「秘苑の蝶」第二部ー世子の初恋ー彼女が忘れられない。どんな手段でも、想いを遂げたいー | FLOWERS~ めぐみの夢恋語り~・ブログで小説やってます☆

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恋慕~月に咲く花~【秘苑の蝶】

著者 : 東めぐみ

発売日 :

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「秘苑の蝶」第二部スタート。
奇跡の出会いー13歳の世子が満開の金木犀の下で出逢った不思議な少女、その正体は?
第二部では、コンと雪鈴の子どもたちの時代を描く。
********本文から抜粋*********
賛は、がっくりと肩を落とした。王妃の声が心なしか優しくなった。
「それにね、金家と王室の繋がりは、あなたもよく知っているはずよ。清明さまは、あなたの叔母上だし、昌どのは従弟だわ。清明さまの大切なご子息を男娼紛いとして扱うだなんて、到底できるはずがないことは判るでしょう。金氏は地方両班とはいえ、開国功臣を祖に持つ名門だわ。北にはまだ、明基さまのお父君も現在だし、地元ではそれこそ都の王よりも強い影響力を持っているの。その名家の直系の子息を召し上げるなんて言おうものなら、昌どのの祖父君が兵を率いて王宮に攻めてくるかもしれなくてよ」
 つまりは、名家の御曹司を遊び半分で慰み者にする行為は、地方在住の臣下に叛意を抱かせる因(もと)にもなり得る。母はそう言っているのだ。
 しかし、考えてみれば、そんなものかもしれない。歴史を紐解けば、私怨がきっかけとなり、国家転覆の謀を企て大乱を起こし、王朝が転覆した話は現実として存在する。
 うなだれた賛に、王妃は更に声をやわらげた。
「想いは何も貫くだけが道ではないわ。時には引くことも、特に相手を大切に思うならば、諦める覚悟も必要なの」
 王妃の諄々とした諭しはもっともだった。最早、抗う言葉さえなく、賛はうなだれて中宮殿を出て東宮殿へ向かった。
 自分は、どこかで甘えていた。母なら理解してくれると心のどこかで期待していたのだ。しかし、母の言葉はすべて正しいがために、賛は余計になすすべもなかった。