【妄想小説】甘い色(13) | 彼方からの手紙

彼方からの手紙

ラブレターフロム彼方 日々のお手紙です

<第13話>

日曜日

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

(sideマコト)

 

「今日はごめんね、

せっかくの日曜日なのに

突然呼び出しちゃって」

 

「いえいえ!

誘ってもらって嬉しかったです、

マコトさんとお買い物するの

すっごく楽しいので♪」

 

向かい側に座る後輩ちゃんの、

柔らかくてかわいい笑顔。

 

潤と会わないまま、

気持ちはもやもやしたままで、

10日以上が過ぎた、日曜日。

 

ひとりで過ごす休日は長すぎて、

急遽後輩ちゃんに

お買い物つきあってもらったけど。

 

「デートの予定じゃなかった?

相葉ちゃん大丈夫?」

 

「今日はもともと、

夕方から会う約束だったので、

全然大丈夫ですよ」

 

夕方からはデートなのか。

いいなあいいなあ…

 

「うらやましいなー」

 

「え?」

 

今わたしが言おうとしてた言葉が

後輩ちゃんの口から出てきて

一瞬びっくりする。

 

「うらやましいです。

あと3日ですよね?

松本さんとの旅行まで」

 

「ああ…うん」

 

「1泊旅行で初めて、なんて

すごく素敵。すごくうらやましい」

 

「そうかな。笑」

 

「そうですよ!しかも、

マコトさんの行ってみたかった所、

わざわざ予約してくれるなんて

さすが松本さんって感じです!」

 

2週間、全く会わなくても

全然平気だなんて

さすが松本さんって感じです!

 

心の中でつい、潤にイヤミ。

 

ここのところの不安な気持ち、

さみしい気持ちが一回転して。

 

心の中でさえ素直になれない。

相変わらず全然かわいくない私。

 

「マコトさん」

 

「ん?」

 

「やっぱりハジメテは、

怖いって気持ちありますか?」

 

ああ、そっか。

 

浮かないわたしの顔は、

そっちを心配してるみたいに

見えるのかな。

 

未知の世界。

 

たしかにそれは、

未知の世界だから、

 

いざそうなった時、

どうなっちゃうんだろうって

怖い気持ちはもちろんある。

 

「ね…聞いてもいい?」

 

「なんですか?」

 

「やっぱり相当…痛いんだよね?」

 

「……そうですね。

わたしは痛かったです。笑」

 

ちょっと恥ずかしそうな

かわいい表情。

 

「わたしの場合、

お互い初めて同士だったから、

なかなかうまくいかなくて…」

 

「そうなの?」

 

こくんと小さく、頷く顔。

 

「最初がそんな感じだったから、

そういうことするのもあんまり、

好きと思えなくて、」

 

「その…感覚も、あんまりよく、

わかんなかったんですけど」

 

「感覚って、

気持ちいいとか、そういうこと?」

 

「マコトさんストレート。笑」

 

「ああ!ごめんごめん。笑」

 

焦ってあたりを見回す。

 

ざわざわざわ

 

混みあってる日曜のカフェは

みんなそれぞれに夢中で。

 

わたしたちのガールズトーク、

気にする人もいなくてホッ。

 

「だから前の彼とは、

最初の時から全然…

いい思い出がないんですけど、」

 

「うんうん」

 

「でも今は、

相葉さんとは…すごく自然で。

触れあうのが自然っていうか、

そういう感覚がずっとあって」

 

「すごく自然にカラダが、

ちゃんと…感じるっていうか」


「あ、わたしなんか

ヘンなこと言ってますね

すごくヘンなこと言ってますよね、

ごめんなさい。笑」

 

ほっぺがみるみる赤くなって

恥ずかしそうに照れてる顔が

とってもかわいい後輩ちゃん。

 

「ヘンじゃないよ全然」

 

体が触れるのが自然。

 

当然のように

そう思えるなんてすごくすごく、

 

「うらやましいよ」

 

触れたいと思う気持ち。

触れられたいと思う気持ち。

 

もうずっと、

潤に触れたくてたまらない。

 

潤に触れられたくて、

たまらない。

 

これがわたしの、

今の素直な気持ちだけど。

 

こんな、焦ってるみたいな

ヘンな気持ちはたぶんきっと、

私だけなんだろうなと思うけど…

 

 

ピロン!

 

テーブルの上に置いてたiPhone、

LINEの受信音に、後輩ちゃんが反応する。

 

「もしかして、松本さんですか?」

 

「えー?どうだろ。笑」

 

もしかしたら潤かな、潤だったらいいな、

だって今日は日曜日だし、なんて

かなり期待して開いた画面は。

 

「…なーーんだ。ニノだった」

 

あからさまにがっかりした私に

後輩ちゃんがふふふと笑う。

 

返事は後でいっか、って

ちらっと見るだけのつもりだった

ニノからのLINE、

 

書かれてる文章に、

一瞬で思考が止まる。

 

「…え?」

 

二宮:潤くん風邪よくなった?

 

「風邪、」

 

風邪って?

風邪って…なに?

 

 

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

 

(side潤)

 

ピンポーン

 

休日出勤だったけど

思ったより早く帰って来れたから。

 

今日こそはマコトに連絡してーな、とか

考えながらリビングに入った瞬間、

突然鳴り響くインターホン。

 

ピンポンピンポンピンポン

ピンポンピンポンピンポン

 

「は?ったく誰だよ…」

 

ピンポンピンポンピンポン

ピンポンピンポンピンポン

 

どんだけピンポンすんだよ!

 

玄関モニタ、急いで確認したら

小さい画面に映ってたのは

まさかのマコト。

 

「………」

 

モニタの画面越し、

荒い画像でもよくわかる。

 

むちゃくちゃ怒ってる、マコトの顔。

 

「…ニノか。ニノだな」

 

一瞬で状況を察して、

ふうーとひとつ、深呼吸。

 

ピンポンピンポンピンポン

ピンポンピンポンピンポン

 

グッと下くちびるを噛み締めて。

じっとこっちを見つめてる

久しぶりの…マコトの顔。

 

 

<第13話>

日曜日

 

 

(初出:2019.7.29)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

読んでいただき

ありがとうございます(^^)


 

【小ネタメモ】

 

相葉さんと後輩ちゃんは

障害があったにもかかわらず

カラダが先に始まってしまう、

逆にじゅーんとマコちゃんは

なんの障害もないのに

なかなかそこまで至らない、

そういう対比がいいなあと思って

書いてました。

 

大事にしすぎて時を待ちすぎて、

彼女と微妙にすれ違っちゃう、

これはダントツ潤くんハマるなー!って、

わたしの勝手なイメージね(^^)

 

使った写真はもう何年も前に撮った

姉的親友とお茶した時のです、

飲み物がふたつ映ってるのが、

いいかなぁと思って選んでみました。

 

今日も読んでくれて

どうもありがとう。

 

次回、マコ潤直接対決です。(対決て)

 

すきま時間にまたどうぞ、

よろしくお願いします(^^)/