「あーあ。フランス負けちゃうね。
3対0なんて。
あのやろう。」
「あのやろうって、フランス人の友達のこと?」
「ああ、聞こえてた?
…てか何食べてんの?」
「チョコパイ。」
「深夜2時にチョコパイのパーティーパックか。9個入りだぞ。」
「メイさんにフラレたから、仕方なく甘いモノを食べてる!」
「いいね、フラれたと言いながら笑う20代。
甘いモノで解決できる強さが、そこにある。」
「えー!?
またメイさんの言っていること、よくわからない!」
「君は東京に会いにくるほど好きな女性がいた。
そして私と今日、たった3時間話しただけで、
完全に私に乗り換えようとしている。
その乗り換えの早さとたくましさ、誇りに思ってくれ。
これからの人生で、一番必要だ」
↑私もこうなりたい。
世界には40億人の異性がいる。
私のことだけを心から愛してくれない男なんかいらない。
辛い恋なんかいらない。
私がどんなにその男が好きでも努力しても、
相手の男の気持ちは本当に変えられない。
そんな男に構わなくても、
世界にはあと40億人の男がいる。
「だって、3時間も素敵な女性と楽しく笑っていたら、もう前の女性のことなんて忘れちゃうよー!🤣」
「素晴らしい。
忘れちまえ、そんな女。
今は男子ばかりの学部だから仕方ないにしても、
春が来たら、就職して、バリっとスーツ着たら、
君はモテるよ。
可愛い彼女を作ってね。
ただしバカ女はダメ、君に似合わない。
その時は、私が恋の相談に乗ろうじゃないか。」
「あ、ちょっと待ってて!」
スルーされた。
しばらくして彼は鍋を持って戻ってきた。
「これ、僕が作ったんだ!」
「初めて見る料理だけど、チキンベースかな?
めちゃくちゃ美味しそうだね!」
「メイさん!僕は料理上手だよ!
僕がメイさんの彼氏になったら、毎日作るよー!」
「ついには40歳を食べ物で釣ってきやがったな、20代め!」
…と言いながら、思わず
いいかも。
なんてね。
私が良くても、さすがにこんな良い子のインド君のご両親がかわいそう。
「食べたい?」
「うん、これは確かに食べたい!」
「メイさん❤️あーんして!」
大爆笑。
「ねえ、『僕はモテない』とか言ってたけど、
君は相当、女性慣れしてるね!!
私はわかるよ!
油断してたわ、シャイなフリした20代に!
君、なかなかやるな。」
こんな楽しい20代の恋ができるインド君、
何だかとっても懐かしい。
私もそんなパワーが欲しい。