広島の刑務所から脱走した李クン、

遂に捕まりました。

折角逃げたのに

つかの間の自由でした。


捕まった時、

おとなしく「刑務所に帰ります」

と警官に従ったそうです。

そして「疲れた」

とも言ったそうです。

だらしない。


塀の中に居る時は

外にはどんな自由があるのだろう、

さぞ想像を逞しく暮らしていたのでしょう。

そして外に出たら

あんな事もしてみたい、こんな事もしてみたい、

様々に妄想を働かせていたのではないでしょうか。


処がいざ出てみたら

先ず第一に逃げた季節が失敗でした。

こんなに寒いとは

多分シミュレーションが出来てなかったでしょう。

「チクショウ、暖冬だなんていいやがって。

 ちっとも温かくなんかねえじゃねえか。」

世の気象学者を恨んだことでしょう。

その気持ち、

わたしも同感です。


「暖冬、地球温暖化、

そうはやし立てるのは原発推進御用学者のデマじゃねえか?」

そんな事も考えたでしょうか。

でも中国人ですから

そこまで頭が廻らなかったかも知れません。


もう一つの失敗。

それは塀の外が

思った以上に自由ではなかった

ということでしょう。


何をするにも完璧に監視された社会。

Big Brother is watching you

まるでどこかで読んだ小説の世界が実現してしまったかのような現代の日本。

市民全部が自分を監視し追いかけまわす。

寒さと餓えと監視の目。

広島という川に囲まれた土地も計算違いだったかも知れません。


ビクビクと夜も眠れず

塀の中の方がどんなに楽ちんだったか

ペットになった犬や猫の気持ち、

動物園の檻の中で安穏と暮らす弛緩した動物たち。

犯罪者として堕落といえば堕落ですが

大人しく飼われる道を選んだと見えます。


The Fugitive

昔リチャード・キンブルなんていう男がどこまでも逃げて行くのを

毎週土曜日手に汗にぎり見つめていた経験をもつわたしは

勝手に逃げる男にロマンを重ねていたものでした。

それに較べ李クン、

不甲斐ない、

情けない、

だらしがない。

中国も実はもう下降線をたどり始めているのかも知れません。


かくなる上は李国林、

塀の中の冷たい部屋で

つかの間味わった自由とは程遠い追いかけっこのスリルと

最初に空き巣に入った家で飲んだ一本の缶ビールの味を心に抱き

残る刑期を大人しく

シミジミと暮らしていくことでしょう。

自分がもう若くなく

野生の本能も失ったことをさめざめと知るがよい。


そして李が味わったこの塀の外の不自由な監視社会を

わたしたちはさして不自由とも思わず

なんて自由なんだ

なんて思いながら暮らしているんです。


なんか

幸せだな~。


イヒヒヒ・・・・。