「うたかたの恋」を観劇しました。

柴田先生の脚本を大切にしながら、演出が改変されて、カットされたところと、新たに加えられたところがありました。

時代と政治にも翻弄され、究極の恋物語ではすまなかった理由がよくわかります。


生観劇は「春野、桜乃」(花組)「凰稀、実咲」(宙組)「紅、綺咲」(星組)を観ています。

宝塚版「うたかたの恋」の映像は全て見ました。初演「麻実、遥」(雪組)は見ていません。


今回の花組版は歴代の宝塚版より、ウィーンで観たバレエ「マイヤーリンク」の余韻が蘇りました。


れいくんはルドルフがぴったりなので、芝居は何も言うことがないほどよかったです。

苦悩が似合う、まどかちゃんとも阿吽の呼吸です。

まどかちゃんのマリーは可愛らしいけど、内面は聡明で大人っぽかった。ドレスも素敵でした。

メイクが濃いめで史実のマリーには近いと思うけど、少し明るめのメイクでも見たいです。


マリーが指輪をもらうところで、二人が初めて結ばれた日のことを言う台詞がなくなっていました。

狼ごっこもカット、心中のベッドには赤い花はちりばめられてなかった。白いベッドだけでした。


昔の宝塚独特の表現は減っていたので、初めて見る方は自然に見れると思います。

その分宝塚臭い面白味は減って、芸術性が高まった感じです。


ジャンのマイティとミリーの美咲ちゃんは幸せそうで主役の二人をたてるような奥ゆかしさがありました。

フェルディナンド大公のひとこちゃんがルドルフを逮捕しに行く展開になっていました。

フェルディナンド大公はルドルフに逃れる抜け道を教えますが、ルドルフは逃げません。そしてハプスブルクをフェルディナンド大公に託します。

この場面が新たに作られたので政治的な背景の流れがわかりやすくなったと思います。

衣装やセットは気品があり、柔らかい色彩でした。

盆が回ったりするのは、大劇場ならではの演出なので地方公演で見るよりスケールが大きいです。


他に印象的だった役は、エリザベートの華雅りりかさん、ラリッシュ伯爵婦人の朝葉ことのさん、このお二人は自分が見た中では最もよかった。マリンカの咲乃深音さんの歌、オフィーリアの七彩はづきちゃんのダンスが美しかったです。

ひとこちゃんのソロは音がよく響いていました。


ルドルフとマリーの愛が溺れていくような情熱だけではなく、現実的に心中に至ったことが繊細な演技で見れました。

二人をいつまでも忘れないとゆう想いで、穏やかな静寂に包まれました。