「がん研究の原点にある、偉大な研究」

 

「癌出来つ 意気昂然と 二歩三歩」

山極勝三郎氏が遺された句です。

 

長野県では、この言葉の意味も作者の経歴も知らずに諳(そら)んじることのできる人が大勢います。

山極氏が上田市出身という事があり、テレビやラジオで流れる製薬メーカーのCMで、長いこと無意識に聴き続けていました。

 

 

ガンは古くから病死の原因としてあったそうですが、日本での研究がはじまったのは明治40年頃のようです。

1907年(明治40)にガン専門誌が発刊され、翌年に山極氏らによってガン研究会が設立されています。

山極氏はガンを治すために、人工ガンによって研究を深めようと、ウサギの耳にコールタールを塗り続けて「タール癌」を生み出します。

1914年(大正3)世界初のこの研究が、日本ばかりか世界での癌研究を大きく前進させたものだったそうです。

 

山極氏は、日本病理学会を創立し、初代会長になります。

ノーベル賞候補になる研究の偉大さがありながら日本人への評価をする人脈が育っていない時代のせいか、“幻の日本人初ノーベル賞”と称されています。

真田丸で賑わった上田市の上田城址には、山極氏の胸像に「癌出来つ…」の句と石碑が建てられています。

「うさぎ追いし」の映画にもなり、地元の偉人として敬われています。

 

1981年(昭和56)から、病死の第一位が脳血管疾患からガンになり、その位置は変わりません。

ガンは「遺伝素因説」と「刺激説」があり、遺伝的な要素は受け入れるしかありませんが、食生活や生活習慣の影響があるとしたら未然に防きたいものです。

放射性物質や発がん性物質によるDNAの変化や、高濃度の食塩での塩蔵品のように、胃の粘液を破壊し、胃酸の刺激を強くするなどは避けたいことです。