(20)


数年後。

大学を卒業した叶は、予定通り和美の家に引っ越し、『café akahai』でアルバイトをしていた。

接客は難しいため、最初はキッチンでの皿洗いや調理補助を担当していたが、時岡の配慮で、コミュニケーションに筆談が必要なお客さんが来た時の対応は、叶に任せてもらえることになった。

和美は見事、社会福祉士の資格を取得し、韮沢との結婚も決まった。

先日、韮沢が挨拶に来て結婚式の日取りを伝えた。そして、

「式の後、みんなで旅行しましょう。お義母さんの行きたいところに行こうって、和美とも話していました。どこかご希望があれば、おっしゃってください」

と提案した。花江はとても喜び、

「まぁまぁ、それはありがとうございます。そうねぇ、歳も歳だからやっぱり温泉がいいかしらね。神戸のほうなんてどう?お父さんと昔、あの辺りに行ったような記憶があるわ」

と、典文との昔の想い出を語った。韮沢は

「神戸のほうだと有馬温泉があります。いいですね。ぜひ行きましょう」

と言い、新婚旅行も兼ねて2泊3日で韮沢と和美、花江、叶、颯太の五人で神戸旅行をすることが決まった。


その夜、花江がまた近所の人を呼び、韮沢と和美の入籍を盛大に祝った。

高齢者施設で働いている韮沢は近所の人たちから人気があり、執拗に酒や料理を勧められて困っていた。

その様子を見ていた和美はもちろん、花江も義理の息子が出来て嬉しそうだった。



和美の結婚式当日。

会場はホテルの宴会場を貸し切って、昼過ぎから行われることになっていた。新婦控室に行くと、和装に身を包んだ和美がメイクをしてもらっていた。前半は和装で登場するが、お色直し後にウェディングドレスを着るということだった。

(わ~、和美さん綺麗!)

叶は、いつもと違う和美にうっとりと見惚れた。

花江は、娘の晴れ姿を見てすでに嬉し涙を流していた。

「母ちゃん、まだ泣くの早いって」

「ごめんな。父ちゃんにも一目見せてやりたかったなと思ってさ」

「大丈夫だよ。きっと父ちゃんも、天国からちゃんと見てくれているから。母ちゃんが笑ってくれないと、こっちまでもらい泣きしてメイク崩れるから」

「わかった、わかった。本当におめでとう和美」

「ありがとう」


もう少しで式が始まるということで、叶たちは先に会場へ向かった。

トイレと受付を済ませ、親族席に着席して待つ。

式が始まると照明が落とされ、出入り口にスポットライトが当たる。BGMの流れる中、ドアが開き和装をした韮沢と和美が入場する。2人ともすごく似合っていて、素敵だった。

参列者の拍手が沸き起こり、あちこちからフラッシュがたかれる。


式は無事に進行していき、途中で2人の職場である施設の職員さんに連れられた数名の利用者さんが、サプライズでお祝いの言葉や歌と踊りを披露する場面もあり、笑顔と涙に包まれた温かい時間が流れた。

休憩を挟んで、お色直しをした幸司とウェディングドレス姿の和美が登場すると、会場は一段と盛り上がった。和装も似合っていたが、やっぱりウェディングドレスというのは女性を華やかに魅せるようだ。

(私も、こんな結婚式したいな)

と叶は思い、隣に座る颯太をちらっと見た。颯太も叶のほうを見て、笑顔で軽くうなずいた。


式も無事に終わり、ブーケトスタイムになった。

久美子の時は叶が花束を受け取ったが、今回はどうだろう?和美が後ろを向き、せ~ので花束が投げられる。手を伸ばす女性たちから少し外れ、花束は意外にも颯太の手の中に落ちた。

周りの女性たちからガッカリしたような溜息が漏れるなか、颯太は、一人あ然としている。

「え、俺?」

一瞬気まずい空気が流れたが、和美がすかさずフォローする。

「颯太、おめでとう!次はあんたと叶ちゃんだよ。幸せになってね」

すると、周りの参列者からも次々と拍手が送られた。花江も笑顔でうなずきながら、手を叩いている。

叶は、みんなからの温かい祝福を受けながら頭を下げている颯太を優しく見つめた。


参列者がそれぞれに解散し、叶たちはそのままホテルで1泊した後、翌日から神戸旅行に行く予定にしていた。部屋割りは、もちろん新婚夫婦が1室。叶と花江と颯太は、3人で1室の予約をしていた。

しかし、花江がフロントスタッフに

「すみません。お金は払いますので、もし可能でしたらもうひと部屋取れませんか?」

と聞いていた。和美が理由を聞くと、

「私がいたら、颯太と叶ちゃんのお邪魔になっちゃうでしょ♪」

と、若い2人に気を利かせてくれたようだ。

「母ちゃ~ん(笑)」

和美と花江は笑っていて、颯太と叶は2人して照れていた。


少し休んだ後、みんなで夕食を食べにレストランへ行った。

値段こそ少々高めだったが、メニューは単品からコースまで幅広く用意されており、それぞれに好きなものを注文し、食べ盛りの颯太はステーキセットを選んでいた。

食事をしながら、明日からの旅行の話で盛り上がる。

「有馬温泉には金泉と銀泉があって、いろんな宿の湯巡りも出来るみたいですね」

と幸司が言うと、花江は

「私は歳だから、あんまりあちこちは行けないかもね。部屋でのんびりしているから、あんたたちで観光しておいで」

と言った。

和美は

「せっかく、母ちゃんのために計画したのに。まぁ、明日行ってから考えようか」

と、すぐに切り替えた。


部屋に戻ると、颯太と2人きりだ。なんだか、ドキドキする。颯太がベッドに座ってぽつりと

「新婚初夜かぁ~。いいなぁ~」

と言った。

“新婚初夜”とは、文字通り結婚したばかりの夫婦が初めて一緒に過ごす夜のことをいう。

叶は枕を両手で抱きしめながら、

(颯太、いま何考えてる?)

と心の中でつぶやいた。颯太が

「叶、俺たちも(する?)」

と言いかけたところで、颯太の顔に枕がヒットした。

「てっ!」

叶の顔が赤くなっている。

「そんな照れんなよ。どうせいずれは、そういうことするんだし」

と、颯太は恥ずかしげもなくサラッと言った。

叶は、窓のほうを向いてベッドの端に座った。

(颯太のバカ。アホ。そんなこと、できるわけ・・・)

と一人で悶々と考えていると、颯太がバッグハグをしてきた。

「叶、ごめん。急にそんなこと言ったら困るよな。大丈夫。俺、叶とちゃんと籍入れて結婚するまで、操を守るから。・・・俺がそんないきなり、アホなことするような人間に見えるか?」

(うん)

叶がうなずくと、颯太は叶から腕を放し

「おいっ!(笑)」

と叶にじゃれてきた。叶もやり返し、2人でしばらく枕を投げ合ったりしてじゃれ合う。

「疲れた!」

と颯太が先に降参し、ベッドに仰向けに倒れる。叶は颯太に近づき、ぎゅっと抱きしめる。

「叶?」

と不思議そうな声を出しながら、颯太も叶を抱きしめる。

しばらくそうしていたら、叶は眠くなってきた。いつの間にか颯太の上で眠ってしまい、颯太が布団の中に入れてくれた。颯太はしばらく叶の寝顔を見ていたが、

「おやすみ」

と言って、隣のベッドに自分も潜り込んだ。

まだ夫婦ではないが、少し早い新婚初夜を迎えたようで颯太はなかなか寝付けなかったが、夢にある人物が出てきたところで、深い眠りに落ちていった。

(リノさん、俺頑張るよ)!?



翌日、ホテルをチェックアウトした5人は神戸に向かった。まずは新幹線で神戸の主要駅まで行き、そこから電車で有馬温泉まで移動する予定だった。

移動中、女性陣から離れたタイミングを見計らって、颯太が幸司に率直に尋ねた。

「幸司さん、昨日初夜したんすか?」

幸司は、何でもないようにサラッと

「うん。したよ」

と告白した。

「え、マジで!?どんな感じだったんすか?」

「知りたい?」

と男子2人が盛り上がっていると、和美が

「そこ、何してんの?置いていくよ」

と声を張り上げた。幸司は

「後で、ゆっくり教えてあげるね♪」

と意味深に言い、和美たちを追いかけた。颯太も小走りで追いかける。


少しずつ神戸の町が近づいてくると、たくさんのビルや華やかな町並みが増えてきた。和美たちのいる地方と比べると、さすがに都会だ。


新神戸に着き、少し休憩をするため昼食を取る。花江は、レストランから神戸の町を見て

「はぁ~、昔と比べてずいぶんとオシャレになったなぁ」

と感心し、他の4人も人混みで賑わう町の様子に圧倒されていた。

昼食後、新神戸から北神線で谷上駅まで行き、神戸電鉄有馬線に乗り換え、有馬温泉駅に着いた。そこからは歩いて観光してもいいが、長旅で疲れたと言う花江を気遣い、タクシーで宿まで移動した。



宿に着くと、男性陣と女性陣で部屋が別れていたので、それぞれに鍵をもらって部屋に入った。

「母ちゃん、疲れたろ?少し休んでから風呂行こうな」

「そうだね。ま、ゆっくりお茶でも飲もう。あ~、いい眺めだ。和美も叶ちゃんも来てごらん」

花江が誘うと、和美と叶は窓に寄り3人で温泉街の景色を堪能する。


男性陣の部屋では、颯太がお茶を入れて2人でお着き菓子を食べながら談笑していた。

「あ~、温泉なんて何年ぶりかな。親父とお袋が亡くなる前に行ったのが最後だから、もう5~6年は経っているかな」

幸司の両親は、幸司がまだ20代の頃に相次いで病気で他界していた。

颯太は、もう少し稼げるようになったら、自分も両親をゆっくり温泉にでも連れて行って親孝行してやろうと思った。

「よし颯太君、風呂行こうか」

「はい」

2人で入浴の準備をして、部屋を出た。



先に風呂に行っていた女性陣が青空の下、露天風呂でくつろいでいる。

「あ~、気持ちいい。ほぐれるなぁ~」

「来てよかった。こんな時でもないと、温泉なんて来る機会ないもんな。母ちゃん、またいつでも連れて行ってやるから、遠慮せず行きたいところがあったら言ってな」

「あんたは、これから子作りで忙しいだろ。私のことは気にせんでええよ。母ちゃんは畑でのんびりしとるのが一番いいんだから」

「やだな~、母ちゃん。そんなこと言って」

叶は、親子2人の会話を楽しんで聞いていた。


男性陣も、風呂に入っていた。幸司が、颯太への返事をこう切り出す。

「颯太君は、夫婦が協力して子どもを作ることって恥ずかしいとか、いやらしいとか思う?」

「え、いや~どうだろう?」

「僕は昨日、和美と抱き合ってすごく幸せだったよ。和美は僕にとって、世界で一番大切な人だからね。

この世に男と女がいる限り、子孫を残すことは当たり前だし、すごく大事なことなんだよ。子どもを産んで次の世代を作らないと、どんどん若い世代が減っていって、いずれは人類が滅亡してしまう。植物だって動物だって同じ。種を残さないと、その動植物は自分たちの世代で種がなくなってしまう。少子高齢化が進む今、子どもをどんどん増やしていかないと、未来は高齢者を支える人もいなくなり、働いてお金や資源を生み出す人もいなくなる。そうなったら恐いと思わない?世界から人間が消えるんだよ?」

「まぁ、確かに」

「昔はさ、1組の夫婦で8人も10人も子どもを産んでいた時代もあったみたいだけど、今の若い人たちは、大事な夫婦の営みを汚らわしいものだとか、娯楽の一種だと思っているのかもしれない。だから、結婚したいとか、子どもを作って幸せな家庭を築きたいと考える人が減っている。それはあまりにもひどい話だよね。

じゃあ、僕らが歳を取って動けなくなった時、一体誰が支えるんだろう?政府は「異次元の少子化対策」とか言って、今の子どもたちの支援のためにお金を出しているけど、僕はおかしいと思う。

どうせ支援するなら、まずは子どもを産んで育てられる環境から整備していかないと、「子どもを産みたい」と思う人がいなくなるばっかりなんじゃないかなって。

“妊活”っていう言葉があるだろ?それって女性だけの問題じゃなくて、男性にもきちんとした役割があるんだよ。もし性交をしても、夫婦共に、もしくはどちらかに問題があって子どもができなかったとしても、それはそういう種の持ち主で、そういう運命だったと受け入れるしかない。それでも夫婦で仲良くスキンシップをすることは、悪いことではない。そう思わない?」

幸司の長い講義を聴き、颯太は

「そうっすね。俺には、まだよく分からないけど」

と素直な感想を伝えた。

「まぁ、そのうち分かるようになるよ。君が叶ちゃんと夫婦になったら、必然と性交をする時が来る。その時は、頑張ってね。でもちゃんと、叶ちゃんの意見や気持ちも聞いてあげること。叶ちゃんがどうしてほしいのか?嫌がっているなら無理強いしないとか。それも男として、大切な人を守るっていうことだから」

「そうですね。その時がきたら、俺頑張ります」

颯太の気持ちを聞いて、幸司は優しくうなずいた。

「さて、そろそろ熱くなってきたから先に上がるよ」

と言って、幸司が風呂を出て行った。

颯太は、いずれ来るであろう叶との新婚生活を想像して恥ずかしくなったが、先ほどの幸司の言ったことを反芻し、

(そうだよな。種を残すことは大事なことなんだ。その時が来たら、叶といっぱい愛し合おう)

と心に誓って風呂を出た。



夕食は個室が用意され、周りの目を気にせずゆっくり楽しめるようになっていた。

テーブルの上には、とても食べきれそうにない豪華な料理が並べられていた。花江は

「まぁ~、こんなにたくさん。タッパー持ってくればよかったな」

と言ってみんなを笑わせた。

「母ちゃん、そんなことしたら恥ずかしいよ。こういうのはおもてなしって言って、食べきれないくらいごちそうを出して、お客さんに心ゆくまで満足してもらうのがサービス業の仕事なんだから。食べられるだけ食べたらいいんよ」

叶も、花江の思いに同感だった。いつも思うが、どうしてこうも旅館の食事はたくさん出すんだろう?すごくもったいないし、今のSDGsな時代に合わないような気がする、と。

しかし、和美の言うようにこれがサービス業としてのおもてなしなのであれば、そういうものなんだと理解するほかはなかった。とりあえずみんなで乾杯をして、それぞれに食事と会話を楽しんだ。


夕食後、花江と新婚の2人は女性陣の部屋でお茶を飲むことにし、颯太と叶は少し温泉街を散策しに行くことにした。

夜になっても、まだ何件か営業しているお土産屋があり、2人はあちこち覗きながら歩く。

「たまには、こういう旅もいいよな」

(うん)

「いつかまた、今度は2人だけで温泉行こうか」

(うん)

颯太がさりげなく手を繋いでくれる。この時間に歩いている観光客はまばらで、川のせせらぎだけが静かに聞こえている。少し暗がりに来た時、颯太が叶を自分のほうに向かせ、

「叶」

とキスをしてきた。叶も素直に受け入れる。その後、颯太が叶を抱きしめ、耳元で

「大好きだよ」

とささやいた。叶も嬉しくなり、颯太を抱きしめ返す。

(ずっとずっと、こうしていたい)

叶は、颯太との幸せな時間をしっかり味わった。


部屋に戻るとすでに3人とも寝ていたので、颯太と叶も静かに布団に入った。

しばらくして、男性部屋では幸司が派手なイビキをかき始め、颯太は枕を幸司に投げつけ、布団をかぶって就寝するしかなかった。そうしているうちに、颯太もいつの間にかイビキをかいて眠りについていた。



旅行2日目。

今日は神戸の中心街のほうに宿を取っており、無理のない範囲で中心街を観光することにした。

有名な北野異人館を巡り、昼食を兼ねて南京町を散策した後、和美と花江はデパートで買い物を楽しみ、先にホテルに帰ってゆっくり過ごすと言った。

幸司と颯太と叶は、神戸ハーバーランドumie mosaicで遊び尽くし、最後にモザイク大観覧車に乗った。

観覧車から見える昼下がりの景色は、今までに見たことがないほど美しく素晴らしかった。

「俺、神戸好きになったかもしれない。まだ行きたいところいっぱいあるもん。アンパンマンミュージアムもあるしさ。叶、俺たちにいつか子どもが出来たら連れて来ようか?」

と颯太が心を弾ませて言う。叶は、照れながら静かにうなずく。

(うん)

幸司も

「それがいい。僕たちも、またいつか家族で遊びに来たいな」

と言った。


観覧車を降り、和美たちに見せるために3人で記念写真を撮り、ホテルに向かって歩いた。途中でコンビニに寄り、男性陣は酒とつまみを購入した。

夕空に染まる神戸の街は、異国にいるような不思議な感覚を思わせた。

叶は、またいつか颯太と一緒に再訪して、ゆっくりと夜景を観ながら過ごしてみたいと思いながら、先を歩く2人の後ろを歩いた。



翌日、新神戸駅で駅弁を買って新幹線に乗り込んだ。家の最寄り駅には、昼過ぎには着きそうだった。

神戸の街を離れるのは少し寂しかったが、見慣れた自然の風景が目に入ってくると、やっぱり(帰ってきたなぁ)という感じがして、気持ちが落ち着いた。

「畑でのんびりしとるのが一番」と言っていた花江も、家が近づいてくると安心していたが、意外にも

「神戸楽しかったな。また行こうな。今度は母ちゃん、「布引ハーブ園」ってとこ行ってみたいんだ」

と言った。和美は

「そうだな。そしたら、またいつか連れて行ってやるよ。春から夏が花盛りだから、またその頃行こうな」

と、花江と神戸を再訪する約束をした。


数日後。

颯太は電車で自分の家に帰って行った。幸司と和美は、何年かは幸司の住むマンションで暮らすことにしていて、叶と花江はまた和美の引っ越しを手伝った。といっても、今回は家具などの搬出はないので、段ボール数箱分くらいですぐ終わった。幸司のマンションは、和美の実家や2人の職場からもそんなに遠くなかったので、週末に幸司が荷物の搬出を手伝いに来てくれることになっていた。


夕方、和美と2人で縁側に座っていると、和美が叶にこう言った。

「叶ちゃん。しばらくは母ちゃんと2人きりにしてしまうけど、頼むね。私も週末には、ちょくちょく顔出すから。母ちゃんも叶ちゃんのこと本当の娘みたいに思っているし、大丈夫だよ。叶ちゃんも仕事があるし、無理せずに自分の生活を優先させといたらいいから」

(うん)

(でも私、出来ることはなるべく手伝って花江さんを大事にする)

「ありがとう。叶ちゃんがそう言ってくれると、私も安心して向こうに行ける」

2人は、ふふふっと笑いあった。

花江が少し早めの夕食を準備し、2人を呼んだ。