いかに大学編入について、アメリカ政府の手続きが大変かの話の時、
私はヨルダン君に、
「アメリカじゃなくて日本の大学に来ればいいのに。」
と伝えたら、
「日本語は僕には難しすぎて、とてもじゃないけど、習得できないよ。
それよりもメイはアラビア語が話せるんだから、メイがヨルダンに引っ越してほしい。
…あ、ごめん。
それはダメだ、こんな国には来ない方がいい。
経済大国の日本にいるんだから。」
「確かに日本語はね…。
これから先の人生を考えたら、ヨルダン君も排他的な日本の大学より、アメリカの大学が良いよ。
私、アメリカに遊びに行くね!
アメリカを、車で旅行するのは楽しいよ。
グランドキャニオンを観に行こう!」
「うん、行こうね!
近々、ヨルダンにも来てほしい。」
「私、ずっとヨルダンへ旅行に行きたいんだよね。
前回、イスラエル経由でヨルダンに行こうとした時は、イスラエル入国の際に、イスラエル人に『ノースタンプ』って伝えたのに、入国スタンプ押されちゃって、結局、ヨルダンはあきらめたんだ。」
「僕はそのイスラエル人に感謝だね。
その時、メイがヨルダンに入国できなくて本当に良かったよ。
メイ、本当にヨルダンに来てほしい。
メイが行きたいところ全部、僕が車で連れていくよ。」
「あとパレスチナももう一回行きたい、あなたにヨルダンから行ける橋の存在を教えてもらったから(笑)
一緒に行こうよ。」
「僕はイスラエルにはあまり行きたくないと思っていたけど…。
でもメイが行くなら、僕も一緒に行くよ。
女性が一人で行く場所ではないから。」
「本当?」
「本当だよ。メイと一緒に行く。」
…不思議だ。
イスラム教徒の彼が、女性の友達と旅行に行けるはずがない。
敬虔なイスラム教徒の彼は、どういう気持ちで、私の話に乗ってくれていたんだろう。
一緒に旅行なんて、
行けるわけない…。
お互いそれをわかっていながら、
行こう行こうと、
はしゃいで話していた気がする。