12ヶ月齢以下
在胎期間29週〜35週の早産で、6ヶ月齢以下
❷慢性肺疾患
過去6ヶ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けたことがある、24ヶ月齢以下
❸先天性心疾患
血行動態(心臓や血流)に異常のある先天性心疾患(CHD)のある、24ヶ月齢以下
❹免疫不全
免疫不全を伴う、24ヶ月齢以下
❺ダウン症候群
ダウン症候群である、24ヶ月齢以下
※上記の月齢は「RSウイルス感染流行初期の時点」
シナジスは予防接種ではなく、「予防薬」です。
予防接種のスケジュールとは無関係に投与ができますので、
定期的(1ヶ月ごと)に投与することが大切です。
病院やクリニックによっては、予防接種とシナジスを同時に打ってくれる場合もありますが、
体調不良が出た時に、どちらが原因かわからなくなるという理由で同時に打たない施設もあります。
薬価は、
シナジス筋注液50mg 53,496円/瓶
シナジス筋注液100mg 105,678円/瓶
とても高価なお薬です。
投与量は、体重1kgあたり15mg(月1回)です。
100mg/mLの製剤なので、6kgの場合は90mg/回=0.9mLを太ももに筋肉内注射します。
そして100mg(1ml)を超えると、2回に分けて打ちます。
液量が結構多いこともあり、めちゃくちゃ痛いので、めいちゃんがいつも号泣です
めいちゃんは7月生まれなので、0歳のときは8月から開始しました。
投与できる回数は決められていて、8回(最終は3月)でした。
今年(2023年)は5月から開始しているので、12月で終わりです。
1月以降にRSウイルス流行しないかが心配です
来年は流行期が早いと、ギリギリ対象になるのかもしれません。
めいちゃんは打ちたくないと思うけれど、母は打った方が安心です
シナジスを打っても、あくまで重症化予防ですし、
他のウイルスには感染しますので、基本的な予防はしっかりやっていこうと思います