ついにイケメンとの衝撃のビデオ通話⑩、2ケタになった。

(うち2人はイケメンではなかった。詐欺師とオランダ君。)




アルゼンチン君との衝撃のビデオ通話。





何より衝撃だったのは、

アルゼンチンのクリスマスが真夏だったこと。



クーラーの部屋で、Tシャツ姿の真夏のクリスマス。


クリスマスパーティーに向けてカキ氷の準備まで。




そして肝心のイケメン・アルゼンチン君は、

プロフィール写真ではメガネをかけてオタクっぽかったけど、

ビデオ通話ではメガネをかけておらず、

ブルーの目に、身長190センチのイケメン。



イケメンよ、

また逆自撮り詐欺をしたな。




それよりも、真夏のクリスマスが衝撃すぎて、

互いにクリスマス・ツリーを見せ合う。




私のクリスマス・ツリーは、

雪が乗り、長袖のサンタクロースに、スノーマンがいるが、


アルゼンチン君のクリスマス・ツリーは、

雪もなく、半袖のサンタクロース。



衝撃。




「メイのクリスマス・ツリー、大きいね!

アメリカのクリスマス・ツリーみたい。」






「そう、これアメリカのクリスマス・ツリーだからね。」






「アメリカから取り寄せたの?」






「違うよ、私はアメリカに住んでて、そのクリスマス・ツリーをアメリカから持ってきたの。」






「飛行機で?(笑)」






「もちろん船便だよ(笑)」





「配送料を考えると、

日本で買い直した方が安そう(笑)。」






「でも日本じゃ、こんな大きなクリスマス・ツリーは手に入らないんだよ。」






「メイは、どうしてもその大きなクリスマス・ツリーをあきらめたくなかったんだね!」






「その通り、

どうしてもこのクリスマス・ツリーをあきらめたくなかったんだ。」





「…メイ?

大丈夫だよ?」




ん??


なにが?



またアルゼンチン君は優しい声で言った。



「メイ、

大丈夫だよ…?」





だから、

なにが?


アルゼンチン君は優しい顔で私を見つめている。




「僕…

メイを何か悲しくさせるような質問をしたかな。」





「…してないよ?

どうしたの?」






「メイが…辛そうな顔をした気がしたから。」





「気のせいだよ?

どうしたの?」




私は笑った。




アルゼンチン君はしばらく優しい顔で私を見つめた後、



「そうそう、

日本の歌が大好きなんだ。


メイも楽器を弾くんだよね。

アドバイスとかもらえないかな。」






「私にできるかな。

初音ミクは知らないよ。


カラオケで歌うの?」






「弾き語りだよ。」






「弾き語り?ギター?」






「ピアノ。」


  




「ピアノを持ってるんだね。

でも初音ミクは知らないよ。



え?


何でグランド・ピアノがあるの?」





「妹のグランド・ピアノ。」



 

「…かなりグレードの高いピアノだね。


何を弾くの?

初音ミクは知らないよ。」



  



「森山直太朗の桜。」





え!?



「メイは森山直太朗が好き?」




「大好き。

でも森山直太朗は難しいよね。

若干、琉球音階っぽいビブラートやファルセットを使うから。

中孝介のカバーになるともうお手上げだね。」



 



「ああ、緊張するな。

日本人の方に聴いてもらえるなんて。」






上手に歌えなくてもいいよ。

だって森山直太朗は難しいから。




そしてアルゼンチン君は

優しいピアノのアレンジで、

森山直太朗の桜を歌った。




今度こそ、


涙が出た。