2人は磁石が引き合うように

人目を忍んで密会をはじめて

ふれあいはじめて

お互いの思いを感じ合えた頃


もう思いは留まることを知らず

戸惑いながらも大人の恋の舞台だからと

メッセでMは僕に全てを託すと告げてくれて

僕も早く繋がりの舞を舞いたい思いを告げる


金曜日の夜の出来事


その日の夜はMの都合がよく

僕の都合も相まって

2人はもちろん会う約束を


2人の思い出の場所で待ち合わせ

その時初めて見るMの舞台衣装

ロングスカートの姿がとても可愛い


開演の前のディナーに誘うが

そんなにお腹が空いていないよと

2人はなぜか会うとお腹が空かない


無意識にも

2人は少しでも長く2人の舞の時間をと

そんな思いがそうさせるのか


僕は戸惑いながらも行く舞台は決めていた

2人共に何十年も行っていない舞台の場所へ


お互い要領がよくわからず手探り状態

でもまたそれがいい


誰の人目も気にすることのない

2人だけの舞台のための控え室へと


中の様子の探索もそこそこに

2人は舞の準備として

お互いの体を暖めて息を合わせた


お互いの体と思いが熱く相まった頃

僕はMをお姫様抱っこして

2人だけの舞台の上へとそっと登壇をはじめる


2人だけの初舞台へ

台本のない舞台へと


お互い待ちに待った舞台での演技

ゆっくりとゆっくりと幕を上げる


2人は舞台の上で初めて

2人だけの舞を舞いはじめる


お互いの思いを確認しながら

お互いの感覚を感じ合うように


ゆっくりとゆっくりと

息を合わせるように舞っていく


人目を気にすることのない舞台の上で

2人だけの世界を作り上げていく


演技の一環に組み込まれた

お互いの心の衣装をゆっくりとひとつずつ外していく


そして出会って初めて2人は

全身の感度が極限に感じられる姿となり

お互いの感覚を確認し合う


溶け合うような静かな舞の中で

舞台の上で2人は共に夢の中にいるようだった


2人の舞は続けられる

その舞は交流の舞へと移っていく

2人はそこで初めてひとつへと繋がっていく


ゆっくりとゆっくりとひとつになっていく

そして2人は奥深く繋がり

しばらく舞は静止する


お互いの気を交流させるために

2人は魂の繋がりを確認し合った


そして舞はまたゆっくりと再会をはじめる


僕は2人の繋がりを確認しながら

お互いの呼吸を合わせるように 

2人の舞の息を合わせた


僕はその舞を少しでも長く舞い続けるために

2人の舞のペースを調整していく


僕は果てたくなかったから

Mとの舞を少しでも長く

舞っていたかったから


でもしばらく経ってから無情にもその舞は

クライマックスを迎える


少しでも長くという思いを残しながらも

舞台での舞の中でもお互いの大切な

クライマックスのシーンを迎える


僕はMの名を叫びながら

Mの中へと溶け込むように


2人は激しい舞の中でも

繋がりをより強くするために

僕はMの肩に手を回し強く引き寄せた

まるで美女を抱え込む野獣のように


どこにも行かせない

もう離さないから


そして僕はMの中で舞の果てを迎える


2人の舞はしばらく

繋がりを残したまましばらく静止する

舞の余韻をしっかりと記憶に残すために


2人は結びの舞のファイナルを終え

そして閉幕へと


その後カーテンコールが行われて

僕はMを果てへと導く舞を披露した


そして2人の初舞台は無事に終演を迎えた


お互い結婚後初めての裏舞台だった


僕はMを家の近くまで送り

車の中でしばらくMと話をする


夜遅かったのもあり

こんなにMの家の近くまで来たのは初めてだった


お互い来週から職場で顔を合わせたら

どんな顔したらいいかなんて話をしたりして


でも僕は幸せを噛み締めていた


あの時間が永遠ならと

心から思えた







つづく