江戸、川越間の舟運を担った旧回漕問屋で、現在も当時の様子を最も良く伝えている貴重な建築である。

左手の土蔵は味噌蔵で、右手母屋の一階部分は障子戸部分が土間、竪格子部分は帳場となっている。

二階は総て生活用の和室が並ぶ。

味噌蔵前の庇(ひさし)内に大八車の車輪が架かっているのが、私のような年代の人間にとっては、なんとも懐かしい。

 

(絵・文:千原昭彦)