つかこうへいさんの訃報をニュースで知ってから
前から、もう一度読みたいと思っていた
つかこうへい代表作品「蒲田行進曲」をむさぼるように読んだ。

名作というのはさすが凄い。

映画化され
風間杜夫さん、平田満さんたちが全国区スターとなった
「蒲田行進曲」は、今や作品として、古典の地位を得たと思う。


本中でのセリフのリズムが
心地好い、早いペースで
そして、ふんだんに出てくる差別用語ギリギリのスリル感が
まさしく、我々芸人が勉強している「お笑い」の真髄をついているような気がした。

物語はやがて
登場人物全員が、いろんな葛藤に苦しみ
コントロール出来ない心の深さを描き出す。


改めて読み返したら
昔読んだときとは違う、新しい感動にひたれた。

ふと
私が主演させて頂いている芝居の作家の「萩原芳樹先生」が
「笑いながら、せつなさを知る芝居を創る」
と、おっしゃった言葉を思い出し、じんじんと胸に響いてきた。


私は、「芸人」だが
一人の「表現者」として
これからも
「笑い」を通し、せつない人の心を、舞台で伝えていきたい。

しみじみとした気持ちになるというのは
人を強くさせる感情のひとつだと思うから。


「蒲田行進曲」を読んで
私の心の中に
強くて濃い情熱が、また沸いて来た。