去年の秋はアメリカへ行ったのが、もう懐かしい。
大きなスーツケースに、あれもこれも詰め込む、それだけじゃない。
ひとりの旅は、すべて自分でやらなくてはいけないから、結構緊張の連続だった。
(ボケてなんかいられないものね。)
長時間のフライト。ひとり旅の閉ざされた空間。
でも不思議と心は穏やかだった。
なぜ?
高度が上がり、そして一万メートルの上空は
飛行機は雲の上を滑るように、音もなく進んでいく。
本当は、時速800キロメートルの世界を
駆け抜けているのに。
私は座席前のモニターのフライトデータ画面を
見つめた。
その不思議な静寂。そこで私を包んでいたのは、
孤独ではなく、深い安心と、凪のような平和。
私は孤独ではなかった
その理由を考えてみることもしなかった。
そしてやっと今、はっきりと、
眠れない夜の遅い時間に、気がついた。
夫が住む私のまだ知らない世界が、
きっとこんなに穏やかな場所なのかもしれないと。
夫と一緒に行きたかった。
その思いに押しつぶされそうな自分も、
確かにいた。
でも、それだけではなかったのだ。
私は夫を感じながら、旅をしていたのだ。。
そう確信できた時、一万メートルの上空が
夫を感じる場所に変わっていた。
また、どこかへ行こう、と。決めた。
(友人が、明日ヨーロッパへ。国際音楽コンクール
中の孫守りに行く。大変だっ!)

