京都に行った目的は

高島屋で開催されている

星野道夫の旅

を見に行く事でした

 

 

とは言っても

実は星野さんの写真集は

一冊も持っていなくて

見ている写真はいつも

エッセイに挟まれている

写真だけでしたが...

 

 

今回

なにより嬉しかったのは

期せずして

ポジフィルムが観られたこと

 

印刷では絶対に表現できない

撮り手の息遣い

 

光を通して目にすると

グリズリーの毛一本一本に命があって

まるでファインダーを通して

その場の被写体を見ている感覚に陥る

 

贅沢

 

そして

使われなかった写真が

その前後を物語って

動き出すようだった

 

これには

本当に胸がギュッとした

 

 

おみやげに買ったハガキ

 

 

ワイルドストロベリーの葉に初霜がおりる

 

この写真をみると

我家の庭に霜が降りた

朝の足元が

遠く離れた国の

冬の始まりと

繋がった気がして

嬉しい気持ちになる

 

そんな好きな一枚

 

 

厳しい自然の中を生き抜く

野生動物達

 

過酷であろうと思うけど

可哀想だとは思わない

 

自然の中で

その循環に従い

美しく強く

したたかに生きる彼らに

私は敬意を表する

 

 

現代社会にある

死という言葉と

生きるという事

 

最近

情報過多で

戸惑う事が多いけど

 

本質とは何か

自然とは何か

 

そんなシンプルな問いかけに

ただ在ることだけを教えてくれる

 

ときに迷い

ときに落ち込んだときに

 

ふっと目の前に現れて

ふっと消える

アラスカの動物たちのように

 

すっとすくい上げて去っていく

 

それが

私にとっての氏の存在

 

 

人間の気持ちとは可笑しいものですね

どうしようもなく

些細な日常に左右されている一方で

風の感触や初夏の気配で

こんなにも豊かになれるのですから

人の心は、深くて

そして不思議なほどに浅いのだと思います

きっと、その浅さで

人は生きてゆけるのでしょう

 

星野道夫|旅をする木 より