BTシャント術(姑息術)後、ようやく根治術を受けられるところまできました。

ファロー四徴症の根治術について説明を受けましたスター

 

手術はオペ室に9:00に入室し、全身麻酔をして、実際に執刀し始めるのは10:30くらいで、

手術時間は5時間くらいです。

 

BTシャント術より死亡率は低いそうですが、今回は心臓そのものの動きを止める必要があるため、

必ず人工心肺を使い、輸血もします。

また心臓の筋肉もいじるので、不整脈のリスクもあります。

そのため術後はペースメーカーをつけていて、不整脈が出た場合にサポートが入ります。

術後に不整脈が出る場合には埋め込み型のペースメーカーを使う場合があります。

 

 

 

  1. 診断名

ファロー四徴症(TOF)

 

  2. 病気の説明

心臓と連続する大動脈弁が胎生期に前方に偏位(大動脈野乗)することにより、右心室(RV) と左心室 (LV) の間の心室中隔に欠損孔(VSD)が生じ、肺動脈弁狭窄(PS)も合併します。症状は肺動脈弁狭窄(PS) の程度により、チアノーゼ(酸素飽和度低下、無酸素発作など)が強い患者様から、肺高血圧を伴う心不全状態(体重増加不良、発汗多可、多呼吸、哺乳不良)を呈する患者様まで様々です。

 

  3. 目的および必要性

心室中隔損孔(VSD)を人工補填材(パッチ)を逢着することにより閉鎖します。肺動脈狭窄(PS)を含む右室流出路狭窄の解除も同時に行いますが、場合によっては肺動脈弁を切閉し拡大する(transannular patch) 必要があります。シャントは不要となるため、離断します。

 

  4. 方法

全身麻酔で手術を行います。人工心肺を使用し全身の血液循環を維持し、心臓を一時的に止めてから、心臓内修復術を施行します。必要があれば低体温循環停止を行います。

 

  5. 受けた場合の予想される経過

術後は集中治療室(ICU)での治療となります。麻酔から覚醒後に呼吸状態を確認し人工呼吸器を離脱します。術後2,3日でドレーン(術後に溜まる血液や体液を体外に排出させるための管)を抜去し集中治療室を退室します。リハビリを行うとともに心臓超音波検査やカテーテル検査等の術後検査を行い術後2週間前後で退院となります。

 

  6. 危険性および起こりうる合併症について

❶脳障害

動脈内・心臓内の血栓や気泡が脳血管に飛散したり、術中の血圧低下により血流が低下することで、脳梗塞を生じる可能性があります。また小さな子供では脳血管が未熟なため、麻酔中に脳出血を起こす可能性もあります。大きな出血や梗塞が生じた場合は生命に危険を及ぼすこともあります。

 

❷心不全

手術後の心臓機能が低下した状態で投薬加療をおこないますが、改善が不十分な場合は、開胸した状態を意図的に維持し胸腔圧減圧することにより心不全治療をすることがあります。また極度の心不全状態では循環補助装置(ECNO または PCPS)を装着し血液循環を雑持することがあります。

 

❸冠動脈不全

術後心不全状態が改善しない場合には冠動派の血流障害の可能性があります。その場合には血管造影やCT などの追加の検査が必要になり、場合によっては冠動脈バルーン形成術や動脈ステント留置術が必要になることがあります。

 

❹多臓器不全(腎臓、肝臓、肺など)

人工(腹験)透析を施行する場合があります。また、小さいお子さんでは全身浮腫(むくみ)が顕著になる場合があります。

 

❺出血

大量の輸血が必要となることもあります。また出血が多く血行動態が不安定な場合は手術室(またはICU)で再開胸、止血術を行うこともあります。

 

❻神経障害

反回神経や横隔神経と言った心臓周囲にある神経を損傷する場合があります。嗄声や嚥下困難、呼吸困難などを続発することがあります。

 

❼不整脈

薬物や電気ショックで治療することがあります。術後の極度検脈に対しては理込型ペースメーカーの装着手術が必要となることもあります。

 

❽呼吸不全

長期の人工呼吸機管理、排痰用チュープ挿入が必要になることがあります。

 

❾感染

術後、創部に感染を生じた場合、再度創部を全身麻酔下に洗浄するなどの処置が必要になることがあります。また感染が強い場合には敗血症を生じ生命に危険を及ぼすことがあります。

 

➓胸水・心嚢液貯留

ドレナージチュープの留置が必要になることがあります。

 

●腸管虚血・腸管壊死

●その他(血栓・塞栓症など)

●手術・処置率

この手術の発世事は1-2%です。合併症発生率は20-25%です。

 

  7. 受けない場合の予測される経過、代替手段(他の治療法)

心不全や肺高血圧症の進行が予想され、いずれ生命が危険な状態になる可能性があります。
内科治療(薬物による治療)で生命予後の改善が期待できない場合に手術が勧められます。