小さな種 | めぐみキリスト教会

めぐみキリスト教会

人はパンだけで生きるのではなく神の口からでる一つ一つのことばによる。
               新約聖書マタイの福音書4章4節

 今日は、マタイ13章31節~3までのところから、「小さな種」と言う題で、みことばから恵みを頂きたいと思います。

 

 今お読みしました、イエス様が語られた二つのたとえ話は、いずれも「天の御国は、からし種に、パン種に似ている」いう文言で始まっています。これはどういうことかと言うと、神の御国(神のご支配)は「からし種のように、パン種のように」私たちに与えられるのだと言うことです。

 

 確かに、今でこそクリスマスは全世界の人々がお祝いしていますが、二千年前、ベツレヘムの馬小屋でお生まれになった一人のみどりごが、後に、世界の歴史を紀元前と紀元後とに分ける、そういう存在であるということは誰も気づかなかったのですから…。

 

 ただ、ここでイエス様が教えようとしておられることは、「わたしの教えは、やがて大きな木となり全世界に大きな影響を及ぼすことになる」そう言うことが中心ではありません。このたとえ話を通して私たちが読み取らなければならないのは、神のご支配は最初はからし種のように小さいと言ことです。しかし、それはただ小さいということではなく、混ぜられると人の人生をも作り変えることのできる、その様な力を秘めているのだということを教えているのです。

 

 先ず、「からし種」のたとえ話を見てみましょう。ここでイエス様が言っているからし種とは、私たちが普段サンドイッチなどで使うからしのことではありません。聖書に出てくる「からし種」(クロカラシ種)とは、1gを取って調べてみると、その中に100粒ぐらいの種があると言う実に小さな種です。ユダヤ人の世界では、小さい物を表す形容として「からし種」をよく使います。そんな小さな種が畑に蒔かれると、やがて空の鳥が巣を作って住むようなる位大きくなるんだと言うのです。イエス様は天の御国とは一粒のからし種のようだと譬えられたのです。

 

 この話を聞いていた弟子たちは、旧約エゼキエル(エゼキエル゙31:6)やダニエル(ダニエルニ4:12)が預言した言葉を思い出しながら、そういう日が来ると言う希望に溢れたのではないかと思います。

 

 もう一つは、「パン種」たとえ話です(33節)。パン種とはイースト菌です。最近は家庭用パン焼き器などが普及していますから、イースト菌も身近なものとして家庭の中にあると思います。イースト菌の働きは、硬いパン生地を実に柔らかく変化させる力があると言うことから、天の御国もその様な力があるとたとえたのです。

 

 ですからイエス様はこの二つのたとえ話を通して、天の御国とは「からし種」の様に量的に成長し拡大すると言うこともさることながら、「パン種」の様に内容を変化させ、実においしいものに作り上げる力があると言うことを弟子たちに教えようとされたのです。

 

 どうしてイエス様はここでこの様なたとえ話をされてのかと言うと、マタイ13章を境にキリスト者に対して厳しい迫害の時代に入っていくことを知っていたと言うのがその背景にはあります。

 

 当時の教会は、キリスト者の存在は、実に小さな小さな存在でした。そんな弟子たちを励ますと言う意味もあったのです。これから毒麦も生えてくるぞ、しかしこれが毒麦だと言って裁き合ったり分裂を起こすことのないように、教会は、どんな事態が起こったとしても、からし種一粒に命があって、やがて大木になるように世界中に増え広がるのだ、これがこのたとえ話を通して弟子たちに与えているメッセージであります。

 

 そこで、私たちがこのたとえ話を通して教えられる教訓は何かと言うと、一つは、私たちに始まった救いの恵みは、最初はちっぽけに見えたとしても、必ずからし種やパン種のように大きく成長する可能性を持っていると言うことです。

 

 もう一つは、成長するまでには時間が必要だと言うことです。ですからじっくり育ててゆくことが大切だと言うことです。毎日の信仰生活のおける祈りの時間、みことばに触れる時間を大切にしてまいりましょう。詩篇126篇5~6節