※11月上旬に投稿したつもりが、うまく反映されていませんでした。
私は毎年、ハロウィンの時期に、地元で子供用のオバケ屋敷を作る。
子供用といっても、かなり恐いらしく、リタイア続出だ。
オバケ屋敷の小道具は全て、アメリカのハロウィン・ストアから産地直送で取り寄せたもの。
また日本で市販されているお人形遊びのオモチャにもリメイクを加えて、オバケ屋敷仕様にする。
イスラム教徒で、オバケの概念がないヨルダン君は、それでも西洋のオバケ文化を面白いと感じ、
アメリカのホラー映画を沢山観たらしい。
「オバケ屋敷を作る才能って、
何か他に応用できないかな、私のこの特技。
就職とかにも役に立てば良かった!」
「確かにその特技、応用は難しいね!
でも僕、メイのそういう変わったとこが好き。
オバケ屋敷を作るにあたり、他のオバケ屋敷に勉強がてら入ったりするの?」
「良い質問だ。
実は私は、自分はオバケ屋敷に入れない。
こわいんだ。
私は作る専門だ。」
「メイ、オバケ屋敷こわいの?
作るだけ?
本当、メイって変わってるよね。」
「学生の頃に合宿で、富士急ハイランドのオバケ屋敷に行って、それで二度と入らないと決めた。」
「そんな恐がりなのに、オバケ屋敷を作る情熱はどこから?」
オバケ屋敷から、懐かしい話になった。
友達とお腹を抱えて大爆笑することって、
大人になると、なかなか少なくなるよね。
でも子供の頃や学生時代は、
友達とお腹を抱えて大爆笑することって、沢山なかった?
例えば、中学時代。
授業中に、友達と制服を着たまま、学校の隣の川にダイヴして水遊びをしたこと。(ちなみに2月でした。)
写真は違う学校だけど、こんな感じで学校の隣に大きな川があった。↓
恐いヤンキーの先輩達をビビらせようと、先輩達の溜まり場の非常階段の真下から、ロケット花火を打ち上げ、友達と爆笑しながら逃げたこと。
「限界に挑戦!」と友達と一台の原チャリに、
インド人みたいに何人乗れるか挑戦したこと。
意外にリラックスしている犬🐕
友達と本物のオバケを見たこともある。
夜遅くまで、中学校の校舎の外で遊んでいた。
すると誰もいない真っ暗な校舎の2つをつなぐ、渡り廊下に、
身長2.5メートルくらいの真っ黒な人間がゆっくり歩いていた。
こんな感じの渡り廊下。↓
こういう友達と大爆笑した
思い出って忘れないよね?
でも私は、高校は、真面目な進学校に進学してしまい、周りは真面目な人ばかり。
寂しかった。
帰りの電車では、別の高校に進学した中学時代の親友達に会えたので、そのまま彼らと駅にたまり、毎日遅くまで一緒に過ごした。
まるで中学時代みたいに。
そんな秋のある日、高校で文化祭のクラスの出し物を決めることになった。
私は中学時代は生徒会に属し、文化祭3日間を企画、運営、感動の大成功を納めたプライドがあった。
(本当に生徒会全員が号泣するほど大成功だった。)
だから高校の文化祭も盛り上げたい。
こういう学校行事は、せめて思いきり楽しむ方がいい。
大人になると、懐かしくても二度と味わえないから。
しかし田舎の保守的な進学校の文化祭。
毎年そんなに盛り上がらない。
現に、「文化祭でクラスの出し物はどうする?」に、誰からも意見は出なかった。
私は手を挙げ、
「みんなでオバケ屋敷をやろう。」と言った。
なぜ私はオバケ屋敷と言ったのか、自分でもわからない。
結局、クラスの出し物はオバケ屋敷に決まった。
私の意見しか出なかったからだ。
言い出しっぺのくせに私は、そこから何も考えずに文化祭前日の準備日になった。
あまり話したことない真面目なクラスメイトたちから、
「どうすればいい?」と聞かれ、
「ごめん。実はあまり案が思い浮かばなくて。
ただ机を並べて迷路みたいにすることしか…。」と素直に答えた。
するとみんなは、
「じゃあこうしない?」
「段ボールで壁を作ろう。」
「ここからクモを吊そう。」
みんなでオバケ屋敷を作っていくうちに、どんどん案が出てきた。
当日は、
「私はここに隠れて1発目のオバケをやるよ。」
「じゃあ俺は、この下に隠れて飛び出す。」
「私は、このタイミングで肩を叩く。」
「俺は、このタイミングで、壁を揺らす。」
気づいたらみんな本気モードになっていた。
やってみるとわかるのだが、
オバケ屋敷の運営は完全なチームプレイ。
真っ暗闇の中、
私が1発目のオバケで脅かすのが合図となり、
次の仲間が壁を揺らし、また次の仲間が肩を叩き、更に次の仲間が、下から飛び出して脅かし…。
最後のトリに、超真面目な男子が掃除道具から飛び出してくる。
次のターゲットが来るまでの10秒間足らずで、暗闇の中、
「今の良かった!」
「さっきのより、もう少しタイミングずらしてみる!?」
みんなで声をかけ合う。
オバケ屋敷が始まって2時間足らずで、
入口担当の女子が、
「ねえ、みんな!
一回、入場を止めるから廊下を見て!
ヤバイから!」
と言い、みんなで一度、廊下に出て驚いた。
私達のクラスだけ長蛇の列!
「1年4組のオバケ屋敷はクソこわくて、おもしろい!」
とても楽しかった。
夕方までオバケ屋敷は大人気のまま、文化祭は終了した。
何度も入ってくれたグループもいた。
気づいたら、みんな昼ごはんを食べないまま夢中になっていた。
「楽しかった!本当楽しかった!」
「○○先生の叫び声、見た?」
「途中から参加した、うなり声を出してるオバケ役の男子誰?あれ、超良かった!」
「え?そんなオバケ役いないよ?
人数的に…ってオチはないよね?」
みんなで大爆笑した。
真面目だと思い込んでいたクラスメイトたちが、実はそうではなかった。
イタズラ好きで、ノリが良くて、おもしろい。
一気に仲良しになった。
「俺メイさんのこと、今日からアネゴって呼ぶわ!」
「いいね、そのニックネーム、気に入った!」
そこから私は段々と高校に慣れていった。
今、大人になり、
オバケ屋敷をするのも、
地域の大人たちと、1年に1回、
お腹を抱えて大爆笑することができるから。
いつもはみんな真面目な社会人。
でもその日だけ、みんな学生時代に戻れたような感覚になる。
一年に一度の貴重なオバケ屋敷タイム。
子供の頃に楽しいと思えたこと、
なかなか大人になると躊躇しませんか?
(土手をソリで滑るとか。)
私は海で思いきり遊ぶこととか…
メイクしてるから、顔を濡らしたくないと思っちゃう。
昔はあんなに楽しかったのに。
いつからだろうな、やらなくなったのは。
「…そうだね。
メイ、僕もやってみようかな。
スーツのまま川に飛び込んだり、
恐い人に向けてロケット花火を打ち上げたり、
原チャリを、仲間で何人で乗れるか挑戦したり。」
「それ、大人の今やると、
捕まるか、命はないか、
どっちかやで。」
「メイ、さっきオバケ屋敷に入れないなんて、可愛いと思ったけど、
あれ嘘でしょ。
川に飛び込んだり、
ヤンキーおちょくったり、
とてもオバケ屋敷を怖がる人の行動ではない。
反逆者の頭みたい。」
「どうしよ
ヨルダン君にドン引きされた。
しかもそのニックネーム、
気に入った。」