ゆう君は僕の幼馴染だ。
同じとしだけど、ゆう君の誕生日は4月20日で、僕の誕生日は8月31日だから、
ゆう君はいつも「おれの方が早く息をしたからえらい!」って威張っている。
自転車に乗れたのも、九九が言えるようになったのも、逆上がりだって全部ゆう君が先だった。
そりゃ僕だって悔しいからさ、かけっこだって、水泳だって負けるもんか!って頑張ったけど、
でも、いつだって涼しい顔でゆう君は僕より先にできちゃうんだ。
悔しいときもあるけど、僕はそんなゆう君をかっこいいなって思っている。
ゆう君と僕は時々ケンカをする。
それはいつも、ゆう君が急に大きな声を出して僕をびっくりさせることで始まる。
僕は小さいころから大きな音が苦手で、
車のクラクションやダンプカーの大きなエンジンの音を聞くと、
びっくりして1メートルくらい飛び上がる。
ゆう君はそれが面白いらしく、
「たぁぁぁぁけぇぇぇるぅぅぅぅ!!」と突然大声をだして僕をびっくりさせるんだ。
心臓が止まりそうだからやめてって!何度言っても、全然やめてくれないから、
「もう嫌だ!」「絶交だ!」の決め台詞を、僕は何回言ったか知れない。
でも、ゆう君は僕が怒ってもおかまいなしで、
ニコニコ笑いながら「たける~ごめんごめん」って言いながら近づいてくる。
そんなゆう君を、僕はとびっきり怖い顔で睨みつけてやるんだけど、
こちょこちょ攻撃をしてきたり、チョコパイを目の前でゆらゆらさせてきたり、
変顔をしてみせたり、あの手この手で僕の「絶交だ!」の固い決意をグラグラと崩しちゃう。
そして仲直り。
悔しいけど、これがいつもの僕らのパターンだ。
自分は僕の嫌がることを何回もしてるくせに、
他の友達が僕の嫌がることをしたり、からかったりしていると、
どこに居てもものすごいスピードで現れる。
そして「オレが相手だぁぁ!」と僕を守ってくれる。
そんなゆう君のことを、優しいのか優しくないのか分からないんだよってパパに話したら、
「ゆう君は優しいんだけど、たけるのこと大好き過ぎて、からかっちゃうんだろうなぁ。
大好きだけどイジワルしてみたり、好きだけど好きじゃないふりをしてみたり、
男心は複雑なんだよ」と教えてくれた。
その時のパパはとてもかっこよくみえたのに、
それを後ろで聞いていたママに睨まれて、びびっていたパパは最高にカッコ悪かった。