観たのは完成披露上映会の時ですから、ずいぶん時間が経ってしまいました。

「長いトンネル」とはバブル崩壊や消費税導入から続く景気のことです。

 

消費税が導入されるあたりの時期、バブル絶頂期には「一億総中流社会」と言われていました。

今では信じられませんが。

広く平等に税金を取ろうということだったのでしょう。

「贅沢税」の異名を持った「物品税」の廃止して消費税は導入されたと記憶しています。

 

劇中では消費税3%➡5%時の法人税減税を批判していますが、これはちょっとお門違いだと思います。

他国と比べて高い法人税率と円高により、当時の輸出割合の高い製造業は疲弊しました。

国内の工場が次々と海外に移転することになりました。

工場が移転しますと、現地雇用の従業員が失業するだけではなく、工場に納品している業者や、工場周辺の産業が潰れてしまいます。

私は法人税率の引き下げはやむを得なかったと思いますし、寧ろ遅かったのではないかとも思います。

 

正社員は簡単に切れませんでした。

1990年代半ばの派遣法改正により大幅に派遣社員を採用できるようになったのが、大きいです。

建前上「多様な働き方のニーズに合わせるため」ですが、本音は「不況時にクビを切れる社員の比率を高める」ことです。

私が勤務していた会社が不況になったときに、職場の人員が削減される話が上がりました。

その時に技術職の派遣社員の人が「切られるのはあの人」と事務の契約社員を示しました。

私は派遣社員が切られるとわかっていました。

そのための派遣社員なのですから。

そして派遣社員が「契約更新せず」と通達を受けて凄くショックを受けていました。

 

そして今、非正規雇用の比率が高まったことにより、格差が広がっていきました。

派遣法改正はもう一つ重要な意味がありました。

非正規雇用の社員が増えることにより、「労働組合が弱体化」したことです。

待遇面で対立が生じた場合に労働組合は「ストライキ」を伝家の宝刀としていましたが、今はこれも使えなくなりました。

ストライキをしても、非正規雇用社員と管理職でとりあえずの業務が完全停止することが防げるからです。

 

労働者の要求は経営者に届かず、企業は利益を内部留保を増やすようになりました。

労働者に賃金アップやボーナスという形で還元されにくくなりました。

株主にとっても、賃金アップより内部留保の方が万一の場合の倒産リスクが減りますので、文句は言いません。

 

賃金のことはともかく、研究開発費も増額しているようには見えないのが気になります。

最近は不況になると真っ先に研究開発費を減らしているように思います。

研究開発は10年後20年後の飯の種を作るものですから、この先日本経済が浮上する見込みが薄いということにもなりかねません。

 

税金の話とは関係ありませんが、現在の経営者はバブルを謳歌した世代。

しかも上の世代の根性論とかを受け継いでしっかり守った人たちが出世している。

本当に大丈夫なんでしょうか・・・?

 

非正規雇用であり、会社から正社員登用の話があっても断る若者がいますが、気が知れません。

非正規雇用も転職同様に35歳くらいから急に厳しくなってきます。

若い人の方が優先して派遣されます。

あまり他の会社での「経験」は考慮されないようです。

正社員登用の話がある場合は、よほどのことがない限りは受けたほうが賢明かと思います。

 

劇中では派遣法に全く触れられていませんでした。

これが大きな不満です。

法人税より派遣法の影響の方が重要かと思います。

 

消費税率は下げてほしいです。

「下げろ」というとすぐに文句を言う人がいそうですが、

「一億総中流社会」でなくなり格差が広がる現在では、物品税を復活させればよいではありませんか。

 

今の若い世代が政治に物申すようになり、投票行動で態度を表して新しい世の中を作らないと、30年後もこのままですよ。

 

別の意見の方もいらっしゃるでしょう。

舞台挨拶の時に監督さんは「この映画を見て議論が世の中にひろがればいいな」ということをおっしゃっていました。

皆で考え、議論し、知恵を出していきましょう。