前回、Kくんの完璧主義が見えてきたお話まででした。
今回はKくんとゲームの話です。
学童クラブでは、着いたらすぐにお勉強と決めていました。学校の宿題、塾の課題、チャレンジ、お父さんお母さんからのワークブック、等々。
それができた人から順に机を離れていい。
ただし、習い事に行く時間になったらお勉強が途中でも出入りしていい。
そんなルールでやってました。
Kくんは習い事は全て辞めたタイミングで、辞めた代わりという位置付けで4年生から私のいた学童に入れられたのでした。
つまりそのころ習い事はまったくやってませんでした。
毎日1年生の遊び相手を務めるのも疲れたのか、塾へ行くなどと言って自由に出入りする他の子がうらやましくなったのか、
お母様を通じて
「お友達とも遊びたいそうなので、自由に出入りしてもいいことにさせてください」
というお話がありました。
もう4年生ですし(5年生だったかも)、行き先と戻る時間を言って行くならいいですよ、
と、何よりお母様がそれでよいということですから、私どもとしては異存はありません。
はじめのうちは、宿題をやってから遊びに行ってました。ルール通り。
ところがだんだん宿題がぞんざいになっていって。
殴り書きの漢字ドリル、半分しかやらない計算ドリル。
それでパーッと出ていこうとします。
それを捕まえて羽交い締めにして続きをやらせたり、逃げ切られてしまったり。
もうとにかく、ランドセル置いてすぐに出ていきたい様子。
それも「サザエさん」のカツオのようにみんなで野球をするということでもなく、1人のお友達に執着しているようで、何故こんなに!?と頭を悩ませました。
事情が分かったのは中学生になって本人の口から聞いてからでした。
ゲームです。
お友達がゲームをやらせてくれるから、待たせないように、遊ぶ時間を最大限確保できるように、早く早くお友達のお家に行きたかったんですね。
Kくんのお家ではまだゲーム禁止でした。
ゲームは中学生になってから、と決まっていました。
周りのお友達はもっと早く、小学生のうちにゲーム解禁されていました。
当然うらやましかったそうです。
うらやましいどころじゃなく、話題についていけなくて辛かったと語っていました。
自分が持ってもいないゲームの攻略本を読んで、キャラの能力だの攻略法だの丸暗記してなんとかみんなの話題に参加していました。
これを聞いたときは胸が痛くなりました。
(つづく)