京都に行った目的は
高島屋で開催されている
星野道夫の旅
を見に行く事でした
とは言っても
実は星野さんの写真集は
一冊も持っていなくて
見ている写真はいつも
エッセイに挟まれている
写真だけでしたが...
*
今回
なにより嬉しかったのは
期せずして
ポジフィルムが観られたこと
印刷では絶対に表現できない
撮り手の息遣い
光を通して目にすると
グリズリーの毛一本一本に命があって
まるでファインダーを通して
その場の被写体を見ている感覚に陥る
贅沢
そして
使われなかった写真が
その前後を物語って
動き出すようだった
これには
本当に胸がギュッとした
*
おみやげに買ったハガキ
ワイルドストロベリーの葉に初霜がおりる
この写真をみると
我家の庭に霜が降りた
朝の足元が
遠く離れた国の
冬の始まりと
繋がった気がして
嬉しい気持ちになる
そんな好きな一枚
*
厳しい自然の中を生き抜く
野生動物達
過酷であろうと思うけど
可哀想だとは思わない
自然の中で
その循環に従い
美しく強く
したたかに生きる彼らに
私は敬意を表する
*
現代社会にある
死という言葉と
生きるという事
最近
情報過多で
戸惑う事が多いけど
本質とは何か
自然とは何か
そんなシンプルな問いかけに
ただ在ることだけを教えてくれる
ときに迷い
ときに落ち込んだときに
ふっと目の前に現れて
ふっと消える
アラスカの動物たちのように
すっとすくい上げて去っていく
それが
私にとっての氏の存在
人間の気持ちとは可笑しいものですね
どうしようもなく
些細な日常に左右されている一方で
風の感触や初夏の気配で
こんなにも豊かになれるのですから
人の心は、深くて
そして不思議なほどに浅いのだと思います
きっと、その浅さで
人は生きてゆけるのでしょう
星野道夫|旅をする木 より